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下請法とは?対象や義務・禁止事項について解説

まなびのコラム

下請法とは?対象や義務・禁止事項について解説

下請法(下請代金支払遅延等防止法)についてご存じでしょうか?

この記事では、下請法の基本的な対象や、親事業者が守るべき義務や禁止事項について詳しく解説し、適正な取引関係を維持するためのポイントを紹介します。

下請法の理解は、企業間取引の公正さを確保し、トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは?

親事業者と下請事業者の間で行われる取引において、公正な取引条件を確保し、下請事業者の利益を守ることを目的とした法律です。

特に、中小企業や個人事業主が親事業者から不当に不利な取引条件を押し付けられることを防ぎ、取引における支払いの遅延や一方的な取引条件の変更などの問題を是正するための法的な枠組みになります。

親事業者は下請事業者に対して適切な支払いを行い、不当な圧力をかけないようにすることが求められ、取引の透明性と公正さを保つための基本的なルールが定められています。

対象となる条件

対象となる条件は、取引内容と事業者の資本金によって定められています。

【下請法の対象となる条件】

取引内容 親事業者の資本金 下請事業者の資本金
物品の製造委託・修理委託 3億円超 3億円以下
1千万円超~3億円以下 1千万円以下
情報成果物作成委託・役務提供委託 5千万円超 5千万円以下
1千万円超~5千万円以下 1千万円以下

親事業者の義務

親事業者の義務

親事業者の4つの義務として「発注書面を交付する義務」「請代金の支払期日を定める義務」「取引に関する書類を作成・保存する義務」「支払が遅延した場合に利息を支払う義務」があります。

発注書面の交付

口頭発注によるトラブルを防止するために、発注時に必要事項を記載した書面(または電子メール等の電磁的記録)を下請事業者へ交付しなければなりません。取引を透明化し、取引内容の明確化を図るためです。

代金の支払期日の設定

下請代金の支払期日を定める義務もあります。支払期日は、発注した物品や役務を受領した日から 60日以内に設定しなければならず、可能な限り短い期間内で支払を行うことが求められます。

下請事業者が迅速に代金を受け取れるようにするために設けられており、親事業者による支払遅延を防止し、健全な取引環境を維持するのが目的です。

取引に関する書類の作成・保存

親事業者は、下請事業者との取引に関する書類を作成し、保存する義務もあります。下請事業者から受け取った給付の内容や下請代金の額、支払日などの取引に関する詳細な記録を作成し、書面または電磁的記録として保存しなければなりません。

それらの書類は、2年間の保存が義務付けられており、将来的なトラブルや確認事項が生じた際に対応できるよう、記録を適切に管理することが求められます。

遅延利息の支払い

親事業者が下請事業者への支払いを期日までに行わなかった場合、遅延利息を支払う義務が発生します。親事業者が物品などを受領した日から60日を経過した日以降、実際の支払いまでの期間に応じて遅延利息が発生します。

遅延利息は、未払金額に対して年率14.6%を乗じた額で計算され、親事業者は下請事業者に対して支払わなければなりません。

親事業者の禁止事項

親事業者の禁止事項

下請法では様々な禁止事項も定められています。違反した場合、公正取引委員会からの指導や勧告、さらには企業名の公表などの措置が取られることがあります。

主な禁止事項は次の通りです。

【受領拒否】
下請事業者に責任がないにもかかわらず、発注した物品やサービスの受領を拒否してはなりません。発注の取り消しや納期の延長を理由に、納品物の受け取りを拒否する行為も受領拒否に該当します。

【下請代金の支払遅延】
発注した物品等の受領から60日以内に下請代金を支払わなければなりません。検査や確認に時間がかかる場合でも、支払期日までに支払を完了しないと遅延にあたります。

【下請代金の減額】
下請事業者に非がないにもかかわらず、発注時に決定した下請代金を発注後に減額する行為が禁止されています。どのような名目や方法であっても、下請代金の不当な減額は認められません。

【返品】
下請事業者に責任がない場合には、発注した物品を受領後に返品してはなりません。発注後の返品は、正当な理由がない限り認められません。

【買いたたき】
発注する物品やサービスに対して、通常の市場価格と比較して著しく低い価格で下請代金を設定してはいけません。原材料費や労働コストの上昇がある場合は、価格転嫁を適切に行う必要があります。

【購入・利用強制】
正当な理由なく下請事業者に特定の商品や役務の購入や利用を強制することは禁止されています。親事業者が自社取引先の商品やサービスを下請事業者に購入させる行為は違反となります。

【報復措置】
親事業者の違反行為を公正取引委員会に告発したことを理由に、下請事業者に対して取引数量の削減や取引停止などの不利益な取り扱いをすることが禁止されています。

【有償支給原材料等の対価の早期決済】
親事業者が有償で支給した原材料を使用して下請事業者が製造した物品に対して、その物品の下請代金の支払日より前に、原材料の対価を支払わせることは認められません。

【割引困難な手形の交付】
親事業者が、一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を下請代金の支払手段として使用することは禁止されています。

【不当な経済上の利益の提供要請】
下請事業者に対して協賛金や従業員の派遣など、金銭的・経済的な利益を不当に提供させることは違法です。

【不当な給付内容の変更及び不当なやり直し】
発注内容の変更や、作業のやり直しを行わせた場合、下請事業者が負担する追加費用を親事業者が負担しないことも禁止されています。

下請法について

「下請法」は、親事業者と下請事業者が公正な取引を行うための法律です。

親事業者には、発注書面の交付や代金支払期日の設定、取引に関する書類の保存、支払遅延時の利息支払いなどが義務付けられており、下請事業者の保護が図られています。

また、親事業者の不公正な取引行為を禁止する多くの規定があります。受領拒否、支払遅延、代金の減額、不当な返品や買いたたきなどの禁止が含まれ、それらの行為を行った場合、公正取引委員会からの指導や勧告、違反行為の公表が行われる可能性があります。

親事業者と下請事業者の健全な取引関係を保ち、下請事業者が適切な取引条件のもとで事業を行えるようにする重要な法律ですので、正しい理解が求められます。

参考資料:下請事業者を守る「下請法」 親事業者との取引で困ったら相談を!

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