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ガソリンの暫定税率とは?廃止による影響についても解説

まなびのコラム

ガソリンの暫定税率とは?廃止による影響についても解説

ガソリン価格の動向は、日々の家計や企業活動にも大きく影響する重要なテーマです。そんな中、最近注目を集めているのが、ガソリンに上乗せされている「暫定税率」の廃止に向けた動きです。暫定税率は1970年代に道路整備の財源として導入され、その後も当分の間税率として長く維持されてきましたが、2025年末に廃止されることが決まりました。

それにより、ガソリン価格がどのように変化するのか、また生活や物流、産業への影響はあるのかなど、多くの方が関心を寄せています。

今回の記事では、暫定税率の仕組みから廃止の背景、今後想定される影響・懸念点などを解説します。

ガソリンの暫定税率とは?

ガソリンや軽油に課されている税金のうち、本来の税率に「上乗せ」されている部分のことです。正式には「当分の間税率」と呼ばれ、ガソリンの場合は揮発油税・地方揮発油税に、軽油の場合は軽油引取税に含まれています。現在は、ガソリン1リットルあたり25.1円、軽油1リットルあたり17.1円が暫定税率として上乗せされています。

もともとは1970年代に道路整備の財源確保などを目的として導入されたもので、その後、税収確保の観点から見直されつつも「当分の間」という位置づけのまま続いてきました。ガソリン価格の中には原油価格や為替だけでなく、そうした税金の影響も大きく、暫定税率はその一因となっています。

ガソリンにかかる税金

ガソリンにかかる主な税金は「揮発油税」「地方揮発油税」「石油石炭税」「消費税」の4つで、その中で揮発油税と地方揮発油税には暫定税率が上乗せされています。それらの税金はガソリンの製造や流通、販売の段階で一律に課され、最終的には給油時の価格に反映されます。消費税はガソリン本体価格と各税金を合計した金額に対して課税される仕組みのため、税金に対してさらに税金がかかる「二重課税」状態になっている点が問題視されていました。

暫定税率が廃止される理由

暫定税率が廃止される理由

ガソリンの暫定税率が廃止される背景には、いくつかの社会的・経済的な理由があります。まず大きな理由として、当初の目的がすでに薄れていることです。先述した通り、暫定税率は1970年代の高度経済成長期、道路整備の財源確保やオイルショック時の税収対策として一時的に導入されたものです。しかし、その後も「当分の間税率」として半世紀以上継続しており、恒久税のような状態になっていることが問題視されてきました。

また、ガソリン・車関連の税金が過剰であるという業界の指摘も廃止を後押しし、自動車産業界からは長年にわたり税制の抜本見直しを求める声が上がっていました。

さらに、物価高騰が続く中で、国民負担軽減策としての位置づけも大きな要因です。ガソリン価格が高止まりする状況において、暫定税率を廃止することで家計負担を直接的に下げられるため、政府・野党双方から検討が進みました。

暫定税率廃止による影響と懸念点

暫定税率廃止による影響と懸念点

暫定税率廃止による影響と懸念点を解説します。

廃止による影響

暫定税率は 2025年(令和7年)12月31日、軽油の暫定税率は 2026年(令和8年)4月1日に廃止されることが決まっています。ただし、廃止当日に価格が一気に下がるわけではありません。資源エネルギー庁は流通の混乱を避けるため、2025年11月以降に補助金を段階的に拡充し、ガソリン・軽油の価格をゆるやかに引き下げる方針を示しています。

それにより、ガソリンは12月中旬頃、軽油は11月下旬頃から、暫定税率の廃止と同等の値下げ効果が順次反映される見込みです。廃止そのものは大きな負担軽減につながりますが、急激な価格変動を避ける仕組みが導入されている点が特徴です。

懸念点

一方で、いくつかの懸念点も指摘されています。まず、価格変動による流通現場の混乱です。急激な値下がりが起こると給油のタイミングを見極めようとする人が増え、一時的な買い控えや、その後の駆け込み給油によってスタンドの渋滞・在庫不足が発生する可能性があります。そうした事態を避けるため、政府は段階的な補助金拡充で価格を緩やかに下げる仕組みを導入しているのです。

また、税収減による道路整備・自治体財源への影響も懸念されます。暫定税率は本来、道路整備の財源として導入された背景があり、廃止後の代替財源をどのように確保するかが課題となります。さらに、価格が下がることで需要が一時的に増え、原油価格の変動や為替の影響が現れる可能性もあります。

暫定税率廃止に対する企業の準備・対応

暫定税率廃止に対する企業の準備・対応

燃料費の影響を受けやすい企業は、早い段階から情報収集と環境変化への備えが必要です。まず重要なのは、政府発表・自治体動向・業界団体の声明など、最新の税制改正情報を継続的に確認することです。

また、補助金の段階的拡充による価格変動を見越し、燃料調達のタイミングや配送計画の見直し、契約単価の調整など、実務面での対応を早急に検討する必要があります。

加えて、政府の対応方針が変更される可能性もあるため、複数のシナリオを想定したコスト計画を準備する必要があります。価格変動リスクを最小限に抑えるため、柔軟に対応できる体制を整えておくことが何より重要です。

ガソリンの暫定税率について

ガソリンの暫定税率は、道路整備などの財源確保を目的に1970年代から続く「当分の間税率」で、現在のガソリン価格を押し上げている要因でもあります。近年は物価高騰を受け、暫定税率の廃止が決定し、実施されることでガソリン価格の引き下げが期待できます。

一方で、税収減による道路整備費や自治体財源の確保など課題も残ります。最新情報を注視しつつ、企業や利用者は燃料費変動に備えた柔軟な対応が求められるでしょう。

参考:ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!

この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

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