2024年10月から開始予定の「置き配ポイント」は、物流業界が抱える「2024年問題」に対する解決策として注目を集めています。
消費者に特典があるだけではなく、トラックドライバーの負担軽減にもつながるこの制度は、国内の物流業界に良い影響をもたらすことが期待されています。
今回は、置き配ポイントの概要を中心に解説し、ドライバー不足の現状や対策についても紹介します。
置き配ポイントとは?
消費者が自宅等で荷物を受け取る際、玄関前や宅配ボックスなどの「置き配」を選択した時に、ポイントが付与される制度です。この制度は、再配達を削減することを目的としています。
再配達が頻繁に発生すると、配送業者の負担が増え、効率的な配送が難しくなります。置き配を推奨し、効率的な配送を実現することでドライバーの負担を軽減し、人手不足の解消に繋げるという狙いがあるのです。
現在のところ詳細は発表されていませんが、2024年10月から開始が予定されていて、消費者に対してより積極的な利用を促すことで、社会全体の物流効率の向上が期待されています。
置き配ポイント事業の詳細
国が進めるポイント還元実証事業では、1配送当たり最大5円のポイント還元を補助し、消費者に効率的な受け取り方法を選択することへのインセンティブを付与します。
参加する主な事業者として、以下の大手6社が含まれています。
【Eコマース事業者】
・アマゾンジャパン合同会社
・楽天グループ株式会社
・LINEヤフー株式会社
【運輸事業者】
・ヤマト運輸株式会社
・佐川急便株式会社
・日本郵便株式会社
消費者の行動変容を促すため、以下のような取り組みが進められる予定です。
【Amazon】非対面等多様な受け取り方法の活用:1回で受け取った場合にポイント還元
【楽天】日付指定一回受け取りキャンペーン:1回の受け取りでポイントを付与
【LINEヤフー】おトク指定便キャンペーン:ゆとりのある配送日時を選択することでポイント還元
これにより、再配達率の半減を目指し、消費者がコンビニ受け取りなどの柔軟な受け取り方法を選択することで、物流負荷を軽減し、配送の効率化が図られます。消費者もそれらの方法を利用することで、ポイント還元を受けることができるというメリットがあります。
ただし、現在発表されている内容は一部に限られており、置き配ポイントの具体的な施策や詳細なポイント付与の条件については、まだ明らかにされていません。今後の追加情報や正式な発表が待たれる状況です。
ドライバー不足の現状・対策
日本の物流業界は、長年にわたり深刻なドライバー不足に直面しています。特に、2024年問題として知られる「働き方改革関連法」による労働時間の制限が、物流業界をさらに厳しい状況にしています。
現在、トラックドライバーの平均年齢は上昇しており、新規参入者も少なく、若年層の確保が難しい状況です。そのため、ドライバーの需要と供給のバランスが崩れています。
主な取り組み・対策
ドライバー不足解消に向けて以下のような取り組み・対策が行われています。
【労働環境の改善】
ドライバー不足の根本的な原因の一つが、長時間労働や厳しい勤務環境です。それを解決するため、勤務時間の短縮や労働環境の改善を進めるなどの取り組みを行っている企業があります。それにより、離職率の低下や新規参入者の増加が期待できます。
【女性や高齢者の採用】
女性ドライバーや、定年後の再雇用による高齢者ドライバーの積極的な採用も進んでいます。女性が働きやすい環境整備や、安全性を高めた車両の導入などで、多様な人材が参入しやすい環境を作ることが大切です。
【外国人の採用】
外国人労働者の採用も一つの対策として注目されています。特定技能ビザを活用して、一定の技術や知識を持つ外国人を受け入れる動きが広がっています。外国人の採用により人手不足の解消が期待される一方で、言語や文化の違いに対するサポートや、長期的な雇用を見据えた育成体制の整備が必要です。
【テクノロジーの活用】
自動運転技術や物流管理システムの導入によって、効率的な運行を実現することも重要です。自動運転トラックの実用化が進めば、ドライバー不足の問題を長期的に解決できる可能性があります。また、貨物の積載効率を高める技術の導入が業務負担を軽減します。
ドライバー不足に対する多面的な対策を行い、物流の安定性を確保し、今後も社会経済の基盤を支えていくことが求められています。
置き配ポイントについて
置き配ポイントは、再配達の削減を目的として政府が実施する施策で、2024年10月から開始される予定です。消費者が置き配や宅配ボックス、コンビニ受け取りなど再配達を減らす受け取り方法を選択することで、1回の配送につきポイントが還元されるといった内容が想定されています。
この事業には、アマゾンジャパンや楽天、ヤマト運輸などが参加予定で、物流業界全体の効率化が期待されています。消費者にとってもメリットがあり、持続可能な配送システムの構築につながる可能性があります。