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トラックのDPFとは何?仕組みやメンテナンス方法を解説

まなびのコラム

トラックのDPFとは何?仕組みやメンテナンス方法を解説

工事現場や物流の最前線で活躍するディーゼルトラックは、エンジンの性能だけでなく、排出ガス処理の技術も年々進化しています。

燃費と環境負荷の両立を図るための仕組みが車両に組み込まれているため、メンテナンスやトラブル対応にも一定の知識が必要になっています。ディーゼルトラックを使用する上で、そうした仕組みを正しく理解し、適切な管理を行うことは欠かせません。

この記事では、ディーゼルトラックに搭載されている排出ガス浄化装置「DPF」に焦点を当て、その仕組みや、よくあるトラブル、メンテナンス方法などを解説します。

トラックのDPFとは?

DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)とは、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(PM)を捕集・除去するための装置で、大気汚染物質の低減を目的とした排出ガス規制への対応に欠かせない存在です。

導入の背景

DPFの導入は、ディーゼル車特有の環境問題に対応するために始まりました。ディーゼルエンジンは燃費効率に優れる一方で、微細な粒子状物質や窒素酸化物を多く排出するという課題がありました。

それらの物質は、環境汚染に加え、ぜん息や肺疾患などの健康被害の原因とされ、社会的にも大きな問題となっていたのです。そうした背景から、各国で厳格な排出ガス規制が導入され、車両メーカーはそれに対応する技術の開発を迫られました。その一環としてDPFは登場し、日本では2000年代以降の新型トラックに順次搭載が進められました。

構造・仕組み

DPFの内部は、セラミック製のハニカム構造で、微細なPMを効率的に捕集できるように設計されています。排気ガスがDPF内を通過する際、PMはフィルターに付着して留まり、きれいなガスだけが排出されます。一定量のPMが溜まると、自動的に「再生」と呼ばれる燃焼処理が行われ、フィルター内部のPMを高温で焼き尽くします。

その再生処理には、エンジンの排気熱を活用する「自動再生」や、燃料を噴射して温度を高める「強制再生」などの方式があります。そうした仕組みによって、DPFは継続的に機能が保たれるのです。

トラックのDPFに関するよくあるトラブル

トラックのDPFに関するよくあるトラブル

DPFは日々の運行状況や運転環境によって、その状態が大きく左右されます。

以下は、現場でよく見られる代表的なトラブルの例です。

・再生頻度が短い
・再生が完了しない
・ランプが消えない

それらのトラブルの原因としては、短距離走行の頻度が高い、DPF内部の目詰まり、あるいは圧力センサーや温度センサーなどの故障・異常などが考えられます。

短距離走行やアイドリングが多い運行では、排気温度が上がりにくく、再生効率が低下します。その結果、完全に燃焼されずにPMが残留し、再生頻度が増えるという悪循環に陥ります。

自動または強制再生が始まっても、途中で中断されるケースもあります。それは走行中の停車や低速運転により、再生に必要な温度が維持できないためです。再生が不完全な状態が続くと、DPFの詰まりが進行し、性能が低下します。

DPF警告ランプが点灯し続ける場合、フィルターの詰まりが深刻であるか、センサー類に異常が発生している可能性もあります。

DPFのメンテナンスの必要性

DPFのメンテナンスの必要性

DPFの性能を長く維持するには定期的なメンテナンスが欠かせません。トラックの運行状況や走行環境によっては、フィルター内部にPMが蓄積され、再生処理だけでは除去しきれないケースもあります。

蓄積が進行すると、燃費の悪化やエンジン出力の低下、最悪の場合は走行制限といった重大なトラブルにつながる恐れがあります。また、DPFの強制再生の頻度が増えると、燃料の無駄使いや部品への熱的ダメージも避けられません。

そのため、定期的なメンテナンスを行うことで、DPF本来の性能を保ち、トラック全体の稼働率を高めることが重要です。特に長距離走行の少ない車両やアイドリングが多い運行では、フィルターの詰まりが早まる傾向にあるため、より一層の注意が必要です。

メンテナンス方法

DPFの性能を安定的に保つためには、日々の運行における工夫と定期的なメンテナンスの両立が重要です。まず、再生処理が正常に行われるようにするには、定期的に高速道路などで一定距離を走行するのが効果的です。排気温度が十分に上がることで、DPF内に溜まったPMが自動的に燃焼され、目詰まりを防ぐことができます。

また、定期的に専門業者にDPF洗浄を依頼するのも効果的です。専用の機器・設備を用いて内部に蓄積したPMや灰分を除去することで、性能を回復させることができます。定期的な走行再生と専門業者による洗浄を組み合わせることで、DPFの寿命を延ばすことができるでしょう。

DPFの交換費用の相場

DPFの交換費用の相場

DPFの交換には高額な費用がかかることが多く、車種やサイズによって金額は大きく異なります。一般的に小型トラックでは30万〜50万円程度が相場で、中型〜大型トラックでは50万〜100万円前後に達するケースもあります。

費用を抑えたい場合には、メーカー純正の新品ではなく、性能を回復させたリビルト品(再生品)を活用するという方法もあります。定期的な点検・洗浄で交換自体を避けるのも重要な対策です。

トラックのDPFについて

DPFとは、ディーゼルトラックの排出ガスをクリーンにするための装置です。その仕組みや再生処理の流れを理解し、適切な運転と定期的なメンテナンスを心がけることで、フィルターの目詰まりやトラブルを防ぐことができます。特に短距離走行の多い車両では、DPFに関するトラブルが発生しやすいため、定期的な点検や洗浄などのメンテナンスを行うことが重要です。

なお、DPFに関する不調や修理に関する相談、または車両の買い替えをご検討中の場合には、ぜひ「トラックランド」にご相談ください。全国対応で、車両の買取・販売をはじめ、陸送、メンテナンス、リース(サブスク)まで一括対応が可能です。

グループ会社の「陸送ネット」では、登録・整備・車検・陸送まで一貫したサポートが可能で、定期点検、修理、メンテナンスなどのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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