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【運転免許の自主返納】適切なタイミングや方法・注意点を解説

まなびのコラム

【運転免許の自主返納】適切なタイミングや方法・注意点を解説

高齢ドライバーによる事故が社会問題となっている中、「運転免許の自主返納」に注目が集まっています。

運転に不安を感じて、自主返納する方、検討する方が多い一方で「どのタイミングで返納すべきか」「返納すると生活にどのような影響があるのか」など、疑問や不安を抱く方も少なくありません。

今回は、自主返納の制度の概要や、適切なタイミング、メリット、注意点、手続きの流れなどを解説します。

運転免許の自主返納とは?

車両の運転を続けることに不安を感じた方が、自らの意思で有効な運転免許証を返納する制度のことです。平成10年に導入され、法律上は「申請による運転免許の取消し」と呼ばれ、全国の運転免許センターや警察署で手続きを行うことができます。

高齢化社会の進展に伴い、高齢ドライバーによる交通事故が社会問題化する中で注目されるようになった制度です。

自主返納を行うと運転はできなくなりますが、希望者には「運転経歴証明書」が交付されます。令和元年からは免許を失効した人にも「運転経歴証明書」が交付されるようになったことから、令和元年から令和3年頃にかけては自主返納の件数が急増しています。

参考:運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移

自主返納の適切なタイミング

自主返納の適切なタイミング

自主返納する時期、タイミングに悩む方は少なくありません。一般的には65歳~75歳前後で返納する方が多い傾向にあります。返納の適切なタイミングは、「運転に不安を感じ始めた時」で、具体的には以下のような状況が挙げられます。

例えば、標識の見落としが増えた、車庫入れや駐車に時間がかかるようになった、夜間や雨天での運転が怖くなったといった状況です。また、アクセルとブレーキの踏み間違えを経験したり、家族から「危ないのでは」と指摘されることが増えた場合も、大きなサインといえるでしょう。

なお、加齢による視力や聴力の低下、反応の遅れなどは、本人が自覚しにくい場合もあります。そのため、定期的に健康診断を受け、自らの運転能力を客観的に確認することも大切です。

自主返納のメリット・注意点

自主返納のメリット・注意点

自主返納のメリットや注意点としては以下のことが挙げられます。

メリット

車両の運転をやめることで、加齢に伴う判断力や反射神経の低下による事故を未然に防ぎ、自分自身と家族、そして地域社会全体の安全を守ることができます。返納は「運転をやめる」行為にとどまらず、安心して生活を続けるための前向きな選択といえるでしょう。

返納後に申請できる「運転経歴証明書」は、金融機関での本人確認や携帯電話契約などに利用できる公的な身分証明書として機能します。さらに地域によっては、交通系ICカードのチャージへの補助やバス・電車の運賃割引、タクシー料金の割引チケットの配布、スーパーや商店街での買い物割引、温泉施設や映画館などの文化・娯楽施設での優待など、多岐にわたる特典が用意されています。

そうした特典は自治体ごとに異なりますが、高齢者の移動や日常生活を支える重要な仕組みでもあり、自主返納の大きな後押しとなっています。

参考:高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧 | 警視庁

注意点

一方で、自主返納を行うと運転免許証は失効し、取り消しや再発行はできないため、後から「やはり必要」と思っても簡単には取り戻せません。そのため、返納のタイミングは生活環境や将来的な交通手段を十分に考慮して決める必要があります。

特に公共交通が発達していない地域では、車が使えないことが日常生活に大きな制約をもたらす可能性があるため、返納前に移動手段をどう確保するかを検討することが大切です。

自主返納の方法・流れ

自主返納は、各都道府県の運転免許センターや警察署で手続きが可能です。まず、運転免許証を持参し、窓口で「運転免許の取消申請」を行います。申請書に必要事項を記入し、本人確認書類(免許証自体を含む)を提出することで、手続きは完了します。委任状等があれば、代理人による申請も基本的に可能です。

特別な書類を揃える必要もなく、時間もそれほどかからないため、難しい手続きではありません。必要なものを持参すればその日のうちに申請が終わることがほとんどで、費用負担としては運転経歴証明書を発行する場合の手数料のみです。

相談窓口

相談窓口

運転免許の自主返納を検討している方や、高齢や病気などにより運転を続けることに不安を感じている方は、一人で悩まずに専門の相談窓口を活用するのがおすすめです。全国の運転免許センターや警察署には「安全運転相談窓口」が設けられており、自主返納の判断や返納の流れ、必要な手続きなどについて質問・相談することができます。本人だけでなく、ご家族からの相談も可能です。

また、外出が難しい方やすぐに相談したい方のための、電話による専用相談ダイヤル(#8080)もあります。その番号にかけると、発信場所を管轄する都道府県警察の安全運転相談窓口へ自動的につながり相談できます。

運転免許の自主返納について

運転免許の自主返納は、加齢や体調の変化により運転に不安を感じたときに検討すべきことです。返納を通じて交通事故を未然に防ぎ、自分自身と周囲の安全を守ることができます。返納後には身分証明として利用できる「運転経歴証明書」が交付され、公共交通機関や地域の生活支援サービスの割引など、多くの特典を受けられる点も大きなメリットです。

ただし、返納は一度行うと取り消しができないため、生活環境や移動手段を十分に考慮し、家族ともよく話し合った上で判断することが大切です。

運転免許証の自主返納を検討されている場合にはぜひ参考にしていただければと思います。

この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

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