本 社 / 静岡県浜松市南区新貝町239-1
設 立 / 昭和54年2月
従業員数 / 39名(正社員19名うち専属ドライバー3名)
事業内容 / 青果仲卸業
車両保有台数 / 19台(うちリース車両6台)
〜一人ひとりの意識が組織を変えていく、
全ての社員がトップになれる会社〜
浜松市内を中心に大手スーパーへ青果仲卸業を行う株式会社マルエイ。昭和54年、市場の開場と同時に創業。静岡の農業協同組合とJA静岡経済連が出資して作った。現在は出資金を全額返済し完全に独立しているが、今でも農協や経済連とのパイプが強く取引業者にも恵まれてきた。オーナー会社ではないため全ての事案に対し常に社員全員で決定をする。100%オープンで、決算書なども開示しているし、社長や専務の役員報酬もみんな知っているとのこと。「小さい会社だからね。ここでは全ての社員が経営者になれるという環境がある、だからこそ正直に物事を進めていくよ。」執行役部長の泉耕司氏にお話を伺った。
青果仲卸業のため本来なら配送は専門家に任せたいところだが、マルエイは社員で配送から全てやってきた。配送兼営業のような立場で個々がお客様と向き合う。依頼を聞いたり、返品対応したり。売り込みもできるから営業マンとしての期待も高まる。自分次第で仕事を取ってこられるし、1日に500万、600万円、多い時は1000万円という予算を稟議無しで使える。市場は数字が一瞬一瞬で変化していく中、毎日それを売り抜いていく。
この仕事の面白みは、自分で買って、自分でどのくらい利益を出したかというのが明確なところかなと泉氏。大企業だと自分の仕事が実際にいくらになるか分からないけど、ここでは売り上げに対して担当者一人がどの位稼いでいるのか明確。やった分だけちゃんと自分に返ってくる。野菜で稼いだ1億は大きな数字。個々の売り上げに換算すると従業員のコスパがいいよね、と泉氏。「高卒で入社5年目になる社員がいるけど、彼は凄くやりがいがあると思うよ。自分が会社にどのくらい貢献しているか、自分の仕事の対価が明確だからね。ここでは全員が個人事業主。仕事の面白さを実感し楽しくなると思う。若いうちに任せてもらえるのは責任感にも繋がるし。ま、穴をあける人間もいるけどね・・。うちの人間、数字に関しては凄くシビア。それがプレッシャーにはなっていると思うし、誰がいくら利益を出し、いくら損したか毎日数字を出している。だけど、それで個人攻撃をするわけじゃないし、損を出した人間がいるのならみんなで補えばいいよね。」
調理師という異色の経歴を持つ泉氏。東京都出身の泉氏は29歳まで歌舞伎町で働いていた。和食の板前を目指し高校を卒業後、大阪・箕面へ。やっと入った料理旅館で見習いとして働きながら調理師免許を取得。そこは老舗料亭でダイアナ元妃が泊まりに来たこともあったそうだ。修行を積み21歳で東京へ戻る。大手町のレストランで働いたのち、歌舞伎町の総合レジャー産業へ転職。最初は調理をやっていたが、その後ホールやビラ配りなど様々な職種を経験する。「結構打たれ強いんだよね。」との言葉。いろいろなタイプの人と仕事をしてきたのが、今に繋がっているのかもしれない。
浜松出身の奥様と出会い、結婚を機にマルエイ入社。この時30歳。初めて経験する仲卸業だが最初から違和感は無かったそうだ。「あまり職種にも拘らないし、稼がなきゃいけないからね。仕事が嫌いじゃないんで厳しくなかったよ。気持ちの持ち方次第だし、どうせやるなら楽しくやった方がいいよね。」と泉氏。直面する物事に柔軟に対応してきた。
レンタル車両、大活躍!
