トラックを長く安定的に使用するためには、日々のメンテナンスが欠かせません。特に冷却水などの車両のコンディションを保つうえで重要な役割を果たしているものに関しては特に注意する必要があります。
今回の記事では、冷却水に関する基礎知識や、点検の重要性、補充、交換方法などを解説します。トラックを長く安心して使い続けるためにも、ぜひお読みください。
トラックの冷却水とは?
冷却水(クーラント)とは、エンジン内を循環して熱を吸収し、ラジエーターで放熱することでエンジン温度を一定に保つ役割を担う液体のことです。主成分は水と不凍液(エチレングリコールやプロピレングリコール)で、凍結防止や沸騰防止、防錆効果もあります。
冷却水はラジエーター内部に溜められ、リザーバータンクを通じて補充や量の確認が可能です。ラジエーターは車両の前方、フロントグリルの奥に設置されており、走行風を利用して効率的に冷却します。
種類は主に「LLC(ロングライフクーラント)」と「SLLC(スーパーロングライフクーラント)」の2つがあり、LLCは一般的なタイプで、SLLCは防錆性能や耐久性を高めた長寿命タイプです。
冷却水の点検の重要性
点検を怠ると、冷却水の不足や劣化によってエンジンが過熱し、オーバーヒートを引き起こす恐れがあります。さらに、防錆成分が減少するとラジエーターやウォーターポンプ、シリンダーヘッドなどの金属部品が腐食し、冷却系統の漏れや重大な故障につながる可能性もあります。そうしたトラブルは高額な修理費用や長期の稼働停止を招き、業務への影響も避けられません。
また、トラックでは冷却水に何らかの異常が発生すると、警告灯がメーター内に点灯・点滅します。それらは過熱や漏れなど深刻なトラブルの前兆を知らせるもので、表示が出た際には直ちに安全な場所に停車し、冷却水量や漏れの有無を確認する必要があります。定期的な点検と警告表示への迅速な対応は、リスクを未然に防ぎ、安定した運行と車両の長寿命化を実現するにも重要なことです。
点検方法
冷却水の点検は、エンジンが完全に冷えている状態で行うのが基本です。まずラジエーターキャップやリザーバータンクの位置を確認し、冷却水の量が規定の「FULL」と「LOW」の範囲内にあるかをチェックします。液面が低い場合は、適切なクーラントを補充する必要があります。
色や透明度も重要な確認ポイントで、濁りやサビ色が見られる場合は劣化や内部腐食のサインです。また、ホースや接続部からの漏れ跡、ラジエーター周辺の腐食やにじみも併せて確認します。点検は走行距離や使用環境に関わらず、日常的に行うことで異常を早期に発見し、重大なトラブルの予防に直結します。
冷却水漏れの主な原因
主な原因のひとつはラジエーター本体やコア部分の腐食・劣化で、長年の使用により金属部分が錆びて穴が開き、冷却水が滲み出すことがあります。また、ラジエーターホースやウォーターホースのひび割れ、接続部のクランプの緩みもよくある要因です。
さらに、ウォーターポンプのシャフトシールが摩耗すると、ポンプ付近からの漏れが発生します。サーモスタットハウジングやエンジンブロックのパッキン劣化も見逃せません。冬場には凍結による膨張で部品が破損し漏れに至るケースもあります。漏れは徐々に進行することが多く、駐車場にできる水たまりや、リザーバータンクの減りが早いなどの症状で気づく場合があります。
【トラック】冷却水の補充・交換方法
ここからは、冷却水の補充方法・交換方法を解説します。
補充方法
液量が不足している場合は、車両に適した冷却水を準備し、タンクのキャップを外してゆっくりと注ぎます。補充後はキャップを確実に締め、漏れがないかを確認します。ラジエーター本体の冷却水量を直接点検する場合は、必ずエンジン冷却後にキャップを開けることが重要です。高温時に開けると熱湯や蒸気が噴き出すこともあり危険です。
交換時期
冷却水は、一定期間または走行距離ごとに交換することが推奨されています。一般的なLLCの場合はおおよそ2〜3年ごと、SLLCの場合は約7年または走行距離16万キロ程度が目安です。ただし、使用環境や走行条件によって劣化の進み具合は変わるため、点検時に液量や色、透明度を確認し、汚れや変色が見られる場合は早めの交換が望まれます。特にトラックは長距離走行や高負荷運転が多いため、メーカー推奨のサイクルをしっかりと守ることが大切です。
交換方法
交換作業は、まずラジエーター下部にあるドレンコックを開け、古い冷却水を完全に抜き取ります。その後、水道水または専用のフラッシング液で冷却系統内部を洗浄し、汚れや錆、沈殿物を丁寧に取り除きます。洗浄後は新しいクーラントを規定の濃度で注入し、リザーバータンクの液量が適正範囲にあるかを確認します。
注入後にはエア抜き作業を行い、エンジンを始動させて冷却水を全体に循環させ、液面を再チェックします。冷却系統は高温になるため、作業中のやけどや部品破損を防ぐ安全対策も重要です。交換には一定の知識が必要なため、整備工場や専門業者に依頼するのが安心で確実です。
交換費用
トラックの冷却水交換を業者に依頼する場合、費用はおおむね1万円〜2万円程度です。小型トラックでは必要な冷却水量が比較的少ないため1万円前後で済むことが多く、中型・大型トラックでは容量が増える分、2万円程度かかる場合もあります。
また、純正の長寿命クーラント(SLLC)を使用する場合は費用が高くなりますが、交換サイクルが長いため長期的にはコスト削減につながることもあります。
トラックの冷却水について
トラックの冷却水は、エンジンの温度を適正に保ち、過熱や凍結、内部の腐食を防ぐために欠かせない存在です。日常的な点検や適切な交換サイクルを守ることで、オーバーヒートや漏れなどの重大なトラブルを未然に防ぎ、車両の寿命を延ばすことができます。
液量・色・漏れの有無をこまめに確認し、警告灯が点灯した際は速やかに原因を調べるのが基本です。
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この記事を監修した人

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