私自身の夢ってあんまりないんですよ。
でも、会社でこういうことが出来たら面白いっていうのはいつも考えています。
兵庫県加東市、田園風景の先に見えてきたのは廃材の山。
株式会社シナジー&リサイクルソリューションズは金属やプラスチックのリサイクル事業を行う企業だ。
同社はただ利益を追うだけでなく、社会貢献できる事業に全力を注いでいる。
若くして社長に就任し、以来約20年間同社の発展に情熱を燃やす代表取締役社長・横山雄三氏にお話を伺った。
【株式会社シナジー&リサイクルソリューションズ】
設立:2006年1月1日
住所:兵庫県加東市上滝野2325 (本社)
事業内容:廃銅線及び自動車ハーネスのリサイクル、就業支援施設への業務委託、レアメタル・貴金属のリサイクル及び販売、廃プラスチックリサイクル、電線、ハーネス、銅線買取、フロンの回収
保有車両:大型7台、中型1台、小型2台
従業員数:25名(グループ全体)
-創業の経緯を教えてください
同じく代表を務めている、兵庫県内にある「ワールドパーツ」という廃車の買取会社があるんですが、そちらで買い取った自動車からワイヤーハーネスという銅線を抜く仕事をB型支援施設の方に提供したいと思い、シナジー&リサイクルソリューションズを設立したんです。当初は営利目的というより社会貢献を重視した事業でした。そこからだんだんと拡大していって、プラスチック資材も扱うようになりました。会社設立からそれなりに長いのですが、銅を扱うようになったのはここ10年くらいですね。設備投資を急速に行っているのが現状で、トラックも重機も設備もここ5年くらいで揃えています。設備投資に伴って、より大量の資材を扱えるようになりましたし、その分置き場も必要になるので施設を作ろう、作るなら一般の方からも買い付けができるような場所にしようと加東リサイクルセンターを作りました。
-若くして社長に就任されていますが、どのような経緯だったのでしょう?
まず経歴としてですが、高校卒業後1年間海外にいたんです。そこから帰国して、建築会社に1年間勤務しました。でも同じ汗をかくなら親の会社で働こうと、先ほどの「株式会社ワールドパーツ」に就業しました。現在、年齢が41歳なのですが、21歳から社長職に就いているので歴として約20年になります。最近ようやく、周りの社長職で同年代の方が出てきました。若い時の周りの社長たちは父親ぐらいの年齢の方ばかりでしたので。その分かわいがってもらったり、勉強させていただいたのですけどね。ただ、自分としてはあまり社長職みたいなトップには向いていないのかなと考えていて、補佐とかそういうポジションが希望というか、向いてると思うんですけどね。実は長いこと社長室に入っていないんです。同じところに留まるのが苦手です、ネタは現場にありますから。昨日と同じに見えても実際は毎日違いますし、事務所でやることはないかなって。リアルタイムで動いているところに、問題もヒントもネタもある。かっこいいオフィスは3日で飽きちゃいますし、楽しみ方を知らないんですよ。
-企業としての理念を教えてください
いくつか指針のようなものはあるんですが、まず会社の「ミッション」リサイクル事業を通じて、全国に名を刻みたいという思いがあります。次に「会社の目指す方向」ですが海外進出、10年で100億円企業にすることですね。最後に「行動計画」これは毎朝、朝礼で従業員に伝えていることですが『挨拶』『感謝』『謙虚な気持ち』この3つを大切にしています。日々感謝の気持ちをもって謙虚な姿勢でいれば、企業さんでも一般のお客様でも良い関係が築けるのではないかなと考えています。
-SNSを活発に更新されているなと感じました。始めたきっかけは?
