物流や運送、建設業など様々な業界で欠かせない存在のトラックにも耐用年数があり、適切なメンテナンスを行わないと想定している以上に早く寿命を迎えてしまうこともあります。
では、実際にトラックの耐用年数はどの程度なのでしょうか。また、寿命を延ばすためにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事では、トラックの耐用年数の目安や、寿命を延ばすためのポイント・コツを解説します。
トラックの耐用年数は?
トラックの耐用年数に関しては、税法上の法定耐用年数と実際の耐用年数の2つの考え方があります。法定耐用年数とは、税務上、減価償却資産として計上できる期間を示すもので、それがトラックの寿命というわけではありません。
実際の耐用年数は、10年~15年程度、走行距離の目安としては 50万km~70万km程度です。メンテナンスの状況、使用環境、走行距離、運転の仕方などによって大きく変わります。適切な整備を行えば、法定耐用年数を超えても長く安全に使用することが可能です。
ここでは、新車と中古車それぞれの耐用年数について解説します。
新車の場合
新車トラックの税法上の法定耐用年数は、以下のように定められています。
【自家用トラック】
ダンプ式:4年
ダンプ式以外:5年
【運送事業用・貸自動車業用】
・小型トラック:4年
・大型トラック: 5年
中古車の場合
税法上の法定耐用年数は、中古車には直接適用されず、取得時点からの使用可能期間として見積もられる年数を耐用年数として設定できます。
耐用年数の算定方法
中古資産の耐用年数は、その後の使用可能期間が明確に見積もれる場合には、それを基準に耐用年数を設定できます。しかし、使用可能期間の見積もりが困難な場合は、税務上「簡便法」を用いた計算方法が認められています。
①法定耐用年数のすべてを経過した資産
この場合、耐用年数は法定耐用年数の20%に相当する年数となります。
②法定耐用年数の一部を経過した資産
この場合、耐用年数の算定式は以下の通りです。
(法定耐用年数 − 経過年数) + (経過年数 × 20%)
【例】
法定耐用年数が5年のトラックを3年使用した場合
(5年 − 3年) + (3年 × 20%) = 2.6年
この計算で算出された数値に1年未満の端数がある場合は切り捨て、2年未満であれば最低2年とするルールが適用されます。
ただし、中古トラックの購入後にかかった資本的支出(修理・改造費など)が、そのトラックの再取得価額の50%を超える場合には、簡便法を使用せず、法定耐用年数を適用することになります。
参考:中古資産の耐用年数
トラックの寿命を延ばすコツ
トラックは適切に管理することで、法定耐用年数を超えても安全に使用することが可能です。特に定期的なメンテナンスと適切な運転を心がけることで、エンジンや足回りの劣化を防ぎ、修理費用を抑えることにもつながります。
ここでは、トラックの寿命を延ばすための具体的な方法を紹介します。
定期点検・メンテナンス
エンジンオイルの交換
劣化したオイルを使い続けるとエンジン内部の摩耗が進み、寿命を縮める原因になります。一般的には 15,000km~40,000km、または1年ごとの交換が推奨されており、フィルターも同時に交換することでより効果的にエンジンを保護できます。
冷却水の管理
冷却水の管理もエンジンの寿命を左右する重要な要素です。冷却水が劣化すると適切な冷却ができず、エンジンのオーバーヒートを引き起こし、重大な故障につながる可能性があります。そのため 2~3年ごとに交換し、適切な状態を保つことが求められます。
タイヤの管理
トラックの安全運行にはタイヤの管理が欠かせません。適正な空気圧を維持することはもちろんですが、タイヤの溝の深さが3mm以下になった場合は早めに交換を検討することが重要です。摩耗したタイヤを使用し続けると、スリップ事故やパンクのリスクが高まり、安全性が大きく損なわれます。
ブレーキの定期点検
ブレーキの効きが悪くなると事故のリスクが高まるため、ブレーキパッドやディスクの摩耗を定期的にチェックし、必要に応じて交換することが不可欠です。特に長距離運行が多いトラックはブレーキに大きな負担がかかるため、異音やブレーキの効きに違和感を感じたらすぐに点検を行いましょう。
シャーシ・サスペンションのメンテナンス
シャーシやサスペンションのメンテナンスも、トラックの長寿命化には不可欠です。特に 錆や腐食を防ぐために定期的な洗浄や防錆処理等を行い、サスペンションの劣化による乗り心地の悪化や部品の破損を防ぐことが大切です。荷物の積載状況によっても足回りの負担は変わるため、長期間使用するためには適切なメンテナンスを欠かさず行うようにしましょう。
適切な運転
急発進・急加速を避ける
トラックの寿命を延ばすためには、日々の運転の仕方にも気を配ることが重要です。特に、急発進や急加速を繰り返す運転はエンジンやトランスミッションに大きな負担をかけ、摩耗を早める原因になります。アクセルを丁寧に踏み、スムーズな加速を心がけることで、エンジン内部の負担を軽減し、燃費の向上にもつながります。
過積載を避ける
過積載を避けることもトラックの寿命に大きく関わります。積載量が多くなると、エンジンや足回りに想定以上の負担がかかり、フレームの歪みやサスペンションの劣化を早める原因になります。適切な積載を守ることで、車両全体のバランスが保たれ、長期間にわたって安定した走行が可能になります。
長時間のアイドリングを避ける
アイドリング時間の管理も重要なポイントです。長時間のアイドリングは無駄な燃料消費につながるだけでなく、エンジン内部にカーボンが蓄積し、燃焼効率の低下を招くことがあります。必要のないアイドリングは控え、エンジンを適切な状態で使用することで、エンジンの寿命を延ばすことができます。
トラックの耐用年数について
トラックの耐用年数は、税法上の法定耐用年数と実際の使用可能年数は異なり、適切なメンテナンスを行うことで法定耐用年数を超えて安全に使用することが可能です。一般的には10~15年、または50万km~70万km程度が目安となりますが、エンジンや足回りの定期的な点検・整備により、それ以上の期間安全に運行することもできます。
また、定期的なオイル交換やブレーキ・タイヤの管理、適切な運転を心がけることで、トラックの寿命を延ばすことが可能です。
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