トレーラーの運転は、一般的な自動車やトラックとは異なる高度な技術が求められます。特に、バックやカーブといった場面では、長い車体と連結部の特性を理解していないと、思わぬ事故やトラブルを招く可能性もあります。
この記事では、トレーラーの運転における基本的なポイントや、カーブ・バックのコツなどを解説します。日々の業務で安全かつスムーズな運転を行うためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
トレーラーの運転が難しい理由
トレーラーの運転が難しいのは、その独特な構造と長大な車体にあります。
具体的には以下のことが理由として挙げられます。
バック時の動作が逆になる
トレーラーの運転で最も難しいとされるのがバック操作です。通常の車両と異なり、トラクターでハンドルを切った方向とは逆にトレーラーが動くため、感覚がつかみにくくなります。特に初めて運転する人にとっては、トレーラーの後部が意図した方向に動かず混乱を招くことが多いです。
カーブ時の内輪差が大きい
車両全長が長いため、カーブを曲がる際にトレーラー後部が内側に大きく入り込む「内輪差」が発生しやすい構造です。特に交差点や狭いカーブでは、後輪が縁石や歩道、他の車両に接触するリスクが高まります。曲がる際にはトラクターを外側に膨らませなければならず、周囲の車や障害物との距離感を正確に把握する必要があります。
死角が多い
トレーラーはその全長と構造の関係で、通常のトラック以上に死角が多くなります。特に側面や後方の視界が制限されており、斜め後ろの確認が困難です。接触事故や巻き込み事故の原因となることもあり、周囲の状況を常に把握しづらい点が運転を難しくしています。特に交差点や車線変更時には、死角に入り込んだ歩行者や自転車を見逃すリスクも伴います。
トレーラーの運転の基本
トレーラーの運転において最も重要なのは、「車体の長さと連結構造を常に意識すること」です。トラクターとトレーラーが分かれた構造であるため、通常のトラックとは操作感覚が大きく異なります。
また、車体が長く大きいため視界に死角が多く、サイドミラーやバックカメラ、場合によっては誘導者の協力を得て、安全確認を徹底することが求められます。交差点や狭い道路では、早めの減速と十分な間隔を取って進入する判断力も重要です。
さらに、スピードの出しすぎは制動距離の増加につながるため危険です。積載時には車両の重量が増し、ブレーキへの負担も大きくなります。発進・加速・減速は常に穏やかに行い、車体の安定性を維持する運転が求められます。
トレーラーの運転のコツ
トレーラーの運転のコツを「カーブ」「バック」に分けて解説します。
カーブ
カーブを曲がる際には、トラクターが先に進み、後輪がその軌跡より内側を通る内輪差が大きくなることを常に意識しましょう。特に左折時は、トレーラーが縁石や障害物に接触しないよう、早めに膨らんで大きく回る必要があります。
また、対向車や歩行者がいる場合は、ミラーを活用して安全を確認しながら、ゆっくりと丁寧に操作することが大切です。カーブの手前では減速を十分に行い、トレーラー全体の挙動を安定させた状態で進入することが重要です。
急ハンドルや急ブレーキは、連結部に過大な力がかかり、バランスを崩す原因になります。旋回中は後方車両の巻き込みや荷崩れのリスクにも注意し、周囲への配慮も忘れずに運転しましょう。
バック
トレーラーのバックは「小さく操作して、車体の動きを見て微調整する」のがポイントです。最初に後退する方向を決めたら、ハンドルを少しずつ動かし、トレーラーの反応を見ながら慎重に戻しましょう。先述した通り、トラクターの操作とトレーラーの動きが逆になるため、最初は違和感を覚えやすく、慣れるまでは練習が不可欠です。
ミラーだけでなく、可能であれば誘導者を付け、周囲の安全を確保しながら落ち着いて運転することが大切です。また、車両全体が長いため、バック時は少しのズレが大きな誤差となって現れます。焦らずこまめに切り返す意識を持ち、視界が悪い夜間や狭所では無理をしない判断も必要です。安全第一で確実な操作を心がけましょう。
トレーラーの運転で起こりやすい事故
トレーラー関連の事故で特に多いのは「巻き込み事故」「内輪差による接触事故」「バック時の衝突」です。左折時には内輪差によって後輪が歩道や縁石に乗り上げやすく、歩行者や自転車との接触リスクも高まります。また、交差点での大回りが足りず、他車と接触するケースもあります。
さらに、バック時の建物や障害物との衝突、隣接車両への接触なども起こりやすいです。
事故の多くは、運転技術の未熟さや確認不足によるものですが、慣れているドライバーであっても油断は禁物です。常に周囲に配慮した運転と慎重な操作を心がけることが、安全運転の鍵となります。
ジャックナイフ現象について
トレーラー特有の「ジャックナイフ現象」について理解しておくことも大切です。急ブレーキや急なハンドル操作により、トラクターとトレーラーがV字に折れ曲がったような状態になることを指します。発生すると車両の制御が困難になり、大事故に発展する危険性があります。
原因としては、急ブレーキによる制動力の偏りや、雨天・積雪など滑りやすい路面でのタイヤのスリップ、さらには積載バランスの崩れなどが挙げられます。トレーラー特有の構造上、そうした現象が起こりやすく、常に注意が必要です。
ジャックナイフ現象に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:トレーラーのジャックナイフ現象とは?原因・対処法を紹介
長距離を運転する際のポイント
長距離運転では、「体調管理」と「計画的な運行」が重要です。まず、長時間の運転による集中力の低下を防ぐために、2時間おきに15分程度の休憩を入れるなど、無理のないスケジュールを組むことが求められます。また、連結部分の確認やタイヤ・ブレーキの点検など、出発前の安全チェックも怠ってはいけません。
長距離運転では、疲労や焦りが事故につながりやすいため、「焦らず、急がず、余裕ある運転」を徹底することが、安全な運行につながります。
トレーラーの運転の基本とコツをチェック
トレーラーの運転は、連結構造による独特な挙動や長大な車体により、高度な技術と慎重な操作が求められます。特にカーブやバックでは、内輪差や車両の動きを把握し、的確な運転が必要です。また、死角の多さから、ミラーやカメラを活用した安全確認も欠かせません。そうした運転のポイントを押さえることで、安全な走行を実現できます。
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この記事を監修した人

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