トラックを維持する上で、避けては通れないのが車検の問題です。自家用車の車検とは一部異なるため、事業者やトラック所有者は制度を正しく理解する必要があります。
本記事では、トラック車検の有効期間や主な点検項目、発生する費用について解説します。
トラック車検の有効期間
初回 | 2回目以降 | |
8トン未満 | 2年 | 1年 |
8トン以上 | 1年 | 1年 |
軽トラック | 2年 | 2年 |
貨物トラックの車検有効期間は、車両総重量によって異なります。8トン未満のトラックの場合、初回は2年間有効で、その後は毎年車検を受ける必要があります。一方、8トン以上のトラックは、初回も含めて有効期間は1年間です。
軽トラックについては、初回が2年間、その後の車検も2年ごととなっています。このように、トラックの種類や重量によって車検の頻度と期間が定められているため、時期を把握しておく必要があります。
車検切れに関する罰則
車検切れの状態で公道を走行することは、法律で禁止されており、違反した場合には重大な罰則が科されます。道路運送車両法第108条では、車検が切れた状態で車両を運転した場合、違反点数は6点で、免許停止30日間の処分となっています。さらに、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることもあります。
そのような罰則はドライバー個人に対するものだけでなく、違反車両を管理する事業所にも行政処分が下されることがあり、企業の信用や運営に深刻な影響を与えかねません。そのため、事業所では車検の有効期限を適切に管理し、常に法規を遵守する体制を整えることが重要です。
検査項目
トラック車検での検査項目は多岐に渡ります。検査項目の一部とその詳細を解説します。
外回り
車体の各部機能が適切に作動しているかをチェックします。全ての照明装置が正常に機能しているか、またクラクションやワイパーの動作確認などが行われます。
また、不正改造が行われていないかどうかも確認され、車両が法令に違反する改造や安全基準を満たさない改造をしていないことを確かめます。
エンジンルーム
ファンベルトのひび割れや緩み、オイル漏れや水漏れがないかを確認、さらに、排ガスの検査も行います。
CO2濃度が環境基準に適合しているかどうかの確認も含まれ、車両が環境規制を遵守しているかが評価されます。また、公害発散防止装置が正常に動作しているかどうかも検査対象です。
室内
ハンドルのがたつきがないか、ブレーキペダルやクラッチペダルの遊びが適切な範囲内であるかなどをチェックします。
また、パーキングブレーキが正常に作動するかの確認や、車内のメーターパネルも視認し、エンジンチェックランプをはじめとする警告灯が点灯していないかを確認します。
足回り
タイヤやホイール、ショックアブソーバーなどの状態もチェックします。タイヤの摩耗状態や空気圧が規定値内にあるか、ホイールに歪みがないか、またショックアブソーバーのオイル漏れ等がないかも検査項目です。
さらに、ブレーキパッドやブレーキディスクの摩耗状態も対象ですので、状態によっては事前に交換する必要があります。ハブベアリングの点検では、がたつきがないか、適切なグリスが注されているかがポイントとなり、必要に応じて調整やグリスの補充が必要です。
下回り
車体の下部から各種構造部分の検査を行い、ステアリングやサスペンションの主要部品であるロッドやアームの緩みや破損、プロペラシャフトのがたつきがないかをチェックします。
また、ブレーキホースやパイプにひび割れや損傷がないかもポイントで、必要に応じて修理や交換が求められます。加えて、オイル漏れやマフラーの状態、MT車では、クラッチの消耗も検査対象です。
法定費用と整備点検費用
トラック車検の費用は、法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料)と、車両の状態に応じた整備点検費用に分けられます。法定費用は決まった金額ですが、整備点検費用に関しては車両の状態や依頼する業者によって異なります。
車検費用は一般的な自家用車よりも高額であるため、費用の内訳を理解し、資金計画を立てることが重要です。
法定費用
自動車重量税は、車両総重量や自家用か事業用か、エコカーであるかどうか、車両年数等によって変わります。
【継続検査】事業用トラック
エコカー | エコカー以外 | |
1t以下 | 2,500円 | 2,600円 |
~2t | 5,000円 | 5,200円 |
~2.5t | 7,500円 | 7,800円 |
~3t | 7,500円 | 7,800円 |
~4t | 10,000円 | 10,400円 |
~5t | 12,500円 | 13,000円 |
~6t | 15,000円 | 15,600円 |
~7t | 17,500円 | 18,200円 |
~8t | 20,000円 | 20,800円 |
~9t | 22,500円 | 23,400円 |
~10t | 25,000円 | 26,000円 |
※車両年数、13年経過、18年経過で料金は異なります。
参考:2023年5月1日からの自動車重量税 – 国土交通省
自賠責保険料は保険期間や、車両総重量、自家用か事業用かによって異なります。
【事業用】離島以外の地域の保険基準料率
12ヶ月 | 24ヶ月 | |
最大積載量が2トン以下 | 17,790円 | 30,110円 |
最大積載量が2トン以上 | 24,100円 | 42,610円 |
検査手数料に関しては、新規検査の場合2,200円、継続検査の場合には1,900円になります。
参考:登録・検査手数料一覧表 – 国土交通省
整備点検費用
基本的な点検整備費用と、車両の状態に応じて異なる整備工賃と部品代が発生します。点検で問題が見つからなければ、点検整備費用のみで済みますが、事業用トラックなど酷使される車両では、多くの場合、車検通過のための追加整備が必要となります。
整備工賃はレバレート(時間工賃)を基に、作業にかかる時間を見積もって算出されます。
トラック車検について
トラックを所持する場合、定期的に車検を受ける義務が発生します。自家用車と比較して、トラック車検はいくつかの異なる側面があり、それらを理解することが重要です。また車検時には高額な費用が発生するため、事業者においてはそれを見据えた経営が求められます。
なお車検に加えて、ドライバーによる日々の点検も重要です。日常点検を通じて、不具合を早期に発見し、悪化を未然に防ぐことで、高額な修理費用の発生を抑えることができます。
車検時に多くの整備や修理が必要になると、その費用は著しく増加します。したがって、日常のメンテナンスを怠らずに行うことで、車検時の出費を効果的に抑制することができます。