―「リースdeスグのりPLUS」導入の経緯
現在、冷凍車4台を含む19台が稼働している。以前は学校給食や病院へも納品していたが時間が様々で、今の人員では対応できないということで4、5年前に全てやめた。自社所有の小型冷凍車2台はその時の名残とのこと。今はスーパーへの配送のみで、要望に応じて常温車と冷凍車を使い分けて対応している。午前2時半頃から作業し6時頃に出発。2軒程回って帰ってくる。量が少ないところは3軒、4軒回ることもあるそうだ。そして午後も同様に動く。 時期によっての荷物の量は変わる。秋は収穫期を迎え野菜や果物が増えてくる時期。暑さを過ぎ食欲も出てきて、青果物が動き出す頃。土地柄から三ケ日みかんやクラウンメロンなどの特産品も数多くギフトシーズンの出荷も多い。年末にかけて忙しくなるため新車の購入を計画していたが、冷凍車は発注してから納車まで1年半~2年かかることを知る。
今年1月中旬、泉氏がたまたま見かけたトラックランドHPから電話にて問い合わせ。希望の車両をすぐに用意できることが分かり順調に話が進む。2年更新型転貸サービス『リースdeスグのりPLUS+』で「新型日野レンジャー4tアルミウイング」を3月7日に納車。その後4月に「日野新型レンジャー4t冷凍ウィング」を、9月には同型車を更にもう1台納車。計3台を2年契約でご利用いただいている。
泉氏は『リースdeスグのりPLUS+』について、実際にかかる経費を社員に開示できるからいいと話す。自社所有の車両は減価償却が終わると運行費用がどのくらいかかるのか数字が見えづらい。一方で、転貸車両は毎月の経費をすぐ開示できるので、社員一人ひとりが考えるきっかけになったそうだ。このルートには幾らの経費がかかるというのを全部伝え、それを踏まえて商談に向かってもらい利益へと繋ぐ。それぞれの経費がはっきりと見えてくるので、社員の姿勢にも変化があったそうだ。また所有車は車齢が20年を超える車両も多いので1回の修理代が大きい。決まったドライバーが乗る訳ではないので不具合も表に出づらい。『リースdeスグのりPLUS+』では新車に乗れるという点でもドライバーからの嬉しい声が伝わってくる。上層部の反応も良く、「今回のリースは全てにおいてタイミングが良かったのではないかな。」泉氏自身が一番手応えを感じているようだ。
―今後の夢は?
今は全国規模で道の駅などの農産物直売所が増えている。JA等を介さず、生産者と消費者が直接売買するというスタイルだ。浜松は畑が多く気候が良いこともあって、農産物も200品目以上と全国的に見ても商品数が多い。市場には出てこない商品も数多く生産している。浜松市中央卸売市場も全盛期には330億円くらいの青果物の取り扱いがあったが、現在は270〜280億円くらいにまで落ちているそうだ。物流の拠点として市場がなくなることはないが、今は市場離れが進んでいる。
そこで2年前、株式会社和光アグリパートナーを立ち上げた。生産者と同じ立場になって土地を耕し、農産物と向き合う。そして集荷や加工、販売、配達を支援する。ゆくゆくは一般市場に殆ど流通しない商品、マイナーな農産物や珍しい商品を扱えたらと夢が広がる。
「自分が入った時はバブルの終わりの頃で、入社後いきなりボーナス100万円という時代だった。それで子供達3人も大学出して就職して。なので、これからは会社に恩返しをするだけ。」と泉氏。会社は代替わりしていかなきゃいけないし、自分はサポートに回るつもり。働きやすい職場を作り、話をしながらみんなが高め合って行けるように。仲良しだけではダメで他社に打ち勝っていかなきゃいけないだろうし、大変な面もあるけど頑張ろうと。今後も闘争心を持っている奴が出てくるだろうし、自分は組織の中核としてみんなの緩衝材になっていければいいと話す。
社員は月に1回、交代制で全従業員の前で発表する機会があるそうだ。先月の反省点や今月の目標値の資料を作り、みんなに配って話をする。「小さな会社だから特別な研修会がある訳じゃない。だからこそ人前に出て話をする機会が必要になる。そうしないと知らない人のところに行って話せないからね。」との意向だ。10年程前に100人以上の前で話をする機会があった泉氏。地元の障害者施設が行うバザーに商品を出していたマルエイは、上層部の考えでこの施設で話をすることになる。あまり人前で話すことが得意ではなかった泉氏だがこの講話をきっかけに親密になり、現在は施設の家族会のような場所にも呼ばれる仲になったそう。そして、そのご縁で現在は施設の子供たち10人程が毎週末、和光アグリパートナーに草むしりに来てくれる。子供達も課外活動を楽しみにしてくれているそうだ。農福連携事業。地域の取り組みとしての役割も担っている。
ご縁を大切に。泉氏のしなやかな人柄で繋がりが広がっていく。