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まなびのコラム

燃料(ガソリン)高騰による運送業への影響と対策について


世界情勢の不安定化や円安問題、新型コロナウイルスなどの影響でさまざまなモノやサービスの値段が高騰しています。

そのなかでも運送業にダイレクトに影響を与えるモノが燃料(原油)です。
ニュースなどでも燃料高騰による運送業の現状がよく取り上げられています。

そこで今回は燃料高騰が運送業に与える影響と、それに対する対策について解説していきます。

・そもそも燃料の価格が高騰すると、運送業にどのような影響があるのか?
・燃料価格の高騰は今後も続くのか?
・運送業者ができる燃料価格高騰への対策は?

自社の企業努力だけでは今後の経営がどうなるかわからないと、頭を抱えている企業経営者様や担当者様も多いのではないでしょうか。
この記事を経営改善のための参考としてお役立てください。

燃料高騰による運送業への影響の現状

燃料価格が高騰することは、そのまま運送事業者の経費増大へ直結します。
つまりは売上利益の減少、経営状況の悪化につながります。
しかし燃料価格が高騰し続けているのに対し、多くの運送業者が燃料価格上昇分を運賃に上乗せできていないのが現状です。

燃料価格を運賃に上乗せできない理由としてこれらが考えられます。
・競合他社に仕事を取られる
・荷主側も物価高により経営が圧迫されている
・そもそも荷主との直接交渉が難しい
中でもやはり「競合他社に仕事を取られる」という理由が大きいようで、荷主に運賃交渉をなかなか切り出せずに、疲弊している運送業者が数多くいます。

全日本トラック協会の発表によると、軽油価格が1円上がると物流業界全体への影響額は年間150億円以上も負担が増えるとのことです。

1ヶ月の1台あたり燃料消費量が自家用車に比べて100倍以上になるトラックもあり、またエンジンの構造上、どれだけエコドライブを心掛けても、大型トラックなどはリッターあたりの燃費が2~3キロ未満ということもあります。

荷物を運べば運ぶほど出費が膨らんで赤字になってしまう、という経営破綻寸前の会社も少なからず存在します。

燃料高騰は今後も続く?

実際のところ、この燃料価格の高騰はいつまで続くのでしょうか?

ロシア・ウクライナ情勢の緊張が高まり続けている現状では、今後も燃料は高騰していくという意見が大多数を占めています。

さらに20年ぶりの円安水準が追い打ちをかけ、原油高に歯止めが効かない状態です。

運送業者が検討するべき燃料高騰対策

現在は政府が石油元売業者への補助金を拡充したことで、燃料価格は一定の価格帯で落ち着いています。

しかしこれも抜本的な解決とはなっておらず、燃料高騰による経営状況悪化を改善するためには、運送業者自身が何かしらの対策を検討する必要があるといえます。

それでは運送業者が取り組める対策にはいったいどのようなものがあるでしょうか。

ここでは3つの具体的な対応策をご紹介します。

①エコドライブの実施・低燃費車両の導入
②業務の効率化
③燃料サーチャージの導入

①エコドライブの実施・低燃費車両の導入

まず第一に考えられる対策は、エコドライブの実施や低燃費車両の導入です。

急発進・急加速をなるべくせず、荷物の積込みや荷降ろし時、休憩中などにエンジンを切って燃料の消費を抑えるエコドライブや、ハイブリッド車などの従来のトラックよりも燃費性能の良い低燃費車両を導入することで、燃料消費量を抑えることが可能です。

これにより燃料費の負担は減り、経営にいくらかの余裕ができるでしょう。
しかしこれだけでは十分な対策とはいえず、燃料の高騰が今後さらに続けば、高騰した分だけ燃料費負担も増えていってしまいます。

②業務の効率化

次に考えられる対策は配送コースや納品頻度の見直しといった業務の効率化です。

例えば、これまで10台のトラックで配送していたコースを8台で配送できるように配送コースを組み替えたり、1日3回納品していた店舗を2回納品にして納品回数を減らしたりすることで、事業所全体でのトラックの走行距離を減らすことができます。

これにより1日あたりの燃料消費量を減らすことができ、経費削減へとつながります。
しかし効率化にも限度があり、これだけで燃料高騰分をカバーするのは現実的ではありません。

③燃料サーチャージの導入

最後に紹介する対策は燃料サーチャージの導入です。

燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇・下落によるコストの増減分を別建ての運賃として設定する制度です。
この制度を導入することで、燃料高騰による経費負担の一部を荷主側にも負担してもらえるようになります。

燃料費などの固定費は、全経費の中で人件費の次に割合が高い経費です。
価格上昇し続ける燃料費に対して燃料サーチャージの導入は、とても効果的な対策といえます。

燃料価格に左右されることなく、質の高いサービスを提供することができるようになります。

燃料高騰による運送業への影響と対策を確認

今回は燃料高騰による運送業への影響と、今後の対策について解説しました。

運送業にとっての燃料費は、人件費の次に全経費に占める割合が高い経費であり、燃料価格の高騰が運送業界全体で大きな課題となっています。

またこの燃料高騰は今後も続くのではという意見が多く、ロシア・ウクライナ情勢と歴史的な円安のダブルパンチで原油高に歯止めが効かない状態が今も続いています。

エコドライブなどの企業努力だけでは抜本的な解決につながらないのが現状で、配送コースなどの見直しといった業務の効率化も必要になってくるでしょう。

燃料サーチャージを導入することで、燃料高騰の影響を最小限に抑えながら質の高い物流サービスを提供することが可能となります。

実際に一部の企業では燃料高騰による負担を自助努力だけでは吸収できなくなったことで、燃料サーチャージ導入を行う発表もありました。

今回ご紹介した対策を参考に、燃料高騰に負けることのない盤石な経営基盤を築きましょう。

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