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まなびのコラム

リフトアクスル機能とは何?仕組みメリット・デメリットなどを解説

トラックやトレーラーには輸送の効率化や燃費・安全性の向上などに繋がる様々な装備や機能があります。そのひとつが「リフトアクスル機能」です。

今回の記事では、リフトアクスル機能の仕組みや特徴、メリット・デメリット、使用する上で知っておくべき注意点などを解説します。リフトアクスル機能について知りたい方や、興味がある方はぜひご覧ください。

リフトアクスル機能とは?

トラックやトレーラーなどに搭載されている補助車軸(アクスル)を昇降させる機構・機能のことです。積載量や走行状況に応じて不要な車軸を昇降させることができます。

通常、大型トラック・トレーラーには複数の車軸が装着されていますが、全ての車軸を常時接地させていると抵抗が増え、燃費効率が悪くなります。リフトアクスル機能を活用すれば荷物が少ない時や空荷走行時にアクスルを持ち上げることで、走行効率を高めることができるのです。

環境負荷の低減や運行コスト削減を目的として、近年では多くの大型トラック・トレーラーで標準装備またはオプション設定されています。

仕組み

リフトアクスルは、主にエアサスペンションの空気圧制御によって作動します。車軸ごとに設けられたエアバッグ(エアスプリング)の空気を抜くことで車軸を持ち上げ、再び空気を充填することで車軸を下げて接地させます。

その制御は、運転席のスイッチや自動制御システムによって行われ、積載重量に応じて自動で昇降するタイプも存在します。

使用場面

主に空荷走行時や軽積載時に活用される機能です。納品を終えて荷台が空になった帰路や、工場から現場へ軽量資材を運搬する際など、荷重が軽い場面で使用されます。特に長距離輸送や都市間輸送では、空荷での走行距離が長くなるケースも多く、リフトアクスルを活用することで様々なメリットをもたらします。

車庫入れや構内走行など低速走行時に車体の取り回しを改善したい場面でも有効です。リフトアップによって車体の旋回半径が小さくなるため、操作性が向上します。

リフトアクスル機能のメリット・デメリット

リフトアクスル機能のメリット・デメリット

続いては、リフトアクスル機能のメリット・デメリットを解説します。

メリット

燃費の向上
不要な車軸を持ち上げることで、タイヤの接地抵抗を減らし、エネルギーロスを抑えることができます。空荷や軽積載時の走行では、すべての車軸を接地させて走ると無駄な摩擦や転がり抵抗が発生しますが、リフトアクスル機能を活用することでそれらを最小限に抑えることが可能です。

タイヤやサスペンションの摩耗軽減
車軸を持ち上げて走行することで、使用しないタイヤやサスペンションへの負担を軽減できます。その結果、部品寿命が延び、メンテナンス費用の削減にもつながります。特に長距離運行を行う車両では、維持コスト削減に大きく寄与します。

高速料金の負担軽減
高速道路では、車軸数によって通行料金区分が異なり、一般的に3軸の車両は「大型車」、4軸以上の車両は「特大車」として扱われます。そのため、走行条件によってはリフトアクスルを活用することで高速料金を抑えられる場合があり、運行コスト削減につながります。

環境負荷の低減
燃費の改善とタイヤ摩耗の抑制により、CO₂排出量や廃タイヤの発生を削減できます。環境配慮型の運行が求められる中で、エコドライブやSDGsへの取り組みとしても有効な機能です。

デメリット

車両コストの上昇
リフトアクスル機能を搭載するには、専用のリフト機構や制御装置などの装備が必要です。そのため、搭載されていない車両と比較すると初期導入コストが高く、数十万〜数百万円の差が生じる場合もあります。ただし、長期的に見れば部品交換や燃料費の削減につながり、トータルコストで考えると経済的なメリットが得られるケースが多いです。

運転への影響
走行安定性やブレーキ性能に影響を与える恐れがあります。特に積荷の重心が高い場合や片寄った積載状態では、操縦性が悪化するケースもあります。そのため、走行状況や積載量を考慮して活用する必要があります。また、車体のバランスが変化し、カーブやブレーキ時に挙動が不安定になることもあります。特に悪路や強風時の走行では注意が必要です。

メンテナンス頻度の増加
リフトアクスル機構は可動部が多く、油圧・エア系統のチェックやシール交換など定期的なメンテナンスが欠かせません。放置するとエア漏れや油圧低下により動作不良が起こる場合があります。安全運行のためには、定期点検を確実に行う必要があります。

リフトアクスル機能を使用する際の注意点

リフトアクスル機能を使用する際の注意点

リフトアクスル機能は、燃費向上やタイヤ摩耗の抑制など多くのメリットをもたらす便利な装備ですが、誤った使い方をすると車両のバランスを崩し、重大なトラブルにつながる恐れがあります。特に注意すべきなのは、荷物を積んだ状態でリフトアップを行わないことです。

リフトアクスルはあくまで空荷や軽積載時のみに使用する機能であり、荷重がかかった状態で軸を持ち上げると、他の車軸に過度な負荷が集中してしまいます。その結果、サスペンションの損傷やタイヤの異常摩耗を引き起こす危険があります。また、不適切な使用は道路交通法違反となる場合もあります。

さらに、走行中の誤操作を防ぐため、スイッチ位置の確認や操作ルールを社内で統一しておくことも大切です。複数ドライバーが乗車する車両では、「どの条件で使用し、どの場面で禁止するか」を明確に共有し、安全運転を徹底しましょう。

リフトアクスル機能について

リフトアクスル機能は、空荷走行時の燃費改善やタイヤ摩耗の抑制に効果的な装備であり、経済性と環境性能の両立につながる技術です。特に長距離輸送を行うトラックでは、運行コスト削減やメンテナンス効率の向上に役立ちます。

一方で、使用方法を誤ると、車両に負担をかけるだけでなく、道路交通法違反になる恐れもあるため、正しい理解が欠かせません。安全で効率的な運行を実現するためにも、車両の状態を常に把握し、メンテナンスを怠らないことも大切です。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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