産業の現場においては、原料や製品を効率的に運ぶことが求められており、粉体・粒体・液体などの流体を大量に輸送するシーンでは、専用の運搬車両が活用されています。
今回は、その一つである「バルク車」に焦点を当て、定義や、種類、仕組み、運転に必要な免許・資格などを解説します。バルク車について知りたい方や、車両をお探しの方はぜひご覧ください。
バルク車とは?
セメントや穀物、飼料、化学製品などの粉体・粒体・ペレット状の資材を輸送するための専用トラックです。正式名称は「粉粒体運搬車」で、「ホッパー車」「エア車」「バルクローリー」などとも呼ばれています。
荷台部分にはタンク状の容器が搭載されており、内部の気密性と圧送機構によって荷降ろしを効率的に行える構造になっています。
一般的な平ボディやダンプトラックでの輸送とは異なり、荷物を袋詰めせずにバルク(大量・一括)の状態で運搬できるのが特徴です。それにより、積み込み・荷下ろしの省力化や衛生面の向上が実現します。
タンクの材質に関しては様々な種類があり、アルミ製・ステンレス製・鉄製など、輸送する物質に応じて選ばれ、食品・化学・建設など多様な分野で使用されています。
タンクローリーとの違い
バルク車とタンクローリーは似ていますが、運ぶ物質や排出方式、構造設計などに違いがあります。タンクローリーは主にガソリンや軽油、水、牛乳、化学薬品などの液体・気体を安全に輸送するための車両で、ポンプや重力を利用して内容物を流し出す仕組みです。
一方、バルク車は主にセメントや飼料、プラスチックペレットなどの粉体・粒体を対象とし、タンク内に圧縮空気を送り込むことで荷下ろしを行う「エアー圧送方式」が一般的です。その構造により、密閉状態を保ちながら粉じんの飛散を防ぎ、作業環境を清潔に保てます。
主な架装メーカー
バルク車は通常のトラックと構造が異なることから、荷台部分は架装メーカーによって、製造されています。
以下が代表的な国内メーカーです。
・自動車精工株式会社(リフト)
・極東開発工業株式会社
・昭和飛行機工業株式会社
・日本トレクス株式会社(旧:日本トレールモービル)
・新明和工業株式会社
バルク車の種類

バルク車の主な種類とその特徴・用途などを解説します。
エアレーションブロー式
粉粒体を圧縮空気で流動化させ、エアーとともに圧送して荷下ろしを行う仕組みです。タンク上部にあるマンホールからセメント、炭酸カルシウム、石灰などの鉱産物、あるいはポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂ペレットを積み込み、密閉後にタンク内へエアーを送ります。
タンク下部から送られる圧縮空気が粉粒体と混ざることで流動化が起こり、その状態になると、排出バルブを開けるだけで粉粒体を長距離・高所まで排出することが可能になります。この方式は構造が比較的シンプルでメンテナンス性にも優れています。
エアスライド式
タンクの底部に取り付けられた「エアスライド」と呼ばれる多孔質の布を通して圧縮空気を均一に送り込み、粉体を流動化させる方式のバルク車です。
主にセメントやフライアッシュなどの微細な粉体の輸送に適しています。タンクは一般的に「一室傾胴型」と呼ばれる傾斜構造で排出バルブの操作は一ヶ所になります。
セミトレーラー
大量輸送向けの大型タイプです。タンク容量が大きく、一度に多くの粉体・粒体を運搬できるため、セメントや飼料、化学原料などの長距離輸送に最適です。
牽引式であるため、荷下ろし後にトレーラーだけを切り離して別の作業を行えるなど、運用効率が高い点が特徴です。車両の分離によってメンテナンスや積み替えも容易で、柔軟性の高い運用が可能です。
ダンプ併用式
タンク全体をダンプ機構によって傾け、重力の力で粉粒体を排出する方式のバルク車です。主に小麦粉やグラニュー糖などの食品系粉粒体の輸送に使用され、タンクを後方に傾斜させて積荷を後部の排出口へ導いて排出します。
後部ハッチの開閉が可能な構造のため、清掃やメンテナンスも容易で、衛生管理を重視する必要がある食品輸送に適しています。排出バルブが一ヶ所に集約されているため、操作がシンプルで作業効率も高く、残留量が比較的少ない点も特徴です。
飼料運搬車
家畜用の配合飼料や穀物を効率的かつ衛生的に運搬するための専用バルク車です。多くの車両のタンク内部は複数の仕切りに分かれて、種類の異なる飼料を一度に積載できる構造になっています。輸送先では、サイロや飼料タンクへ直接投入できます。
畜産現場では、飼料の品質を保ちつつ供給効率を向上させるために欠かせない存在であり、生産性向上と省力化に大きく貢献している車両です。
バルク車の運転に必要な免許・資格

バルク車を運転するには、基本的に大型免許が必要です。セミトレーラータイプのような連結車両を扱う場合は、けん引免許が追加で求められます。
また、運搬する積荷の種類によっては専門資格の取得が義務付けられています。LPガスを運搬・配送する場合は「高圧ガス移動監視者」の資格が必要で、さらにガスの充填作業を行う場合は「充填作業者」資格も求められます。
必要な免許や資格を把握、適切に取得し、安全基準を守ることが、法令遵守と事故防止の観点から不可欠です。
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バルク車について
今回は、「バルク車とは何か?」というテーマで定義や、種類、仕組み、運転に必要な免許・資格などを解説しました。
粉体や粒体といった流体状の資材を効率的に運搬するために欠かせないバルク車は、建設・化学・食品・畜産といった多様な産業を支えています。
エアレーションブロー式やエアスライド式、セミトレーラー、ダンプ併用式、飼料運搬車などの種類があり、扱う物質や現場環境に応じて最適なタイプを選ぶ必要があります。
運転には車両サイズに応じた免許のほか、積荷によっては専門資格が必要になる場合もあります。安全かつ効率的な輸送を実現するためには、特性を理解した上で車両を選び、日々のメンテナンスも怠らないようにしましょう。
この記事を監修した人
トラックランド管理人:高良
神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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