12月は、1年の中で交通事故が増える時期として知られています。年末に向けて車での移動が増える中、さまざまな要因が重なり、事故のリスクが高まります

今回は、12月に交通事故が多発する理由や背景について詳しく解説し、事故を防ぐための対策もご紹介します。

12月に交通事故が多い理由

12月に交通事故が起きやすいのは「交通量の増加」「ドライバーの心理」「日照時間」「天候・路面状況」が影響しています。

交通量の増加

12月は年末年始の準備やイベントが増えるため、他の時期と比べて車での移動が多くなります。買い物や帰省、旅行などさまざまな目的で普段よりも多くの人が車を利用するため、交通量が増え、道路全体が混雑しやすくなります。

その結果、接触事故や追突のリスクが高まります。また、普段走り慣れていない場所へ出かけたり、長距離を運転したりする機会も増えるため、道に不慣れなことから生じる運転ミスが起きやすく、緊張感が続くことで疲労も蓄積し、注意力が散漫になることも少なくありません。そうした要因が重なることで、事故のリスクが高まってしまうのです。

ドライバーの心理

12月は年末に向けて仕事やイベントが増えるため、忙しさからドライバーも慌ただしい気持ちで運転しがちです。「早く目的地に着きたい」「急いで移動しなければならない」といった焦りが生じやすく、用事が重なると無意識にスピードを出してしまうこともあります。

また、12月は仕事や家事、年末行事による疲労もたまりやすい時期で、集中力が低下して注意力が散漫になりがちです。そのため、普段なら気をつけているような信号の確認やミラーのチェックをうっかり忘れてしまい、危険な運転につながるケースも少なくありません。

日照時間

12月は一年の中で最も日照時間が短く、夕方の早い時間帯に日が暮れて暗くなります。そのため、通勤や帰宅ラッシュの時間帯には視界が悪くなり、事故のリスクが高まります。特に、街灯の少ない道路や見通しの悪いカーブ、影が多くできやすい場所では、歩行者や自転車の存在を見落としやすく、予測しづらい動きにも対応が遅れる可能性があります。

暗い環境では反射材やライトがないと歩行者や自転車が目立たないため、ドライバーの視認性が低下し、横断歩道や交差点などでも接触事故が増える傾向にあります。

天候・路面状況

12月は寒波や降雪の影響で、路面が滑りやすくなることが多い季節です。気温が低いため、道路は凍結しやすくなり、積雪や凍結によって路面状況が悪化するため、ブレーキが効きにくくなったり、車両がスリップしやすくなったりといった危険が増加します。

急なブレーキやハンドル操作を行うと車が制御不能になる可能性も高まるため、いつも以上に運転に注意が必要です。また、急激な冷え込みによって道路にブラックアイスバーンが発生することもあり、気づかずに通過した際に予期せぬスリップ事故を引き起こすこともあります。

交通事故を防ぐための対策

交通事故を防ぐための対策を「個人でできること」と「事業者が取り組むこと」に分けて解説します。

個人でできること

個人でできる対策として、運転前の準備と確認が挙げられます。冬場は路面が滑りやすくなるため、冬用タイヤに交換し、タイヤの溝や空気圧も確認しておきましょう。

悪天候の中ではスピードを控えめにし、普段以上に車間距離を保つことが重要です。さらに、視界が悪くなる夕方や夜間の運転時には、歩行者や自転車を見落としやすいため、ライトを早めに点灯し、横断歩道や交差点などの注意が必要な場所では、減速して安全確認を徹底しましょう。

加えて、長時間の運転が予想される場合はこまめに休憩を取って疲労を溜めないようにし、緊張や疲労による注意力の低下を防ぐことも大切です。季節や状況に応じた柔軟な運転と心構えが事故防止につながります。

事業者が取り組むこと

事業者が取り組むべき対策としては、まずドライバーの安全教育や研修を行うことが挙げられます。12月のような交通量が増加する時期には、安全運転の徹底やスピード管理についての指導が効果的です。また、運転前の点検を義務付けることで、車両の安全性を高め、故障やトラブルによる事故のリスクを軽減できます。

さらに、運行管理システムの導入によって、ドライバーの運転状況をリアルタイムで把握し、長時間労働や疲労運転を未然に防ぐことも可能です。また、ドライバーが適切な休憩を取れるようなスケジュール管理も重要で、こうした取り組みを通じて事故防止に向けた安全意識を高めていくことが求められます。

12月の運転は要注意

12月は、年末の慌ただしさや冬特有の気象条件から、他の時期に比べて交通事故が増える傾向にあります。年末に向けて車での移動が増え、混雑する道路での注意散漫や焦りが、事故のリスクを高めます。

また、日照時間の短縮で視界が悪くなりやすく、夕方の通勤ラッシュ時に歩行者や自転車を見落とすケースも増えます。加えて、寒波や降雪による路面凍結などもスリップ事故を招きやすく、冬季ならではの注意が必要です。

交通事故を防ぐためにはドライバーだけでなく、事業者も適切な対策が求められます。今回紹介した情報を参考に、年末の交通事故防止に努めましょう。