トラックを運転していて「ブレーキが常に効いている感じがする」「走行中に違和感を感じる」という場合には、ブレーキの引きずりが起きているかもしれません。放置すると燃費の悪化やブレーキ部品の異常摩耗、最悪の場合には重大なトラブルにつながることもあります。
今回の記事では、ブレーキの引きずりの主な原因から確認方法、修理費用の目安までわかりやすく解説します。ブレーキの引きずりについて知りたい方、起きている可能性がある場合はぜひチェックしてください。
ブレーキの引きずりとは?
ブレーキペダルを踏んでいないにもかかわらず、ブレーキパッドやブレーキシューが常にディスクローターやドラムに軽く接触し続けている状態を指します。本来であれば、ブレーキはペダルから足を離せば完全に解除される仕組みになっていますが、何らかの不具合によりその解除がうまくいかず、走行中でもブレーキがかかったままの状態となってしまうのが「引きずり」です。
引きずりが起きると、車両の走行に抵抗が生じ、加速の鈍化や燃費の悪化、タイヤの偏摩耗といった症状が発生する可能性があります。さらに悪化すると、ブレーキの過熱や焼き付きによって制動力そのものが失われ、重大な事故の原因にもなりかねません。安全かつ効率的な運行のためにも、早期発見と適切な対応が求められる現象です。
火災に至る重大事故につながる例も報告されており、国土交通省では事故防止を目的とした検証動画を公開し、日常点検や整備を徹底するよう注意喚起を行っています。運転中に引きずりを感知するのは困難なケースもあるため、定期的な点検と整備が重要です。
【トラック】ブレーキの引きずりの原因は?
トラックのブレーキの引きずりの主な原因として挙げられるのは「ペダル摺動部の錆」「ブレーキキャリパーの固着」などです。
ペダル摺動部の錆
ブレーキペダルの摺動部に水分を含んだ泥や砂などの異物が付着したまま放置されると、錆が発生しやすくなります。錆によって動きが鈍くなり、ペダルの戻りが悪くなったり、操作時に引っかかりを感じるようになります。そのような状態になると、ブレーキが完全に解除されず、引きずりの原因となることがあります。特に雨天後は泥や湿気が溜まりやすく、長距離走行のあとは異物が付着していないかを確認する習慣をつけておくと、トラブルを防げます。また、グリスアップなどの定期的なメンテナンスも有効です。
ブレーキキャリパーの固着
ディスクブレーキに使われるキャリパーは、ブレーキパッドを動かす重要な部品です。錆や汚れ、ブレーキフルードの劣化などにより、キャリパーピストンが動かなくなり、パッドがローターに押し付けられたままになる「固着」が発生します。それも引きずりの原因のひとつです。動作に違和感があれば、早急に専門的な点検を受けて清掃・交換等を行いましょう。特に定期点検でのピストンの動きの確認は重要です。
ブレーキの引きずりの確認方法
ブレーキの引きずりを放置すると車両の性能が著しく低下し、重大なトラブルに発展する恐れがあります。ドライバー自身が日常の走行・点検の中で確認する方法がいくつかあります。
ここでは、確認方法をポイントに分けて紹介します。
ホイール付近の温度をチェックする
走行後にホイール周辺が異常に熱を持っている場合、その箇所のブレーキが引きずっている可能性があります。特に一部のホイールだけが明らかに高温になっているようであれば要注意です。直接手で触ると火傷の危険があるため、非接触型の温度計や赤外線温度センサーを使って安全に確認しましょう。
走行時の違和感に注意する
運転中に車体が左右どちらかに勝手に寄っていくような感覚があれば、片側のブレーキに引きずりが発生しているかもしれません。また、停止したときに焦げたようなにおいがする場合も、ブレーキの過熱によるトラブルの兆候です。
燃費や加速の変化を確認する
急に燃費が悪くなった、加速が鈍くなったと感じる場合、ブレーキが常に軽くかかっていることで車両に余計な負荷がかかっている可能性もあります。それは車両の抵抗が増し、エンジンの出力がスムーズに伝わらなくなっている証拠です。
ブレーキの操作感に違和感がないか確認する
ブレーキペダルの戻りが悪い、踏み心地がいつもと違うと感じる場合も要注意です。引きずりによって部品が過熱・摩耗している場合、制動力が低下していることがあります。そうした兆候は、重大な故障の前触れである可能性もあります。
ブレーキの引きずりの修理費用の相場
ブレーキの引きずりの修理でかかる費用は、原因や損傷の程度によって大きく異なります。比較的軽度なものであれば、部品の洗浄やグリスアップといった簡易な整備で済むこともあり、その場合は数千円~1万円程度で対応可能なケースもあります。
ブレーキキャリパーやスライドピンの交換が必要な場合には2~5万円程度、複数の部品が劣化している場合は10万円を超える修理費が発生することもあります。さらに、損傷が進行している場合には、数十万円の費用がかかることも珍しくありません。
小さな異変に気付いた時点で早めに整備を受けることで、結果的にコストを抑え、安全性も確保できるでしょう。ブレーキの異常は安全運転に直結する重要なポイントです。引きずりが疑われる場合には放置せず、早めに専門的な点検を受けましょう。
ブレーキの引きずりが起きている場合には
トラックのブレーキの引きずりは、ペダル摺動部の錆や、ブレーキキャリパーの固着など、様々な原因で発生します。走行中の違和感や燃費の悪化、異常な高温といった症状がある場合には、早めの点検と修理が重要です。放置すると重大な事故につながる恐れもあるため、注意しましょう。
なお、トラックの修理依頼や買い替えをお考えの場合には、中古トラック販売店「トラックランド」にぜひご相談ください。豊富な在庫と専門スタッフによるサポート体制で、安心・安全な車両を提供しております。在庫にない車両についても、ご希望条件に合わせて全国に広がるネットワークを活かして最適な1台をお探しすることができます。
さらに、グループ会社「陸送ネット」では、整備・車検・登録・納車の対応が可能で、万一の不具合や定期メンテナンスもサポートしております。法人・個人問わず柔軟な対応が可能ですので、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。
車両の陸送・登録・車検・整備を手掛け、全国対応でスムーズな車両移動をサポート。特殊車両や大型車両にも対応し、法人・個人を問わず幅広いニーズに応えています。
この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。
実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。
趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。
「月刊トラックランドオンライン」にて、中古トラック選びのコツや業界の最新情報を発信中。
ぜひチェックしてください!