「オートメーション化を進め、工場の規模を三倍にすることが目標です。」
栃木県那須塩原市に本社を構える株式会社サンポー。
同社はホテルや店舗などで使用する、シーツやタオルなどのリネン類やマットを扱う業務用クリーニング企業だ。
来年、設立50年目の節目を迎え、
更なる企業発展に向け邁進し続けている。
代表取締役、大田原誠氏にお話を伺った。
【株式会社サンポー】
設立:1976年4月
本社住所:栃木県那須塩原市青木504
事業内容:マット・モップ類・仮設資材・毛布・布団その他多種のクリーニング
保有車両:アルミバン7台
従業員数:32名
-貴社の事業内容をお聞かせください
リネンなどを扱うレンタル事業者向けのクリーニングサービスを主に行っています。内容としてはホテルなどで使用するシーツやタオル、他にもフロアマットやモップなどを扱っていて、おおよそですが一日にシーツは1万枚、マットは一日2〜3千枚クリーニング作業を行っています。従業員数は現在32名、内8名がドライバーです。
-貴社の創業経緯や歴史をお聞かせください
サンポーは1976年に私の父が創業し、開業当初は絨毯専門のクリーニング会社でした。その後、お客さんからマットクリーニングの仕事を持ち掛けられたことをきっかけに、マット専用の工場を増設。以降も規模を拡張して、シーツ等のリネン類などを取り扱うようになりました。
-大田原社長の経歴についてお聞かせください
クリーニング業はいわゆる家業になるのですが、最初から務めていたわけではなく社会人の初めは接客業として東京でアパレル店員をしていました。働きだす前は東京の専門学校に通っていましたが、クリーニングとは全く関係のない法律の学校でした。自分が勉強したかったというよりも父の勧めでしたね、将来役に立つからと。ただ、会社を継いでから役に立ったことは今のところないですが(笑)東京で働いていた時も、いずれは会社を継ぐんだろうなという気持ちは常に持っていました。2011年に栃木に戻ったのですが、震災などの影響もあり、戻ってすぐに経営側として業務に携わりました。約10年前に父が亡くなり、2016年から自分が社長職を継いでます。なので社長歴としてもうすぐ10年になりますね。
-業務のこだわりや日々意識していることをお聞かせください
クリーニング屋ですのできれいに仕上げるということは大前提での話ですが、量をこなしつつ納期を守る。いかに素早いスピードで仕上げるかということに重きを置いています。現状の規模と人員ではなんとか工場を回せていますが、やはり従業員の年齢があがるにつれ体力面などを考慮すると、いかに設備投資等でオートメーション化し業務負担を軽減できるのかということが課題にあります。
-弊社サービスを知ったきっかけやご利用の感想をお聞かせください
今年に入って使用していた車両が2〜3台立て続けに故障や不調になってしまい、すぐに車両をレンタルできる会社を探していました。そこでネット検索をしたところ、トラックランドさんを見つけてレンタルをさせていただきました。同じ栃木県内の大田原市に車両センターがあり、会社からの距離もそこまで遠くなかったところがポイントでした。その後もレンタル以外に短期リースサービスの「サブスクdeスグのり」を利用したり、希望に適した車両があったので購入したりと幅広く利用させていただいてます。
-利用している車両の活用方法をお聞かせください
全ての車両を回収や、クリーニング済みリネン類の運搬に利用しています。クリーニング品はホテルや店舗などと直接取引してるわけではなく、弊社はシーツやマットを取り扱っているレンタル会社の下請けのような形でやり取りを行っています。なので引き取り先でホテルなどに直接回収したり届けることは少なく、レンタル会社の倉庫などがメインになりますね。実は栃木県でやり取りしている会社はほとんどなく、東京や千葉、埼玉などの関東圏。北はその他で言いますと仙台や青森まで行きます。関東圏のドライバーは日帰りで、遠距離のドライバーは現地で一泊してもらって戻るという形で回していますね。回収したものはカゴ台車に乗せて運搬するのですが、マットなんかはかなり重量があり約400〜500 になることもあるので、担当ドライバーは体力のある若い男性が多いです。またカゴ移動の兼ね合いで、トラックは全台PG(パワーゲート)付きを使用しています。
-貴社の現在と今後の展望をお聞かせください
当社は業態柄、価格転嫁など資金面で苦労することも多いのですがだんだんと改善の兆しも見え、ようやく賃上げに踏み切れるようになりました。先ほどオートメーション化のお話をさせていただきましたが、それと同時に工場の規模を現在の三倍にしたいと考えています。機械も新しいものを導入したいと思いますが、実は古い洗濯機も新型のものでも洗浄力はそんなに変わらないんです。ただ燃費という面に関して言うと、新しい機械の方が圧倒的に燃費はよくなりますね。燃費以外では先ほどもお伝えしましたが、新型機械の導入でより従業員の負担軽減に繋がればなと考えています。工場の規模を大きくしたいということで移転の計画があったのですが、コロナ禍の影響で頓挫してしまったんです。現在インバウンド旅行客の増加によりリネン使用量が増え、ありがたいことに忙しくなりつつあるので、落ち着いたらまた工場の規模拡大に向け話を進めていきたいです。先ほどお伝えしたインバウンド旅行客増加により、事業用クリーニングに対する需要が増えている一方で、業者の数は実は減少傾向にあります。理由としていくつかありますが人件費高騰、後継者不足による人の問題。燃料費高騰によるコスト圧迫などがあげられます。クリーニング用の機械って大量の燃料を使用するんですよね。実際に知人の会社の中でも、経営状況が悪化した姿を何社も目の当たりにしてきました。ですが、需要はこれからも増していく業態であるとも考えています。引き続き事業拡大を目指し仕事を続けていければと思います。
インタビュー後、実際にクリーニング作業を行う工場を見学をさせていただき、普段見ることのない業務用の巨大な機械に圧倒された。洗濯機や乾燥機など、それぞれに解説をいただき一回あたり扱える量が家庭用の約数十倍と普段家庭用しか見たことのない編集チームにとって驚きの量だった。また、工場では従業員の方が優しく挨拶を返してくださったり、大田原社長に気さくにお声がけされてる光景を見て温かい社風を感じた。物流業界に関わる会社取材が多い我々だが、今回普段触れることのないクリーニング業界の一端に触れその仕事の奥深さや、そこで働く人々の温かさに触れる貴重な機会となった。