トラックで荷物を運搬する際には、積載方法や荷物のはみ出しに関する法的なルールを正しく理解しておくことが重要です。特に荷台から荷物がはみ出す場合には、道路交通法や車両制限令などの規制に従う必要があり、違反すると罰則が科される可能性もあります。
この記事では、トラックの荷台はみ出し規制の概要をはじめ、注意点や安全対策について解説します。安全かつ合法的な運送を行うための基礎知識としてぜひ参考にしてください。
トラックの荷台はみ出し規制とは?
トラックに荷物を積載する際のルールは、「自動車の積載制限」に関する道路交通法施行令によって、積載物の長さや幅、高さ、前後・左右のはみ出しについて明確な基準が定められています。それらの規制は、車両の走行中の安定性を確保し、事故を防ぐための重要な安全対策であり、他の車両や歩行者への配慮にもつながります。
特に大型トラックや長距離輸送車両では、事故リスクが高まるため、法令遵守が強く求められます。
2022年5月に施行された改正令により、積載物の「長さ」「幅」に関する制限が一部緩和され、自動車の全長・全幅の1.2倍まで積載が可能となりました。ただし、前後のはみ出しは「車両の長さの10分の1以内」、左右のはみ出しは「車両の幅の10分の1以内」に限られています。それを超える積載を行う場合は「制限外積載許可」の取得が必要となり、申請手続きが求められます。
また、積載物の高さについても地面から3.8メートル以内という制限があり、それは橋梁の高さ制限や信号機との干渉を避けるための基準です。なお、特定の道路では4.1メートルまで許可される場合もあります。積載物がそれらの制限を超える場合も、制限外積載許可の申請が必要です。
さらに、荷台以外への積載(運転席上やボンネット上など)は明確に禁止されています。積載方法についても「運転の妨げにならないこと」「方向指示器やナンバープレートを隠さないこと」「荷崩れや落下を防止する確実な固定を行うこと」など、複数の基本ルールが設けられています。
違反した場合
それらの積載制限に違反した場合は、「道路交通法違反」として処罰の対象となり、反則金や違反点数が科されるほか、悪質な場合には免許停止や業務停止処分が科されることもあります。さらに、違反状態で事故を起こした場合、過失割合が高くなるなど、法的な責任も重大となるため注意が必要です。
事業用車両の場合、企業のコンプライアンスにも関わるため、ドライバー個人だけでなく管理者レベルでもルールの理解と運用が求められます。適切な積載と安全運転は、交通安全だけでなく、企業の信頼維持や業務効率の向上にもつながる重要な要素といえるでしょう。
制限外積載許可について
制限外積載許可は、道路交通法第57条第3項などに基づき、通常の積載制限を超える荷物を運搬する際に、出発地を管轄する警察署長の判断により発行される特別な許可です。許可を取得するには申請書のほか、積載状況が分かる図面や写真、運転経路図、積載物の大きさや重量、固定方法などを添付する必要があります。
かつては許可の有効期間が原則3か月以内とされていましたが、2019年2月の警察庁通達による制度改正により、定型的・反復的に同じ車両・経路・積載物で運行する場合には、最大1年までの許可が認められるようになりました。それにより、業務の効率化と申請者の負担軽減が図られています。
なお、審査は原則として書面資料(図面・写真等)により行われますが、必要に応じて現地実査も実施されることがあります。許可を取得せずに制限を超える積載を行うと、道路交通法違反として処罰の対象になるため、法令遵守の意識を持った対応が重要です。
参考:制限外積載許可制度の概要
特殊車両通行許可制度との違い
制限外積載許可制度と混同されやすいのが「特殊車両通行許可制度」です。両者は一見似ていますが、適用対象・根拠法令・申請先が異なる別制度です。
特殊車両通行許可は「道路法」に基づく制度で、車両そのものが一般的制限値(長さ・幅・高さ・重量など)を超えている場合に必要です。申請先は国土交通省の出先機関や自治体の道路管理者となり、道路構造や橋梁への負担を考慮した審査が行われます。
一方、制限外積載許可は「道路交通法」に基づく制度で、通常の車両に積載する「荷物」が長さ・幅・高さの制限を超える場合に必要です。
両方の許可が必要となるケースもあり、積載物により全長や高さが基準を超える場合は、両制度の申請が必要となります。それぞれの制度の目的と対象を正しく理解したうえで、適切な申請が求められます。
参考:特殊車両通行制度について
はみ出して積載する際の注意点
トラックの荷台から貨物がはみ出す場合には、道路交通法や関連通達に基づく制限を守るだけでなく、安全運行のための実務的な配慮が重要です。制限内での積載であっても、積載方法によっては重大な事故や違反につながるおそれがあります。
まず、積載物の固定が不十分だと、走行中の揺れや風圧によって荷物が動いたり脱落するリスクがあります。特に長尺物や不安定な形状のものを積載する場合は、ラッシングベルトやチェーンなどを用いて確実に固定し、車両と一体となるようにする必要があります。
また、視界の確保と死角の対策も重要です。後方や側方に大きくはみ出す荷物を積むと、サイドミラーの視界が遮られ、後続車両や歩行者が見えにくくなることがあります。必要に応じて補助ミラーや誘導員の配置など、安全対策を講じることが求められます。
さらに、荷物がはみ出している部分には「赤色の布(30cm以上)」を取り付ける義務があります。それは他の車両に積載物の存在を知らせ、接触事故を未然に防ぐための措置です。
運行中は、積載物の揺れ・落下・変形がないか定期的に確認し、異常が見られた場合にはすぐに停車して点検・再固定を行いましょう。また、走行ルートも慎重に選ぶ必要があり、狭い道路や高さ制限のある区間は回避するなど、事前のルート確認が欠かせません。
はみ出し積載は、特別な注意と責任を伴う作業です。安全確保を最優先に、法令と実務の両面から適切な対応を心がけましょう。
トラックの荷台はみ出し規制について
トラックの荷台のはみ出しに関する規制は、交通の安全と積載物の運搬を両立させるために設けられた重要なルールです。道路交通法施行令や警察庁の通達によって、はみ出しの許容範囲や許可の要否が細かく定められており、違反すれば罰則を受けることになります。トラックを使用する場合には、ルールを正しく理解し、積載前の点検と安全対策を徹底することが求められます。
なお、トラックの買い替えや導入をご検討中の場合には、中古トラック販売店「トラックランド」へぜひご相談ください。小型〜大型まで豊富な在庫を取り揃え、専門スタッフがご希望に沿った1台をご提案しており、車両をお探しすることも可能です。
月額定額制の「サブスクdeスグのり」のサービスもご提供しており、初期費用を抑えた柔軟な車両導入が可能です。
トラックランドのサービスにご興味がございましたらぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。
実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。
趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。
「月刊トラックランドオンライン」にて、中古トラック選びのコツや業界の最新情報を発信中。
ぜひチェックしてください!