トラック輸送において、荷物の適切な固定は安全を確保するための基本です。どれほど慎重に運転していても、固定が不十分だと荷崩れや転倒のリスクが高まり、重大な事故や損害につながりかねません。
そのため、ドライバーは確実な固定方法を身につけることが欠かせません。今回の記事では、ドライバーが実際によく使う紐の結び方や、荷物固定の際に押さえておくべきポイントなどを解説します。
トラックロープの結び方
トラックロープの代表的な結び方として「南京結び」「輸送結び」「もやい結び」が挙げられます。
それぞれの特徴や、結び方、活用シーンなどを解説します。
南京結び
トラック輸送の現場において用いられる代表的な結び方です。摩擦力を生かしてロープをしっかり固定できるのが特徴です。構造はシンプルですが、結び目が緩みにくいため、重量物や長距離輸送など荷崩れリスクが高い場面で用いられます。ただし、強く締めすぎると解く際に手間がかかる点には注意が必要です。
南京結びの手順
① 荷物にロープを掛け、一方の端をフックなどに固定する。
② 反対側の端で「8の字」を作り、下の輪を交点に2回掛ける。
③ 下の輪をねじり、そこに垂れたロープを通して長い輪を作る。
④ できた輪をフックに掛け、ロープを前から下へ強く引いて締め込む。
⑤ 残りのロープをフックに巻き付け、最後は端を隙間に押し込んで完成。
活用シーン
・重量物をしっかり固定したいとき
・高速道路を使う長距離輸送
・荷崩れのリスクが高い積荷の輸送
輸送結び
輸送結びも定番の結び方です。南京結びに比べて結び目が解きやすく、効率良く荷物を固定できる点が特徴です。結び目が安定しやすく、日常的な荷役作業で重宝される万能な方法です。
輸送結びの手順
① 荷物にロープを掛け、一方をフックなどに固定する
② 片方のロープを二つ折りにして輪を作り、軸に交差させて「8の字」を作る。
③ 下の大きな輪を上の小さな輪に掛け、上下に引いて締める。
④ 下の輪をねじり、そこに垂れたロープを通して長い輪を作る。
⑤ その輪をフックに掛け、ロープを強く引いて荷物を締め付ける。
⑥ 余ったロープをフックや張ったロープに巻き付け、端を隙間に収めて完成。
活用シーン
・積み下ろしを繰り返す短距離輸送
・時間効率を求められる配送業務
・荷重が比較的安定している荷物の固定
もやい結び
ロープの端に「大きさが変わらない輪」を作る結び方です。荷重がかかっても輪が締まり過ぎず、外したいときは容易に解けるため、支点への係留や補助固定、ロープ同士の連結起点づくりに適しています。
トラック現場では、フックや金具が使いにくい位置にロープを固定したいとき、角材やパレットの一部を支点にしたいときなどで用いられます。
もやい結びの手順
① ロープで数字の「6」の形を作り、輪を用意する。
② ロープの端を下から輪に通す。
③ 通した端を本線の後ろを回してから、再び輪の中へ上から差し入れる。
④ 本線と端の両方を強く引き、輪を締めて完成。
活用シーン
・フック位置が合わず、角材・パレットの一部を支点にして固定したいとき
・補助の固定点(ハンドル状の輪)を作り、別ロープを掛け合わせたいとき
・荷下ろしの回転が多く、素早く解放・再固定を繰り返したいとき
間違った紐の結び方をするリスク
結び目が緩んだり不完全なまま走行を続けたりすると、振動やブレーキによって荷物が崩れ落ち、後続車や歩行者を巻き込む事故へ発展する危険があります。また固定が甘いことで荷物同士が衝突し、破損や変形を招くことも少なくありません。
さらに、誤った結び方はロープの一部に過度な負荷をかけるため摩耗や損耗が早まり、走行中に破断してしまうリスクも高まります。加えて積載物の落下防止は道路交通法で定められた義務であり、固定不良は違反行為として処罰の対象となります。
事故を起こせばドライバー個人だけでなく企業全体の責任問題に発展し、信頼や取引機会を失う結果にもつながりかねません。したがって、正しい結び方を習得することは単なる作業効率の問題ではなく、輸送の安全性を確保し、社会的な信用を守るために欠かせません。
トラックロープの種類
トラックロープには、様々な種類があります。それぞれ強度や扱いやすさが異なるため、荷物の形状や重量、輸送環境に応じて適切なロープを選ぶことが重要です。
ここでは代表的なトラックロープの種類とその特徴を紹介します。
マニラロープ
マニラ麻を原料とした天然素材のロープです。摩擦力が高く滑りにくいため、重量物の固定に優れています。自然な風合いと手触りも特徴ですが、水分を吸うと重くなり、劣化やカビの発生が早いという弱点があります。屋外での長期使用や雨天時には注意が必要です。
ビニロンロープ
ビニロン繊維を原料とした合成繊維のロープで、天然素材に近い摩擦力と結びやすさを持ちながら、耐候性・耐水性にも優れています。結び目が緩みにくく、確実な固定が可能なため、建設現場やトラック輸送で広く用いられています。麻ロープの扱いやすさと合成繊維の耐久性を兼ね備えた万能タイプです。
ポリプロピレンロープ(PPロープ)
軽量で水に強く、価格も安価なのが特徴のロープです。色の種類が豊富で用途別に識別しやすい利点もあります。ただし摩擦力が低いため、結び方によっては緩みやすく、重量物の固定には工夫が必要です。
ポリエチレンロープ(PEロープ)
PPロープに比べて摩耗や紫外線に強く、耐候性・耐久性に優れたロープです。強度が高く、繰り返し使用する業務や長距離輸送に適しています。コストはやや高めですが、その分長持ちします。
トラックでの紐の結び方をチェック
トラックの荷物固定は、安全運行を支える基本的な作業のひとつです。適切なロープを選び、南京結び・輸送結び・もやい結びといった結び方を正しく習得することで、荷崩れや破損のリスクを大幅に減らすことができます。
定期的な点検や適切なメンテナンスを行うことで、エンジン性能が最大限に発揮され、安全で効率的な運行を実現することができます。
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この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。
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