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トラックのギアの仕組みや正しい使い方を解説!よくある不具合の原因も

まなびのコラム

トラックのギアの仕組みや正しい使い方を解説!よくある不具合の原因も

物流や建設業をはじめ、様々な現場で使用されているトラックにおいて、ギア操作は、走りだけでなく燃費・安全・車両寿命に影響します。その構造や使い方を正しく理解しておくことは、トラックドライバーとして重要なことです。ギア操作の誤りやメンテナンス不足は、思わぬ不具合や故障の原因になり、業務に大きな支障をきたすこともあります。

今回の記事では、トラックのギアの基本的な仕組みから、正しい操作方法、さらに発生しやすい不具合やその原因などを解説します。日常の運転や車両管理に役立つ情報ですので、ぜひ参考にしてください。

トラックのギアの仕組み

ギア(変速機)は、エンジンの回転力を走行状況に合わせて最適なトルクと回転数へ変換し、駆動輪に伝える重要な部品の一つです。ギアによって発進や坂道では力強く、高速走行では低燃費や静粛性を確保するなど、荷物の重さや道路の状況に応じた走行が可能になります。

一般的なマニュアル車(MT)は、エンジンの力を歯車を通して車輪へ伝え、クラッチで一時的に動力を切りながら、シンクロ機構で回転を合わせてギアを入れ替えます。オートマ車(AT)はトルクコンバータと特殊な歯車を使い、油圧やコンピューター制御で自動的に変速します。

自動化マニュアル(AMT)の仕組みはMTと同じですが、クラッチ操作やギアチェンジを機械が自動で行い、効率と運転のしやすさを両立しています。また、大型トラックではレンジ切替やスプリッタという仕組みで段数を増やし、エンジンを常に効率の良い状態で使えるようになっています。

ギアの種類

一般的なMT車は「1速」から「5速」までの前進ギアと、後退用の「R(リバース)」で構成されています。1速は最も大きな力を発揮できる低いギアで、発進や重い荷物を積んだ状態、急な坂道などに適しています。2速・3速は市街地走行や加速中に使われ、スムーズに速度を伸ばすことができます。

4速・5速はギア比が低く、高速道路や平坦な道での巡航走行に向いており、エンジン回転を抑えて燃費と静粛性を確保できます。R(リバース)は後退時に使用するギアで、構造上、前進ギアとは異なる歯車配置となっており、車両を後ろに動かせます。

トラックのギアの正しい使い方・コツ

トラックのギアの正しい使い方・コツ

トラックのギアの正しい使い方・コツや注意点などを解説します。

使い方・コツ

まず走行状況や積載状態に応じた適切なギア選択が基本です。発進時や低速での走行では、エンジン回転数を高めに保てる低いギアで、十分なトルクを確保することでスムーズかつ力強い加速が可能になります。反対に、高速道路などで一定速度を維持する場合は、高いギアに切り替えてエンジン回転数を抑え、燃費を向上させます。

変速の際は、マニュアル車であればクラッチをしっかり踏み込み、ギアを操作してからゆっくりクラッチを戻すことで、ショックを減らしドライブトレインへの負担を軽減できます。特に重量物を積載している場合は、急なシフト操作や半クラッチの多用は避け、滑らかな加速・減速を意識することが大切です。

また、下り坂ではエンジンブレーキを活用し、必要に応じて低めのギアに入れることでブレーキへの負担を減らし、フェード現象を防止します。AMTやAT車の場合でも、マニュアルモードやギア固定機能を活用すれば、走行環境に応じた適切なエンジン回転のコントロールが可能です。そうした適切なギア操作を習慣化することで、燃費改善や車両寿命の延長、安全運転につながります。

注意点

トラックのギア操作で注意すべきは、誤ったギア選択や乱暴な操作が車両に大きな負担を与えるという点です。例えば、発進時に高いギアを選んでしまうとエンジンに負荷がかかり、クラッチの摩耗やストールの原因になります。逆に、高速走行時に低いギアを選ぶとエンジン回転が過剰に上昇し、オーバーレブによる故障を招く恐れがあります。

また、変速時にクラッチを完全に切らずにシフトすると、ギアの歯車同士がうまく噛み合わず「ギア鳴き」が発生し、トランスミッション内部の摩耗を早めます。半クラッチの多用や踏み込み過ぎも、クラッチディスクの早期摩耗や発熱による性能低下の原因になります。

AMTやAT車でも任せきりにせず、路面状況や荷重に応じてマニュアルモードやギア固定を活用することが望ましいです。

ギア関連のよくある不具合・トラブル

ギア関連のよくある不具合・トラブル

トラックでは、ギアが「入りにくい」「固い」「抜けない」といった不具合が発生することがあります。それらを放置すると走行中の操作性や安全性に影響し、最悪の場合は事故につながることもあるため、原因を理解し早めの対処が重要です。

以下で、よくある不具合・トラブル別にその原因などを解説します。

入りにくい・固い

主な原因は、クラッチの切れ不良やクラッチペダルの遊び調整不良、クラッチワイヤーや油圧系統の劣化などです。また、シンクロナイザーの摩耗やギアオイルの劣化・不足でもシフト操作が重くなることがあります。対処としては、まずクラッチやペダルの状態を点検し、必要に応じて調整や部品交換を行います。ギアオイルの交換も有効です。

抜けない

走行中にギアが固着する場合は、シフトリンケージや内部の摩耗・変形、異物の噛み込みなどが考えられます。無理に力をかけると内部破損を招くため、エンジンを停止してクラッチを複数回踏む、もしくは車両をわずかに前後に動かしてみると改善することがあります。解消しない場合は速やかに専門的な点検が必要です。

抜ける

シフトフォークやシンクロ機構の摩耗、マウントの劣化、ギアオイル不足などが主な原因です。走行中に頻発すると危険なため、部品交換やオーバーホールが必要になります。

いずれの場合も、異常を感じたら無理に運転を続けず、早急に点検・修理を行うことで、重大な故障や事故を防ぐことにつながります。

トラックのギアの不具合でお困りなら

今回の記事では、トラックのギアの基本的な仕組みや正しい使い方・コツ、操作時の注意点、さらに「入りにくい」「固い」「抜けない」などのよくある不具合とその原因・対処法などを解説しました。適切なギア操作は燃費や走行性能の向上だけでなく、車両寿命の延長や安全運転にも直結します。不具合や異常を感じた際は、早めの点検・整備が大切です。

なお、トラックの整備や買い替え、中古車導入をご検討中の方は、ぜひトラックランドにご相談ください。全国対応で中古トラック・商用車の販売、買取、リース(サブスク)など幅広いサービスを提供しています。グループ会社の「陸送ネット」では登録・車検・整備・陸送まで一括対応可能。日常のメンテナンスから車両入れ替えまで、安心してお任せいただけます。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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