6月から全国で猛暑日が続き、外に出るのも危険を感じる気候。トラックドライバーの皆さんにも熱中症・暑さ対策は必須です。
運転中はエアコンが効いているから、屋外で作業している業種よりも熱中症は少ないと思っているなら危険です。
運送業に従事している方が熱中症で死傷する割合は高く、ドライバー自身での自己管理はもちろん、事務所単位での熱中症対策を講じる必要があります。
この記事では、トラックドライバーの熱中症・暑さ対策の重要性から、具体的な熱中症対策・熱中症対策におすすめのグッズまで解説します。
トラックドライバーの熱中症・暑さ対策の必要性
業務中の熱中症で死傷される方は年間500名を超えており、2021年度は547名と前年よりも減少傾向にあるものの、2018年は1,178名、2019年は829名、2020年は959名と1000名近い死傷者を出しています。
厚生労働省の公表する資料から、2021年度の業種別の熱中症での死傷者数をみていきましょう。
運送業 | 59名 |
建設業 | 128名 |
製造業 | 85名 |
警備業 | 65名 |
商業 | 61名 |
清掃と畜業 | 28名 |
農業 | 14名 |
林業 | 7名 |
その他 | 100名 |
計 | 547名 |
参照:厚生労働省「令和3年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
2業種別発生状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000900477.pdf)
運送業の占める割合は、合計547名中59名となっており、業種別で10.7%と高い割合になっています。
トラックドライバー本人の身を守るために一人ひとりが熱中症対策への注意が必要なのはもちろんのこと、事業所をあげての熱中症対策が望まれます。
厚生労働省が提唱する「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」では、事業所に求められる熱中症対策のチェックリストが公開されています。
・WBGT値の把握の準備
・作業計画の策定など
・設備対策・休憩場所の確保の検討
・服装などの検討
・教育研修の実施・労働衛生管理体制の確立
・発症時・緊急時の措置の確認と周知
参照:厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000900484.pdf)
チェックリストを活用して、安全に夏季の業務を行うようにしましょう。
トラックドライバーの熱中症対策の基本
熱中症対策には、事業所をあげて熱中症を起こさないような仕組みを作ることが重要ですが、やはり、ドライバー本人が自分の体調を確認しながら気をつけることが第一です。
ここでは、トラックドライバーの熱中症対策の基本となるポイントを解説します。
喉が乾いていなくてもこまめに水分補給をする
運転中エアコンを使用していると、喉が乾いている体感は少なくても、乾燥して「かくれ脱水症状」になってしまうケースがあります。また、緊張状態が続く運転時は気づかないうちに汗が出ていて、水分不足になりやすい環境でもあります。
経口補水液やスポーツドリンクを用意しておき、喉が乾いた体感が無くても、こまめに水分補給をするようにしましょう。
また、塩飴など塩分を補給できるアイテムを持っておくと、塩分不足も防止できて安心です。
待機・休憩中は涼しい場所に避難する
近年では、荷主先によっては待機中のアイドリングストップが義務付けられている現場も少なくありません。
エンジンを切った車内は温度・湿度が上がり危険なため、待機・休憩中は可能な限り涼しい場所に移動するようにしましょう。
また、仮眠を取る際にも、エンジンを切った車内での仮眠は熱中症のリスクが高まるため、極力避けるべきです。
普段の健康管理にも注意が必要
睡眠不足や疲労の溜まっている状況だと熱中症のリスクも高くなるため、熱中症予防には普段の健康管理にも気を配る必要があります。
また、下痢や発熱などの症状が出ている場合、脱水症状にもつながるリスクがあるため、体調の悪い時は無理をせずに休みを取る選択肢も必要です。
トラックの暑さ対策おすすめグッズ
トラックドライバーが効果的に熱中症対策を行うために、トラック内に熱中症対策・暑さ対策のグッズを常備しておくことは有効です。
ここでは、トラックドライバーの暑さ対策におすすめのグッズを紹介します。
クーラーボックス
飲み物を冷たく保管、保冷剤を凍ったまま保管しておくために、車内にクーラーボックスを用意しておくと便利です。
魚釣りやキャンプに使う保冷機能のついたクーラーボックスや、24V電源で利用できる車載の小型冷蔵庫なども便利ですね。
日よけ・サンシェード
待機中にアイドリングストップを余儀なくされて、かつ、車内から離れられない場合に、日差しを避ける日よけ・サンシェードは必須です。
フロント部分だけではなく、サイド部分からの日差しも避けられるように、3面分の日よけ・サンシェードを用意しておくようにしましょう。
扇風機・保冷剤など
扇風機を車載している方は多いと思いますが、熱中症の予防、または熱中症になりかけた時の応急処置として凍らせるタイプの保冷剤をクーラーボックスに入れておくと安心です。
冷感・冷却スプレーはひんやりした感触で清涼感を得られる反面、発汗を抑えてしまい、熱中症のリスクを上げる可能性もあるため注意が必要です。
トラックドライバーの熱中症・暑さ対策は必須
トラックドライバーは、運転中にエアコンの効いた車内にいるため油断してしまいがちですが、他の業種と同様に熱中症対策は必要です。
特に、運転中は緊張状態が続き、気温に関わらず汗をかきやすくなるため、喉が乾いた実感が無くてもこまめに水分補給をこころがけるようにしましょう。
また、真夏の暑さだけでなく、9月の残暑にも注意が必要です。
熱中症・暑さ対策は、事業所をあげて取り組むべき問題ですが、ドライバー自身も自分の身を守るために対策を行っておく必要がありますね。