郡山本社 / 奈良県大和郡山市美濃庄町436
名張営業所 / 三重県名張市長瀬1405
創 業 / 昭和48年3月
従業員数 / 名張営業所30名(ドライバー20名)
事業内容 / 一般貨物運送事業・倉庫業・不動産賃貸業
車両保有数 / 40台(うち名張営業所18台)
小さな約束を大切に。
〜働きやすい環境づくりに全精力を注ぐ〜
「私は全くの畑違いのところから来ました。」控えめな笑顔で話す爽やかな好青年といった印象。グループの事業を経験した方がいいとの経営者の考えで、30代で名張営業所の所長に就任。最初は不安の方が大きかったと言う。「ドライバーさんはやんちゃな方が多いというイメージがありまして……」と照れ臭そうに笑い、その時の気持ちを表してくれた。物流事業という全く経験がない業界に一から取り組んできた、この2年半。自分に課された役割を自覚し、謙虚に自分なりのスタイルを貫いてきた。現在41歳。金田崇所長にお話を伺った。
新日本輸送の創業は1966年。ノブレスグループ代表・川井徳子氏の父上が新日本開発株式会社(現・新日本輸送株式会社)を創業し、2007年に川井氏が代表取締役就任。ノブレスグループは物流事業やメガソーラー発電、不動産、観光事業と、サービスは多岐にわたる。
金田所長は2004年12月入社。不動産事業でウィークリーマンションを担当。本社ではグループ代表の隣の部屋に席があり秘書のような業務も担う。30代でグループホールディングスの人事課長に就任。若いながらも次代を担う一員として経営層の金田氏への期待は大きい。
「代表の考え方で色々とチャンスをもらえる」と金田氏。その期待に応えなければと気持ちも引き締まる。
入社15年目。前職はパソコンのインストラクターを3年半ほど務めた。その経験が活きてか、現在は終業後に従業員にパソコン教室を開いているという。リフトマンが入力の勉強をするなど各々が業務に向けて努力する姿に、若きリーダーの面倒見の良さが伝わってくる。
―所長になってみて苦労した点は?
運送業のことが全く分からずに就任したので、すごく苦労した。自分に経験がないために部下への指導が自信を持ってできない。未知の業界だった。従業員からはどう思われているのか「どうせなにも知らないくせに。」と思われているんじゃないかと思いながら、不安の中で何とかやってきたところもある。それでも、みんなよくついてきてくれている。従業員の半数以上が年上、ドライバーも年上の方が多い中、この2年半で信頼関係も築いてこられたのではないか、と話す。
最近は人の紹介が増えてきたそう。「従業員から直接の言葉はないけれども、うちの会社を気に入ってくれている証拠かもしれない。働きやすいと思ってくれているのでは。」 と金田氏。「従業員の甥っ子(23歳)が入社。その友人も入社し、更にその共通の友達(60歳)が最近、働き出した。従業員の娘さん、息子さんも働きたいと言っているそうで、それが従業員の評価。自分の会社を誇りに思う結果だと考えています。」と金田氏は嬉しそうに話す。手探りで進めてきた業務に手応えを感じているようだ。
―運送業。労働としては過酷なのでは?
グループの経営方針として、何年も前から働きやすい環境づくりに組織として重きを置いている。当社がそんなに儲かっていない時代、今のようにコンプライアンスが厳しくなる以前から設備投資をし、ドライバーがどこを走っているか詳細にわかるシステムを導入、管理をしている。それを月1回の幹部会で報告し、毎回、改善点を精査している。
長距離では山形、秋田、北関東、北九州。また北陸や四国、岡山などの中距離も担う。取引先は医薬品メーカーが多く、北陸へは毎日の業務となる。医薬品関係は荷扱いがとても厳しく、ダンボールに傷がついただけで即返品に。車両の運転、搬入も含め全てにおいて神経を使う。また新人ドライバーは研修期間の3ヶ月間は、その医薬品メーカーの荷物は扱わせない。だからこそドライバーは誇りを持って仕事に向き合う。今はドライバーの負担を減らす施策について、業界全体で改善の方向にある。それでも立場的には弱いと金田氏。中小企業は上からと下からの要求の板挟みで運賃の値上げをしたくてもなかなか厳しいとのこと。ただ「当社はまだ恵まれている」のだそう。医薬品関係のフィルムロープは、かなりの重量となるためパレットで扱うなど、働きやすい環境を作れていると思うし、給料も同業他社に負けてはいないと思う。人を大切にする社風が従業員の紹介に繋がっているのでは、と話す。
レンタル車両、大活躍!
―「リースdeスグのりPLUS」導入の経緯
2018年夏、車両の修理が続き経費が嵩んでしまった。また、客先からの要望も増え車両が足りないということに。新車購入の計画もあった中、自身でネットを調べてリース・レンタルのシステムを知る。今回は新車2年更新型の「リースdeスグのりPLUS+」を導入。2年後の契約満了時に更新する際は新車と入れ替えになる。メンテナンス付き、故障リスクの少ない新車がすぐに導入できるというメリットの部分が大きいと判断し、一度、試させてもらいたいと経営層に伝えるとすぐにOKが出た。トラックランドへの最初の問い合わせから2ヶ月後の10月3日、日野プロフィア大型ウィングが納車された。
実際に稼働してみると、配送先で他社のドライバーから新車が羨ましがられることもあり、従業員のモチベーションが上がったそう。今度は自分が乗りたいと会社全体の活性化に繋がったとのこと。所有車両は走行距離130万キロを超える年式の古い車も多い。やっと償却が終わってそこから稼げるようになった車両もあるためメンテナンスをしながら大切に乗っていく。そんな中で、リースという新しいシステムの導入で現場の空気も変わった。ドライバーから「ありがとう」と言われ嬉しい、と金田氏。「どんどん従業員が働きやすい環境を整えていかないと」と、所長自身のモチベーションにも繋がっているようだ。
―自身のこだわり、夢は?
働きやすい職場づくりに努めたい。私は物流に関して素人なので専門的な仕事はできないけれど、だからこその目線を大事にしたい。従業員にストレスなく気持ちよく働いてもらうためには、多少お金がかかってでも現場の要望を叶えてあげたい。そういう「小さな約束」を、要望を忘れないように少しずつでも実現していく。それは人事や総務の仕事をしていた時から、現場の人とうまくやっていくために心がけて取り組んできたことだそうだ。現場の声を大切にし、小さいところまできちんと見て、意識を届かせる、それが働きやすい職場づくりに繋がってくるし、より良いものを作るための要望も出しやすくなる。例えば、とハンドブックを見せてくれた。これは従業員の提案なんです、と嬉しそうな金田氏。従来のA4サイズの品質マニュアルを、従業員からのアイデアでハンドブックに仕上げた。経営層の理解もあり、形になるのが早かったそうで、このアイデアが評価されグループ全体のハンドブックも完成したそう。現場は声をあげやすい。それが従業員の期待に繋がるし、現場からはいろんな改善提案をしてくれるのでありがたい。
「今後は事業を右肩上がりにして、働く環境の改善はもちろん、給与も上げていきたい。賞与もグループの中で物流事業をトップクラスにしたい。それは私が就任した時からずっと言っていることで、しっかりと実現していきたい。」未来を見つめる金田所長の目に、リーダーとしての責任感と秘める想い。そして、静かなる情熱が垣間見えた。
『人を大切にする』という川井代表の経営ポリシーをしっかりと継承し、誰からも必要とされる若き先導者に、学ぶことの多い取材となった。