トラックの運行において、安全管理は常に最優先するべき重要なことです。特に停車中や荷役作業中には、車両の不用意な動きを防ぐための備えが欠かせません。
その一つとして活用されているのが「輪留め」です。輪留めは日常の現場で当たり前のように使われていますが、その役割や種類、正しい取り扱い方をしっかり理解している人は意外と少ないかもしれません。
今回の記事では、輪留めの必要性をはじめ、種類や選び方、そして正しい使い方などを解説します。
トラックの輪留めとは?
駐車中の車両が不意に動き出すことを防ぐために、タイヤに設置して使用する安全器具を指します。特に重量の大きいトラックや貨物車は、わずかな傾斜や荷役作業時の振動でも車両が動いてしまう危険があり、重大な事故につながる恐れがあります。
輪留めはそうしたリスクを未然に防ぐために欠かせない存在であり、荷物の積み降ろしや長時間の駐車時には必ず使用するべき道具です。
一般的な形状としては、タイヤにしっかりとかみ合う三角形やくさび型で、路面やタイヤとの摩擦を活かせる構造になっています。
法律上の明確な使用義務はありませんが、安全管理の一環として社内規定や業界ルールで使用が徹底されているケースも少なくありません。安全意識を高める意味でも、輪留めの正しい理解と活用は重要です。
必要性・効果
トラックの輪留めが必要とされる最大の理由は、先述した通り安全確保です。例えば積み降ろし作業中や停車中に車両が少しでも動いてしまえば、荷物の損傷や事故につながる恐れがあります。
重量物を扱う物流現場や傾斜のある駐車場では、輪留めを使用しないことが重大な事故の原因となりかねません。輪留めを正しく使用することで、車両を確実に固定し、作業員の安全や積荷の保護を実現できます。
さらに、社内での安全管理体制を徹底することにもつながり、事故防止の観点から企業の信頼性向上にも寄与します。一方で使用を怠ると、車両の暴走や接触事故など大きなリスクを伴うため、トラックの運行や荷役において輪留めの活用は必須といえるでしょう。
トラックの輪留めの種類と選び方
トラックの輪留めの種類と選ぶ際のポイントを解説します。
種類
トラック用の輪留めにはゴム製・樹脂製・金属製・木製などの種類があります。
ゴム製
耐久性と摩擦力に優れており、滑りにくいため安全性が高いのが特徴です。重量感もあり安定性に優れるため、荷積み作業や一般的な駐車時など幅広い場面で利用されています。また、衝撃を吸収する性質も持ち合わせており、路面やタイヤを傷つけにくい点も大きなメリットです。
樹脂製
軽量で持ち運びがしやすく、価格も比較的手頃です。使い勝手が良く、日常的な利用に適していますが、強度ではゴム製や金属製に劣るため、重量の大きい車両には不向きな場合があります。カラーバリエーションが豊富で視認性に優れた製品も多く、保管や管理のしやすさも特徴です。
金属製
非常に頑丈で、特に大型トラックや傾斜地での使用に適しています。長期間使用しても変形しにくく耐久性に優れていますが、重量があるため取り扱いには力が必要です。錆び対策として塗装や加工が施されたタイプもあります。
木製
比較的安価で加工もしやすく、軽量なため扱いやすいのが利点です。ただし、耐久性や耐候性は他の素材より劣るため、屋外での長期使用には不向きで、一時的な利用や応急対応として利用されるケースが多く見られます。
なお、近年では、夜間の視認性を高めるため反射材が付いたタイプや、持ち手がついて運搬しやすい形状の製品もあります。
選び方
輪留めを選ぶ際には、車両の大きさや使用環境を考慮することが欠かせません。まず注目すべきはサイズと耐荷重で、車両のタイヤ径や総重量に対応した製品を選ばなければ十分な効果は発揮されません。例えば、小型車両に大型用の輪留めを使うと不安定になりやすく、逆に大型車に小型用を使用すると固定力不足につながります。
設置環境を考慮することも重要です。屋外での使用が多い場合には耐候性や耐久性にも注目し、紫外線や雨に強い素材を選ぶことが望ましいでしょう。さらに、夜間作業が多い現場では視認性の高い色や反射材付きを選ぶ、使用頻度が高い場合には軽量タイプを選ぶなどを意識すると安全性や作業効率が高まります。
トラックの輪留めの正しい使い方・注意点
ここからは、輪留めの正しい使い方や注意点を解説します。
使い方
車両を完全に停止させ、サイドブレーキをしっかりと引いたうえで設置するのが基本です。設置する位置は、傾斜がある場合は下り側のタイヤに当てます。輪留めをタイヤに密着させ、しっかりと噛み合うように置くことで、車両が不用意に動き出すのを防げます。より安全性を高めるために前後両側に設置する方法が推奨されています。
また、設置する際は必ず平行に押し込み、ズレが生じないように注意することが重要です。輪留めはただ置くだけではなく、正しい位置と方法で使用することが安全確保につながるという点を意識する必要があります。
注意点
輪留めを使用する際には、いくつかの注意点があります。まず摩耗や破損がある輪留めは十分な効果が発揮されないこともあるため、定期的な点検と交換が必要です。特にゴム製は劣化が早いため、素材ごとの耐用年数を意識することが望まれます。
設置場所の状況にも注意が必要で、濡れた路面や砂利道などでは輪留めが滑ってしまうことがあるため、確実に固定できる位置に設置することが求められます。
加えて、「短時間の駐車だから」と省略せず、必ず使用を徹底する姿勢が求められます。輪留めは事故を防ぐための基本的な備えであり、わずかな油断が大きなトラブルにつながる可能性があります。安全を守るための基本的な備えとして、輪留めの正しい取り扱いを常に心がける必要があります。
トラックの輪留めについて
トラックの輪留めは、駐車中や積み降ろし作業時の安全を守るために欠かせない存在です。適切な種類を選び、正しい方法で使用することで、思わぬ事故やトラブルを未然に防ぐことができます。安全対策はドライバーや作業員の命を守るだけでなく、企業全体の信頼性にもつながる大切な取り組みです。
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この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。
趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。
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