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トラックのオーバーハングとは何?事故対策・運転のコツも紹介

はたらくクルマコラム

トラックのオーバーハングとは何?事故対策・運転のコツも紹介

トラックなどの大型車両を運転するうえで、意識しなければならないことの一つに「オーバーハング」があります。オーバーハングの理解が不足していると、事故等のトラブルのリスクが高まる可能性があります。

この記事では、トラックのオーバーハングとは何かをはじめ、なぜ注意が必要なのかをわかりやすく解説していきます。さらに、オーバーハングに関する事故の予防策や、運転時に気をつけるべきポイントも紹介しますので、安全運転を心がけたい方はぜひ参考にしてください。

トラックのオーバーハングとは?

トラックの車両全長のうち、前輪または後輪の軸(車軸)から前方・後方に突き出している部分のことを指します。前輪より前に伸びた部分を「フロントオーバーハング」、後輪より後ろに伸びた部分を「リアオーバーハング」と呼びます。

特にリアオーバーハングは、トラックの構造や荷台の長さによって大きく異なり、運転時の挙動にも大きな影響を与える要素です。オーバーハングの長さや特性を正しく理解し、それに応じた安全な運転を心がけることは、事故防止やスムーズな車両操作において非常に重要です。特に大型車や荷台が長いトラックでは、オーバーハングが大きくなりがちなため、より一層の注意が求められます。

オーバーハングの規定

トラックのオーバーハングは、安全性の観点から一定の規制が設けられています。特に「リヤオーバーハング」に関する規定は、運転操作時の車体の振れ幅や荷重のバランスに直接影響するため、明確に基準が定められています。

道路運送車両の保安基準によると、自動車(ポール・トレーラを除く)の最後部の車軸中心から車体の後面までの水平距離は、空車状態の平坦な地面に置いた状態で、車両の中心線に平行に測定した距離が「最遠軸距」の1/2以下であることが原則です。ただし、「物品を車体の後方へ突出して積載するおそれのない構造」の車両においては、3分の2まで許容されています。

その「おそれのない構造」の対象には、タンクローリーやコンテナ専用車、観音扉やシャッター式ドアを備えたバン型車両、荷台床面にスリットや穴が空いている車両専用運搬車などが含まれます。また、バンパーやヒンジ、フックといった付属物はこの長さには含まれません。

参考:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示

オーバーハングによって起こり得る事故

オーバーハングによって起こり得る事故

トラックのオーバーハングが長い場合、走行時や発車・停車時に特有のリスクが生じます。

ここでは、オーバーハングによって起こり得る主な事故を紹介します。

旋回時の巻き込み事故

オーバーハングが長いと、トラックが交差点を曲がる際に、後部が内輪差とは逆方向に外側へ大きく振れます。そのとき、後方にいる車両や、歩行者、自転車、バイク、あるいは信号柱やガードレールなどに接触する危険があります。特に右左折時は、前方ばかりに注意が向きやすいため、後部の振れ幅に気づかず事故につながるケースが少なくありません。大型車特有の「スイング現象」は、想像以上に振れ幅が大きいため注意が必要です。

バック時の接触事故

後軸より後ろに突き出ている部分のため、後退時に障害物との距離を見誤り、看板やフェンス、壁などに接触してしまうことがあります。特に狭い駐車スペースや倉庫の出入り口などでは、後部の長さに対する感覚のズレが原因となりやすいです。加えて、後方の視認性が悪い時間帯や悪天候時にはさらにリスクが高まります。

発進時の接触事故

発進時にもオーバーハングが原因で思わぬ接触事故が発生することがあります。特に、前進発進する際に車体後部が予想以上に振れることで、後方にある障害物や隣接車両に接触してしまうケースです。これは、オーバーハングが長いトラック特有の現象であり、ミラーに映らない位置にいた人や物を巻き込む恐れがあります。停車中は安全だったとしても、発進時に思わぬ方向へ後部が動くため、周囲の確認を怠ると接触事故へとつながります。

オーバーハングの対策・運転のコツ

オーバーハングの対策・運転のコツ

トラックのオーバーハングが長い場合、運転には特有の注意点があります。

ここでは、事故を未然に防ぐための対策や、実際の運転におけるコツを解説します。

ミラー・カメラを活用する

オーバーハング部分の動きは運転席から直接見えにくいため、サイドミラーや後方確認用カメラをフルに活用しましょう。走行中や駐車時は特に死角が増えるため、頻繁にミラーを確認し、後方の様子を常に把握しておくことが大切です。バック時や発進時には、車両がどう振れるかを意識しながら操作するよう心がけましょう。

左折時には左による

左折時は、交差点で車両の左側を極力左に寄せてからハンドルを切るようにしましょう。それにより、後方のオーバーハングが大きく外側へ振れるリスクを最小限に抑えることができます。歩行者や自転車の巻き込み事故を防ぐためにも、左後方の確認と寄せ幅の意識は欠かせません。

右折時には徐々にハンドルを切る

右折時は、急激なハンドル操作を避け、なるべく広い角度でゆるやかに曲がることがポイントです。オーバーハングの振れ幅を抑えながら、後方が周囲の車両や障害物に接触しないようコントロールするためには、スムーズなライン取りが重要です。

同乗者や周囲との連携も大切

狭い現場や混雑したエリアでの運転時には、同乗者がいれば周囲の状況を確認してもらい、誘導を受けながら安全に操作することも有効です。また、発進前などに、周囲との意思疎通も事故防止につながります。ひとりでの確認に限界を感じる場面では、遠慮せず連携を図りましょう。

トラックのオーバーハングについて

トラックのオーバーハングは、車両後部の突出部分であり、安全運転において注意すべき重要なポイントです。長いオーバーハングは旋回時や後退時に思わぬ接触や事故を引き起こす可能性があるため、その特性を理解した運転が求められます。

ミラーやカメラの活用、正しいハンドル操作、周囲との連携など、日常的な運転の工夫が事故防止につながります。安全性と業務効率を両立するためにも、正しい知識と運転スキルを身につけておきましょう。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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