日本の物流・運送業界は、人手不足が深刻化しており、その解決策として外国人ドライバーの採用が注目されています。
外国人ドライバーを迎えることで、新たな労働力を確保することができる反面、採用する際には、文化や言語の違い、法的な手続きなど、さまざまなポイントや注意点が存在します。
今回は、外国人ドライバーを採用する際の具体的なポイントや注意点について解説します。
ぜひ最後までご覧いただき、外国人ドライバーの採用に関する知識を深めてください。
トラックドライバー不足の現状
先述した通り、トラックドライバー不足は深刻な状況です。ドライバー不足の背景にはさまざまな要因が絡んでいます。
まず第一に、ドライバーの高齢化が進んでいることが挙げられます。多くのドライバーが50代、60代であり、若い世代のドライバーが少ないため、労働力の減少が避けられません。さらに、厳しい労働環境や長時間労働のイメージから、新規参入者が少ないことも問題です。
また、少子高齢化の影響で労働人口全体が減少していることも、ドライバー不足の一因で、物流・運送業界のみならず、他の産業でも人手不足が発生しているため、競争が激化しています。
さらに、2024年問題も大きな影響があります。2024年に施行された働き方改革関連法案によって、労働時間の上限が厳しく規制されている状況です。
業界内で長時間労働が常態化していたため、労働時間の上限規制が適用されたことで、一人当たりの運行可能時間が減少し、結果的に必要なドライバーの数が増加しているという状況が生まれています。
外国人ドライバーの活用が注目されている背景
ドライバー不足解決策の一つとして外国人ドライバーの活用が注目されています。政府は物流革新に向けた政策パッケージの一環として、外国人労働者の受け入れを推進しており、2024年3月29日に閣議決定で自動車運送業が特定技能制度に追加されました。
それにより、特定技能ビザでの外国人ドライバーの受け入れが可能となり、即戦力となる人材の確保が期待されています。そして、企業が外国人ドライバーの採用を積極的に進める動きが見られます。
外国人を採用する際のポイント・注意点
外国人ドライバーを採用する際のポイント・注意点として以下のことが挙げられます。
在留資格
外国人が日本で働くためには、適切な在留資格が必要です。ドライバーの採用においては、主に特定技能ビザになるでしょう。特定技能ビザの取得は、特定の評価試験に合格し、必要な日本語能力を有することが求められます。具体的には、日本語能力試験N4以上の合格が必要です。
運転免許
外国人ドライバーが日本で運転するためには、母国での運転免許を日本の運転免許に切り替える「外免切替」が必要です。外免切替は、取得国に3ヶ月以上滞在した実績が求められます。
雇用契約
雇用形態は基本的に直接雇用で、フルタイム勤務が求められます。給与は日本人と同等以上であることが求められ、外国人が一時帰国する際には有給休暇の取得を許可する必要があります。(業務上の理由で難しい場合を除く)
研修制度
外国人労働者向けの研修プログラムを実施し、日本の交通ルール・マナーや業務手順をしっかりと理解してもらう必要があります。さらに、コミュニケーションのサポートとして、多言語対応のマニュアルや通訳の配置も検討することが望ましいです。
環境整備
外国人ドライバーが働きやすい職場環境を作るために、異文化理解を促進するための研修や、相談窓口の設置が求められます。それにより、外国人労働者が安心して業務に従事することができる環境が整います。
外国人ドライバーの採用を進める際には、以上のポイントや注意点を踏まえておきましょう。
なお、特定技能の受け入れをサポートしている支援機関もありますので、必要に応じて支援を依頼するのが良いでしょう。
外国人採用の流れ
ここでは、外国人を雇うまでの流れをそれぞれのステップごとに解説していきます。
ステップ① 求人募集
外国人労働者向けの求人サイトや人材紹介会社を通じて募集を開始します。募集条件には、給与、勤務条件、仕事内容などを詳細に記載し、応募者に向けて明確に伝えます。
ステップ② 選考
応募者の書類選考を行い、適性があると判断した応募者と対面もしくはオンラインで面接を行います。面接では、スキルや経験、日本での就労意欲などを確認します。面接結果を基に最終候補者を選定します。
ステップ③ 雇用契約の締結
採用決定後、外国人労働者との雇用契約を正式に締結します。契約内容には、給与、勤務時間、業務内容、有給休暇などが含まれます。契約書は、日本語と外国人労働者の母国語の両方で作成し、双方が理解しやすいようにします。
ステップ④ 入社に向けた準備
外国人労働者が入社するための準備を行います。具体的には、特定技能ビザの申請手続き、運転免許の外免切替、社内研修の実施、住居の手配などが含まれます。
ステップ⑤ 研修・オリエンテーションの実施
外国人労働者に対して社内研修を実施し、日本の交通ルールや業務手順などを教えます。オリエンテーションを通じて、会社の方針や業務内容を詳しく説明し、業務開始に向けた準備を整えます。
ステップ⑥ 雇用状況の申請
外国人労働者の雇用状況を適切に申請し、関連する行政手続きを完了させます。それにより、外国人労働者がドライバーとして働くための準備が整います。
特定技能の受け入れの詳細に関しては以下をご覧ください。
外国人ドライバーの活用について
深刻なトラックドライバー不足に対する解決策として、外国人ドライバーの採用が注目されています。政府は物流革新に向けた政策パッケージの一環として、特定技能ビザを利用した外国人労働者の受け入れを推進しているのが現状です。
外国人ドライバーを採用する際には、さまざまな手続きや準備が必要です。さらに、外国人労働者が働きやすい環境を整えるために、異文化理解の促進や相談窓口の設置も重要です。
必要に応じて特定技能の受け入れサポートを依頼できる支援機関を活用するなど、適切な対応を行い、外国人ドライバーを効果的に活用することで、労働力不足の解消につながるでしょう。