私たちの暮らしや産業を支える重要な存在のトラックには、乗用車とは異なる工夫が数多く詰まっています。
今回の記事では「トラックのキャビン」に注目し、種類別の特徴や、交換にかかる費用などを紹介します。
トラックのキャビンとはどこ?
運転席および助手席を含む「運転手が乗る空間」を指します。ドライバーが運転・作業・休憩などを行う中心的なスペースです。
「キャブ」とも呼ばれ、業界や現場ではその略称が広く使われています。トラックはキャビンが独立した構造として扱われ、様々な形状や機能があります。例えば、長距離運転向けにベッドスペースを備えた仕様、運転席の上部に空間を確保した仕様などです。
キャビンは快適性・操作性・安全性に直結し、業務効率やドライバーへの負担にも大きく影響します。
トラックのキャビンの種類とその特徴
先述した通り、キャビンには様々な種類があります。ここでは「ショートキャブ」「フルキャブ」「ワイドキャブ」「ダブルキャブ」「ハイルーフキャブ」に分けて、その特徴を解説します。
ショートキャブ
コンパクトな設計のキャビンで、後方にスペースがない構造が特徴です。トラックの全長が抑えられるため、小回りが利きやすく、都市部や狭い道での走行、荷物の集配業務などに向いています。車両の全長が短くなることで、荷台スペースをより広く確保できるという利点もあり、効率的な荷役が求められる現場で採用されています。
また、車両重量も比較的軽くなるため、燃費が良くなるのもポイントです。主に小型トラックや中型トラックに多く見られ、近距離配送を中心とした用途に適しています。一方で、仮眠を取れるようなスペースがないため、長距離運行には不向きで、休憩を伴う運転では別途の対応が必要になります。
運転席と助手席のスペースも比較的タイトなため、長時間運転ではやや窮屈に感じることもありますが、機動性が重視される業務では理想のキャビン形状といえるでしょう。
フルキャブ
キャビンの奥行きがショートキャブよりも広く取られたタイプで、運転席の後方に簡易的な仮眠スペースがあるのが特徴です。中型トラックや大型トラックに多く見られ、長時間運転する際に、車内で休憩や仮眠を取ることができるため、長距離輸送や夜間運行の業務に適しています。
キャビン内に余裕があることで、運転席と助手席の後ろに荷物を置くスペースができたり、リクライニングを深く倒せたりと、利便性、快適性が向上します。また、収納スペースなどの設備が充実していることも多いです。
一方で、キャビンが長くなる分、車両全長が延びるため、狭い場所での取り回しや駐車ではやや不便さがあります。また、車両重量も増す傾向があるため、燃費にも影響します。
ワイドキャブ
車両の全幅が広く設計されたキャビンを指し、標準幅のキャブに比べて室内空間が横方向にゆとりのある構造が特徴です。運転席と助手席の間が広くなるため、運転時の圧迫感が少なく、快適な乗り心地になります。また、車内での作業や休憩、着替えといった動作もスムーズに行えるため、ドライバーにとってはストレスの少ない環境です。
ワイドキャブは助手席側に補助席があって、3人乗りが可能な車両も多く、現場作業員を乗せて移動するような用途にも適しています。収納スペースが多く、シートが広いことから、長距離運行や待機時間の多い業務においてメリットが大きい仕様といえるでしょう。
ただし、全幅が広がることで狭い道路では取り回しが難しくなり、車庫や積み下ろしスペースの確認も必要になります。また、安全運転への配慮がより求められます。快適性と積載効率を両立したい場合に選ばれるキャビンタイプです。
ダブルキャブ
前席に加えて後部座席を備えた4ドア構造のキャビンで、5〜7人まで乗車可能です。運転席と助手席のほかに、作業員や乗員が複数人乗車できるよう設計されており、建設現場や工事現場など人員と資材を同時に運ぶ必要がある業務で利用されています。
キャビン内は広めに設計されており、長距離移動の際にも比較的快適に過ごすことができる点が魅力です。後部座席は荷物を一時的に置くスペースとしても活用でき、乗員がいないときには簡易的な収納場所、休憩スペースとしても機能します。
一方で、キャビン部分が長くなる分、荷台スペースが短くなり、積載量を重視する運送業務にはやや不向きな場合もあります。また、全長や重量の増加によって車両の取り回しにも影響が出ます。人と荷物を効率良く運びたい場面で最適な、実用性の高いキャビンタイプといえるでしょう。
ハイルーフキャブ
キャビンの天井が高く設計されたタイプで、通常のキャブに比べて室内高が大きく、ドライバーが車内で立ち上がることができるほどの空間が確保された車両もあります。特に長距離輸送や宿泊を伴う運行を前提とした大型トラックに多く採用されており、仮眠スペースや収納スペースを広く確保できる点が大きな特徴です。
天井が高いため圧迫感が少なく、居住性の高い快適な運転環境を実現できる反面、車両の全高が高くなるため、立体駐車場や高さ制限のある場所では注意が必要です。また、空気抵抗が増すことで若干燃費に影響を与えるケースもあります。
車内に冷蔵庫などを設置する余裕も生まれ、長距離ドライバーにとっては利便性が高いキャビン形状です。
キャビン交換の費用相場
トラックのキャビンは運転席を含む車両の中核部分であるため、損傷や事故などにより交換が必要となる場合、相応の費用が発生します。キャビン単体の交換費用はおおよそ30万円~50万円程度です。
場合によっては修理や塗装等で対応できるケースもありますので、交換の判断は専門業者による診断を受けたうえで慎重に行うことが望ましいでしょう。
トラックのキャビンについ
トラックのキャビンは、ドライバーの安全性や快適性、業務効率にも大きく関わる重要な構造部分です。キャビンの種類によって用途や運転環境が大きく変わるため、自社の業務内容に合ったタイプを選ぶことが求められます。また、万が一損傷した際の交換費用についても把握しておきましょう
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この記事を監修した人

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