営業に行きたいけど行けない、何とかしたいなという気持ちで始めたのがきっかけです。自分自身が特段詳しいわけでなく、Instagramに詳しい知人がいたので教えてもらいながら、真似してやってみたんです。最初は自分でやっていましたが、今は従業員の方にやってもらってます。なるべく、こまめな更新を心掛けてます。鉄や自動車等のカテゴリーは閲覧されやすいのかなと考えてまして、ハッシュタグを多く付けるなどして、なるべくたくさんの方の目に触れてもらえるようにしたいです。業務として取引先数が増えたかは分からないですが、営業で繋がったところもありますし、こちらから出向いてみたいという企業さんも見つけることもできました。SNSは営業ツールの一つですね。新しい事業を始めるたびに、SNSのアカウントを作るようにしてます。
-BuRe(ビュール)事業について教えてください
そもそもビュールというのは「バンパーリプロデュース」という、自動車バンパー由来の100%プラスチックリサイクル建材です。バンパーをもう一度、生まれ変わらせようという思いから開発しました。ベンチなどで使用する木材の代用として使用しています。バンパーを溶かして押出し形成し、棒状の資材を作る。バンパーの長所が「衝撃に強い」「紫外線に当たっても劣化しにくい」「高い品質をクリア」など、かなりベンチに向いている素材だったんです。雨風に露出していても強く、人が座ることに向いている。過去に兵庫県の事業で、県内の公園などにベンチを設置していたことがあるんです。ただ木製ベンチだったので、どうしても経年で木が腐ったりなどの劣化が出てきます。そのような箇所を、ビュールを使用した補修作業で販路を見出した感じです。木材のベンチは毎年メンテナンスが必要ですが、ビュールに変えることで約15年程度劣化しにくい状態が保てます。
僕の中で、買取してもう一度ユーザーに戻すまでがリサイクルだと考えています。SDG’sという言葉が出始めた時期に、これに乗れるようなビジネスをしたかった。物事の発想は、身近なものの気づきからですね。例えばベンチであればこれはどういった事業で設置したんだろう、これを直す部署はどこだろうって。そういったところからきっかけを掴みます。
-トラックランドを知ったきっかけはなんでしょう
業務で使用するアームロールを探したことがきっかけです。車を探すときはネットの画像検索で調べるのですが、掲載されてる写真がきれいだと惹かれやすくなります。そして気になるものがあれば自分で現地まで見に行きます。トラックランドで購入した車も、車両が展示されている販売センターまで足を運んで即決で購入。そのまま自分で運転して、兵庫まで乗って帰りました(笑)2021年に購入したのですが、今のところ大きなトラブルはないですし、買った当時もこれは安いと思って購入させてもらいました。画像で写ってないところがあれば、尚の事自分で見に行きます。トラックに関してはこのトラックで、こんなことがしたいというのが明確だからこそ長く使用したいですし、選ぶのも慎重になります。中古車だからこそ、後から不具合が出ても怖いので、まず自身で乗って確かめることは重要視してますね。
-これからの夢や将来の展望はありますか?
僕自身の夢って実はあんまりないんですよね。やはり会社としては10年で100億円企業にして、人様に顔向けできる企業でありたいという思いが強いです。そのために、今年から社内改革の一環として社内編成を変えたんです。社内でいくつか部門を分けて、それぞれが小さな会社と仮定しながら役員が監督に就く。役員は足元をすくわれないようにしないといけませんから、部門の活動を熟知しないといけません。僕もビュールとプラスチックリサイクル部門の担当をしています。大事なのはまず現場を見ることですね。時々一緒に作業して、今出来ているところ、出来ていないところを見極める必要がありますね。やっている事業が良くても自分の世界観でやっている事業は人受けしないですから。事業としては、プラスチック業界の中で他社で取り扱いにくいものを自社は扱えるとか、金属でも他社とは違う取り組みで、今までリサイクル出来なかったものをリサイクル出来るようにするとかですかね。それと別に目標にしているビジョンがあって、家族を養える会社でありたいんですよね。楽に働いて稼ぐ…ということではなく色々な事情がある中で、目的に沿ってコミットができる働き方。だからこそ稼ぎたいと思ってる方には厳しく言いますね「本当にそれで養えるのか?持って帰るものを増やしたいならちゃんと結果を出して働かないと」って。なるべく間接的に言うようにはしてるんですけどね(笑)それに対して自分もちゃんと向き合って、本気でいたいなって。