トラックの安全運行と燃費効率を左右する重要なポイントのひとつが「タイヤの空気圧管理」です。空気圧が適正でないと、重大な事故や走行トラブルの原因となることもありますので、注意が必要です。
特に長距離運行や積載量が多い車両では、空気圧が走行性能やタイヤの寿命に直結します。日常点検の一環として、空気圧チェックは欠かせません。
この記事では、トラックにおける適正な空気圧の目安や確認方法、正しい入れ方などを解説します。
トラックのタイヤの適正な空気圧は?
タイヤの空気圧とは、タイヤ内部に充填された空気の圧力のことで、車両の荷重を支え、路面との接地状態を安定させる重要な要素です。
空気圧は、車両のサイズや積載重量、タイヤの種類、気温などによって異なります。基本的には小型トラックであれば500〜600kPa、中型トラックではおおよそ700〜800kPa、大型トラックは700〜900kPa程度が目安になります。
適切な空気圧は車両に付属する空気圧指定ラベル(通常は運転席ドアの内側)、または車両取扱説明書で確認できます。積載量や用途が多様な商用車においては、積載状態に応じて空気圧を調整することも重要です。
タイヤは唯一地面と接する部品であり、その空気圧は車両の安全性や燃費、ブレーキ性能に直接関わってきます。適正な空気圧を保つことで、偏摩耗やパンク、燃費悪化などを防ぎ、車両の寿命や業務効率を高めることにもつながります。
適正ではない場合の影響
空気圧が低すぎると、タイヤの接地面積が広がり、摩擦抵抗が増して燃費が悪化します。さらに、タイヤのサイドウォール(側面)がたわみやすくなり、熱がこもってバーストのリスクが高まります。また、操縦安定性が低下し、ハンドルが重く感じられるようになることもあります。
逆に、空気圧が高すぎる場合には、タイヤの中央部分だけが接地しやすくなるため、摩耗が進行しやすくなります。乗り心地が悪化し、段差や突起物によるダメージも受けやすくなり、結果としてタイヤの寿命が短くなりがちです。また、制動距離の延長や路面とのグリップ力の低下といった問題も発生する可能性があります。
適正な空気圧を守らないと、安全面だけでなくコスト面にも悪影響を及ぼす要因になりますので、定期的なチェックと管理が不可欠です。
タイヤの空気圧の確認方法・入れ方
ここでは、タイヤの空気圧の点検頻度や確認方法・入れ方を解説します。
点検頻度
空気圧の点検は、最低でも月に1回以上行うことが推奨されています。特に、長距離走行や高速道路を利用する前、大量の荷物を積載する前後、季節の変わり目(特に気温が大きく変化する時期)は重点的に確認しましょう。
また、気温が下がると空気圧は自然に低下する傾向があるため、冬場はよりこまめなチェックが必要です。商用トラックの場合は、週に1回、または給油時のタイミングで確認する習慣をつけておくと安心です。
確認方法
空気圧の確認には「タイヤゲージ」と呼ばれる専用の測定器を使用します。また、エアコンプレッサーに空気圧測定機能が付属しているタイプもあり、ガソリンスタンドなどでも簡単にチェックできます。最近ではデジタルタイプのゲージも登場しており、より高精度な測定が可能です。
確認手順は以下の通りです。
①タイヤが冷えた状態(走行直後は避ける)で確認する。
②バルブキャップを外す。
③タイヤゲージをバルブにしっかりと押し当て、空気圧を測定する。
④車両の取扱説明書や運転席ドア内側の空気圧表示ラベルを参考に、規定値と比較する。
⑤終了後はバルブキャップを確実に戻す。
なお、各輪の空気圧をすべて確認することが重要です。前後で異なる規定値になっている場合もあるため、表示をよく確認しましょう。また、スペアタイヤの空気圧も忘れずにチェックしておくと安心です。
入れ方
空気圧が不足している場合は、エアコンプレッサーで補充を行います。最近ではセルフ式ガソリンスタンドでも空気補充が可能な設備が整っており、手軽にメンテナンスできる環境が増えています。
以下が一般的な手順です。
①エアホースの先端をバルブにしっかりと差し込みます。しっかり接続しないと空気が漏れたり、正確な測定ができなくなります。
②補充を始める前に、車両の指定空気圧(kPa)を取扱説明書やドア内側のラベルで確認しておきます。
③エアを注入しながら、内蔵ゲージで空気圧をこまめにチェックします。
④適正値に達したら空気の注入を止め、過充填していた場合は慎重にエアを抜いて微調整します。
⑤最後にバルブキャップを確実に取り付け、空気の漏れがないかを確認します。
空気圧の下がりが早い原因は?
トラックのタイヤ空気圧が通常よりも早く低下する場合、いくつかの原因が考えられます。放置すると走行中のバーストや偏摩耗など重大なトラブルにつながるため、早めの点検と対策が必要です。
まず考えられるのが、バルブの劣化やゆるみです。タイヤの空気はバルブから出入りしますが、その部分のゴムが劣化していたり、キャップが緩んでいたりすると微量の空気漏れが継続的に発生します。特に古い車両や、長期間バルブを交換していない場合は要注意です。
ホイールとタイヤの密着不良も原因のひとつです。タイヤのビード部(ホイールとの接触部)に汚れやサビ、異物があると、しっかりと密着されずに徐々に空気が抜けていくことがあります。
また、微細なパンク(スローパンクチャー)も空気圧低下の原因です。目視では確認できない小さな釘やガラス片などがトレッド部に刺さっていて、じわじわと空気が漏れるケースがあります。
温度変化による自然な圧力低下も見逃せません。気温が10℃下がると、空気圧は約7kPa程度下がるといわれており、寒暖差の大きい時期や冬場は特に注意が必要です。
空気圧の減少がいつもより早いと感じた場合、以上のような点を確認し、必要であれば整備工場で点検を受けることをおすすめします。安全な運行のためには、早期発見と予防が大切です。
トラックのタイヤの空気圧について
トラックのタイヤの空気圧は、走行性能や燃費、安全性に直結する重要な要素です。適正な空気圧を保つことで、タイヤの偏摩耗やバーストのリスクを抑え、快適かつ安全な運行が可能になります。日常的な点検や適切な空気圧の管理を習慣づけることで、トラックの寿命延長にもつながります。
なお、トラックのメンテナンスや車両の買い替えを検討されている場合には、ぜひ中古トラック販売店「トラックランド」をぜひご利用ください。豊富な在庫と全国ネットワークを活かし、用途やご希望に合った最適な1台のご提案が可能です。
グループ会社「陸送ネット」では、整備・車検・登録・納車・陸送に対応しており、不具合時の対応や、定期的なメンテナンスのご依頼も承っております。法人・個人問わず、安心してご利用いただけますのでお気軽にご相談ください。
車両の陸送・登録・車検・整備を手掛け、全国対応でスムーズな車両移動をサポート。特殊車両や大型車両にも対応し、法人・個人を問わず幅広いニーズに応えています。
この記事を監修した人

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。
実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。
趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。
「月刊トラックランドオンライン」にて、中古トラック選びのコツや業界の最新情報を発信中。
ぜひチェックしてください!