トラックドライバーの安全運転や労働時間の適切な管理が求められている昨今、法令遵守や事故防止の観点から、日々の運行データを正確に記録・分析することが欠かせません。
今回の記事では、運行記録計の「タコグラフ」に焦点を当て、タコグラフとは何かをはじめ、その種類や仕組み、メリット・デメリット、活用方法などを解説します。
タコグラフについて知りたい方や、ご興味のある方はぜひチェックしてください。
トラックのタコグラフとは?
タコグラフとは、トラックやバス、タクシーなどの車両に搭載される運行記録計で、ドライバーの運転状況を記録・管理するためのものです。車両の速度や走行距離、運転時間、休憩時間などを自動的に記録し、後からそのデータを確認できる仕組みになっています。
記録されたデータは、運行管理や労務管理、安全指導などにも活用されており、物流・運送業における効率化と安全性の確保に欠かせないツールといえます。
義務化の対象
平成26年12月1日の「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の改正により、タコグラフの装着義務の対象は拡大されています。
従来は車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の事業用トラックが対象でしたが、改正後は車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の事業用トラックが対象になっています。
対象車両にタコグラフを装備していなかったり、装着していても不備があったりする場合には罰則や、車両使用停止処分等の対象になるため、事業者においては適切な装着と運用が求められます。
参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令について
タコグラフの種類
タコグラフは、運行データの記録方式によって大きく2つに分けられます。ひとつは記録紙を使用して走行データを記録する「アナログタコグラフ」、もうひとつはデジタル処理によってデータを記録・保存する「デジタルタコグラフ」です。
ここでは、それぞれの仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。
アナログタコグラフ(アナタコ)
円形のチャート紙(記録紙)を本体にセットすると、走行中の速度、運転時間、休憩時間、停止時間などが自動的に記録されるアナログ式の記録計です。ドライバーは運行開始前にチャート紙に氏名や日付、車両情報などを記入し、タコグラフ本体に装着します。
運行中は車両の動きに応じて針がチャート紙に線を描き、運転状況が記録されます。運行終了後はチャート紙を取り出し、管理者が確認・保管します。
デジタルタコグラフ(デジタコ)
車両の速度や走行距離、運転時間などを電子的に記録・保存する記録計です。内部に搭載されたメモリにデータが蓄積され、専用のカードやソフトを使ってパソコンやサーバーにデータを送り、分析・管理を行います。
操作は運転前にドライバーカードを挿入し、運転終了後に取り出すというのが基本です。運行中は自動で情報が取得され、日々の運行実績を精密かつ正確に記録できます。
近年ではアナログ式に代わりデジタルタコグラフが主流となっており、リアルタイムでのデータ管理やクラウド連携が可能な製品も多いです。
アナタコとデジタコを比較
アナログタコグラフとデジタルタコグラフにはそれぞれ特徴や、メリット・デメリットがあります。
アナタコの特徴
物理的に速度や運転時間を記録するシンプルな構造で、機械操作が苦手なドライバーでも扱いやすい点が特徴です。チャート紙に手書きでメモを残すこともできるため、突発的な出来事の記録も柔軟に対応できます。また、装置自体の価格や修理・メンテナンス費用等も比較的安価で済むため、導入コストを抑えたい事業者に向いています。ただし、記録の集計や保存は手作業が基本で、長期的なデータ管理においては手間がかかり、人的ミスや改ざんのリスクもゼロではありません。
デジタコの特徴
デジタルで情報を自動的に記録・保存し、製品によっては速度、距離、運転時間、休憩時間などだけでなく、走行ルートや、急加速・急ブレーキの回数などの詳細なデータを取得することもできます。パソコン等でデータを一括集計できるため、管理者の業務の負担は大幅に軽減されます。また、記録ミスや改ざん、紛失のリスクを大幅に減らせるという点も大きなメリットです。
しかし、導入コストはアナタコに比べて高く、データ破損のリスクや、ドライバーが監視されているという心理的な抵抗感が出ることもあるため、運用には配慮が求められます。
このように、アナタコは扱いやすさとコスト面、デジタコは情報量と効率性に優れており、事業規模や管理方針によって適切な選択をすることが大切です。
デジタコの活用方法
デジタルタコグラフは単なる記録装置ではなく、業務の効率化や安全管理の強化に役立つツールです。
ここでは、デジタコの活用方法を解説します。
業務効率の改善に役立てる
デジタコを活用することで、走行時間や停車時間、ルートなどを細かく分析でき、運行スケジュールの見直しや配送効率の改善に役立ちます。無駄な待機や渋滞を避けるルート設定なども可能になり、ドライバーの拘束時間短縮や車両稼働率の向上にもつなげることができます。
さらに、複数車両の運行データを一元管理することで、運行管理業務の最適化も図れるため、管理部門の業務負担軽減や人員配置の効率化にも寄与します。
燃費・コストの最適化を図る
記録された速度変化やアイドリング時間、急発進・急ブレーキの回数などから、燃費に悪影響を与える運転傾向を把握できます。その把握と改善により、燃料コストの削減が可能となり、企業全体の収益性改善にも寄与するでしょう。運行に最適な車両の選定や車両入れ替えの判断材料としても活用できます。
ドライバー教育・評価の見える化をする
ドライバーごとの運転特性や習慣を客観的なデータとして把握できるため、個別の運転指導がしやすくなります。また、安全運転を継続しているドライバーへの評価制度にも活用でき、制度を導入することで従業員のモチベーション向上や離職率の低下にもつながるでしょう。事故やクレームが発生した際も、記録データに基づいて事実確認や責任範囲の明確化ができるため、管理体制の透明性と公平性を保つうえでも有効です。
トラックのタコグラフについて
タコグラフは、トラックの運行管理や安全対策、労務管理において欠かせないものです。アナログ・デジタルそれぞれの特徴を理解し、自社の運用方針に合ったものを選ぶことで、労務管理の適正化や業務効率の向上につながります。
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この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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