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ダブル連結トラックとは?メリット・デメリットを解説

はたらくクルマコラム

ダブル連結トラックとは?メリット・デメリットを解説

近年、物流業界では輸送効率の向上やドライバー不足の解消が大きな課題となっています。EC市場の拡大やサプライチェーンの変化により、トラック輸送の需要は増加している一方で、長時間労働の規制や人材確保の難しさから、従来の輸送体制では対応が難しくなってきています。

そうした状況を受け、新たな輸送方法の導入が進められており、その一つとして注目されているのが、「ダブル連結トラック」です。今回は、ダブル連結トラックの特徴や、導入による影響、導入事例などを紹介します。

ダブル連結トラックとは?

1台の大型トラックに連結機能を搭載し、後方にもう1つフルトレーラーを連結した構造のトラックです。日本では規制緩和により、全長25m以下のトラックの運行が認められており、従来の大型トラック(約12m)2台分を1台で運ぶことが可能となり、輸送効率の向上やドライバー不足の解消、省人化の促進が期待されています。

フルトレーラーとの違い

ダブル連結トラックとよく比較されるのがフルトレーラーですが、その二つにはいくつかの違いがあります。フルトレーラーは、1台のトラック・トラクターが1つのトレーラーを牽引する構造で、比較的運転のしやすさや取り回しの良さが特徴です。フルトレーラーは都市部や中距離輸送にも適しており、柔軟な運用が可能ですが、輸送効率の面ではダブル連結トラックに劣る部分もあります。

ダブル連結トラックは主に高速道路を活用した長距離輸送に特化し、物流の効率化や環境負荷の低減を目的に導入が進められているのに対し、フルトレーラーは都市部や短中距離輸送での利便性を考慮した柔軟な輸送手段として活用されることが多いという違いがあります。

主なメリット・デメリット

主なメリット・デメリット

一度に大量の貨物を輸送できるダブル連結トラックですが、その導入にはメリットとデメリットの両面が存在します。輸送の最適化を図るうえで、それらのポイントをしっかり理解しておくことが重要です。

メリット

ダブル連結トラックの最大のメリットは、輸送効率の向上です。通常のトラック1台分の貨物量に比べて、2台分を1度に運ぶことができるため、輸送回数を削減でき、業務の効率化が図れます。それにより、同じ貨物量を輸送するのに必要なトラックの台数を減らすことができるため、燃料費の削減やCO₂排出量の抑制にもつながり、環境負荷の軽減にも貢献できます。

また、ドライバー不足への対応策としても期待されています。従来のトラック輸送では、2台のトラックを運転するために2人のドライバーが必要でしたが、ダブル連結トラックを導入すれば、1人のドライバーで同じ量の荷物を輸送できるため、労働力不足を補うことが可能です。特に、長距離輸送が中心となる幹線輸送では、そうした省人化の効果が大きくなります。

輸送コストの削減も大きなメリットです。1台のトラックで2台分の荷物を運べることで、燃料や高速道路の通行料金などのコストを抑えられるため、長期的に見て運送会社の経済的負担が軽減されます。

デメリット

一方で、ダブル連結トラックの導入にはいくつかの課題やデメリットもあります。まず、運転の難しさが挙げられます。全長が通常のトラックよりも長いため、カーブや車線変更時に後方の車両の動きに注意を払う必要があり、運転の難易度が高まります。また、駐車スペースの確保も難しく、対応可能な駐車エリアが限られることも課題です。

走行可能な道路が限られる点もデメリットの一つです。主に高速道路や幹線道路での運用を想定しているため、一部の一般道では走行が制限されます。導入コストの高さも無視できません。通常のトラックよりも車両価格が高くなるうえ、専用の連結装置の導入や整備・管理にかかるコストが増えるため、初期投資が大きくなる傾向があります。

さらにダブル連結トラックを運転できるドライバーには高い技術と知識が求められるため、適切な研修や教育が必要となり、そのための時間とコストも発生します。

運行事例

運行事例

ダブル連結トラックは、日本国内でも徐々に運用が進められています。ここでは、主な運行事例を紹介します。

サントリーグループとダイキン工業の事例
サントリーグループとダイキン工業は、物流の効率化と環境負荷の軽減を目的に、ダブル連結トラックを活用した関東圏・関西圏の拠点間往復輸送を2024年7月8日より開始しました。本取り組みでは、全長25mのダブル連結トラックを導入し、輸送の効率化を図っています。

関東圏から関西圏へはサントリーグループの飲料製品、関西圏から関東圏へはダイキン工業の空調製品を輸送することで、従来の10トントラック2台分の貨物を1台のダブル連結トラックで輸送できるため、ドライバー1人でより多くの荷物を運べるようになり、省人化と輸送コストの削減を実現しています。

また、ダブル連結トラックの運行にあたり、中継地点を設けることでドライバーの交替を可能にし、日帰り運行を実現しています。従来の長距離輸送では1泊2日の拘束時間が発生していましたが、この仕組みにより労働環境が一部改善されています。

参照:ダイキン工業(株)と共同でダブル連結トラックを活用した往復輸送を開始

センコー株式会社の事例
センコー株式会社では、ダブル連結トラックの導入を加速し、2030年までに100編成体制を構築する計画を発表しています。現在は、関東・関西間で運行中で、最終的には、100編成(大型トラック200台分に相当)を導入し、物流業界のニーズに対応しながら、より高度な輸送ネットワークを構築していく方針です。

過去2年間の運行実績からも、従来の輸送方法に比べて効率向上と環境負荷の軽減に寄与することが確認されており、今後さらにダブル連結トラックの拡大を目指しています。

参照:ダブル連結トラック100編成に拡大し、高度な長距離幹線輸送網を拡大

ダブル連結トラックについて

輸送効率の向上やドライバー不足の解消、環境負荷の低減といったメリットにあるダブル連結トラックは、1台で2台分の貨物を運べるため、輸送回数の削減やコストの最適化が可能となり、物流業界の課題解決に貢献しています。

一方で、運転の難しさや走行ルートの制限、導入コストの高さといった課題も存在します。すでに一部の企業では本格導入が進められており、今後さらに普及が期待されます。物流の効率化を目指す企業にとって、ダブル連結トラックは有力な選択肢となるでしょう。

この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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