物流業界や建設現場、さらには特殊な搬送が必要な場面で欠かせないトレーラーには様々な種類があり、それぞれの特徴や用途に応じた選択が求められます。
今回は、「トレーラーの種類」をテーマに、それぞれの特徴、用途、違いを解説し、最適な選択をするためのポイントもご紹介します。
トレーラーに関する基礎知識を深めたい方、また購入やレンタルを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
トレーラーの種類
トレーラーは主に「セミトレーラー」と「フルトレーラー」に分けられ、「あおり型」「スタンション型」「バン型」「タンク型」「冷凍型」といった形状による種類があります
セミトレーラー
日本国内で用いられている多くがセミトレーラーです。車軸が後方のみで前輪がなく、車両の前方部分がトラクターに乗る設計となっており、自走能力を持たないため、トラクターに牽引されることで走行が可能になります。セミトレーラーの全長は最大18mまで認められており、物流の効率化と大量輸送を可能にする輸送手段として、幅広い業界で重宝されています。
フルトレーラー
車両全体が自立した構造で、前後に車軸のあるトレーラーです。その構造により、より大量の貨物を一度に運ぶことができ、長距離輸送や大量輸送に適しています。フルトレーラーはトラクターとトレーラーの間にドリー(中間車両)が入る構造の「ドリー式」とトレーラー中央に車軸が配置された「センターアクスル式」の2種類あります。フルトレーラーの全長は最大で25mまで認められていますが、全長が長くなるため、道路条件や運行ルートの選択に制限が生じることがあります。
あおり型
荷台の周囲に「あおり」と呼ばれる可動式の側板が取り付けられたトレーラーです。木材や建築資材、農作物など、比較的大型でかさばる貨物の輸送に適しており、積み下ろしがしやすい構造が特徴です。
あおり型の利点は、その汎用性の高さにあります。あおり部分は開閉が可能なため、フォークリフトやクレーンを使った積み下ろし作業も容易に行えます。また、荷台がフラットなため、不規則な形状の貨物も積載しやすく、様々な業種で使用されています。あおりを完全に取り外してフラットにして利用できる車両もあり、用途に応じて柔軟な運用が可能です。
スタンション型
貨物を固定するためのスタンション(柱)が荷台に設置されたトレーラーで、主に長尺物や不安定な形状の荷物を輸送する際に使用されます。木材、鋼材、パイプ、電柱などのような長く重い物を運ぶのに適しており、荷物の転倒や横滑りを防げます。スタンションは荷台の左右や中央に配置されています。
スタンション型トレーラーも、貨物の形状に合わせた柔軟な対応が可能です。スタンションの配置を調整したり、取り外したりできるタイプもあり、多様な貨物に対応できます。また、クレーンでの積み下ろしも容易であり、工事現場や物流倉庫での作業効率を向上させることができます。
バン型
荷台が箱型構造になっているトレーラーで、貨物を外部環境から保護する必要がある場合に使用されます。荷台全体が覆われているため、雨や風、ほこりなどの影響を受けにくく、食品、衣類、家電製品、精密機器といった天候や外部環境の影響を受けやすい荷物の輸送に適しています。また、盗難や紛失リスクを軽減できる点も大きな利点です。
バン型トレーラーには、後部に扉がある標準的なバンタイプと、側面が大きく開くウイングタイプの2種類があります。通常のバンタイプは、後部から荷物を積み降ろしするのが基本で、荷台全体が密閉されているため、貨物をしっかりと保護できるのが特徴です。一方、ウイングタイプは側面が大きく開閉できる構造となっており、フォークリフトなどを使用して複数の荷物を一度に積み込むことが可能です。
タンク型
液体や気体を効率的かつ安全に輸送するためのトレーラーです。荷台部分が円筒形または球状のタンクになっており、石油製品、化学薬品、液体食品、LPG(液化石油ガス)などを輸送する際に使用されます。
輸送する貨物に応じた様々な種類があり、食品用は衛生管理が徹底されており、内壁が特殊なコーティングで加工され、化学薬品や石油製品の輸送には、耐腐食性や耐圧性を持つ素材が使用されるなど、それぞれの用途に特化した設計が施されています。なおタンク型はその構造上、清掃やメンテナンスに時間や手間がかかるというのが課題として挙げられます。
冷蔵・冷凍型
冷蔵・冷凍型トレーラーには冷却装置が搭載されており、輸送中でも指定された温度帯を保つことが可能です。冷凍温度に対応するものから、冷蔵温度帯(0℃~10℃程度)で管理できるものまであり、輸送品目に応じた温度設定が可能です。それにより、食品や医薬品など、鮮度や温度管理が重要な製品の品質を保ちながら輸送できる点が大きな特徴です。
また、冷蔵・冷凍型トレーラーは、高温多湿な夏場や長距離輸送においてもその性能を発揮し、荷物が外部環境の影響を受けにくいという利点があります。そのため、食品・医薬品輸送の現場だけでなく、高付加価値製品の輸送においても欠かせない存在といえます。
その他
その他、国際標準のコンテナを輸送するためのコンテナトレーラーや、土砂や砕石などの運搬に使用され、荷台を傾けて積載物を効率よく排出できるダンプトレーラー。大型の建設機械や特殊車両の輸送用で、低床構造により積み降ろしが容易な重機運搬用トレーラー、複数台の自動車を一度に輸送可能な自動車運搬用トレーラー(キャリアカー)などの種類もあります。
トレーラーの種類をチェック
ここまで、トレーラーの主な種類やその特徴などを解説しました。トレーラーはセミトレーラーとフルトレーラーに分けられ、形状が異なる様々な種類があります。荷物の種類や輸送条件に合ったトレーラーを選ぶことで、安全性や効率を大きく向上させることができます。
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