本 社 / 茨城県神栖市奥野谷5600-10
設 立 / 昭和31年
事業内容 / 一般貨物自動車運送業
車両保有数 / 15台
〜メーカー物流としての自覚と責任を持って〜
『人々の生活を下支えする。その誇りを胸に』
茨城県東南部、鹿島臨海工業地帯が広がる。その一部、神栖市にある大きな倉庫。大型のトレーラー車が頻繁に出入りし、そこで作業をするドライバーの笑顔が印象的だ。
主に、パレットやフレコンバックなどの包装資材、及び樹脂製品原料の輸送を行なっている菱化(りょうか)ロジテック株式会社。 鹿島支店輸送グループは、支店長以下19名(内トラック乗務員は15名)で、計15台の輸送車両を保有している。 鹿島支店の鵜飼圭司支店長と、生産物流グループの宮内昭佳グループリーダーにお話を伺った。
平成21年、それまで全国にあった三菱ケミカル物流グループの支店が統合され、菱化ロジテック株式会社に。国内の物流部門を一手に担うことになる。一つの同じ会社だからこそ、お互いの往復輸送がより効率的になり、人のやりくりもスムーズに。また全国で起こった出来事を瞬時に連絡し、情報の共有化も可能となった。
自社のトラック保有台数は鹿島支店で15台。これは全国規模から見ると少ない。この地域における保有車率が4割。残りの6割はパートナー会社が所有する車両となる。この土地で生きて行くためには地域の物流会社とうまくやっていく工夫が必要である。何でもかんでも自分のところでやればいいというものではないから、パートナー会社とどう付き合っていくのか、この土地で生きていくために、共存するために考えながら仕事をしていく。保有車率を上げるため今回1台の増車をかけたが、この増車はパートナー会社に影響を与えないだろうと判断し購入した。足りないところは補い合いながら、お互い様なんです、と宮内グループリーダー。
夏は冷たいものなど、季節ものを扱っているから大変な面もある。例えば、農家で使う材料を扱っているため準備の時期によって忙しくなる。8月、12月は繁忙期でトラックが足りなくなることもあった。他の支店から借りてくることも。親会社も含めて配車会議をし、全国規模の会社だからこそ対応できることもあるという。
転貸車両、大活躍中!
・日本フルハーフ製2軸ウィングトレーラー
ABS、後輪エアサス、リフトアクスル仕様。
床面は木製、ラッシングレール2段で最大積載20.7t
ウィングトレーター納車の様子。トラックランド近畿販売センターから、トラクタヘッドで運ばれたトレーラーは、すぐに、菱化ロジテック株式会社が所有するトラクタヘッドに連結された。
―ドライバーは固定式
1台の車に1名のドライバー。自分の車に愛着を持って大切に扱うようになるし、ドライバー自身の仕事のやりがいにも繋がっている。洗車ばかりしているドライバーもいるけどね(笑)。でも洗車はいいんだよ、と鵜飼支店長。洗車をする事で隅々まで車の状態を見ることになる。それが毎日の点検に繋がるという。ドライバーそれぞれの意識が高まるそうだ。
自慢じゃないけどね…と続ける。ドライバーの定着率がとても良い。安心して働けるという気持ちと、三菱の看板を背負っているという責任。そしてコンプライアンスもしっかりしているので規則内で勤務し、働いた分はちゃんと給料で評価される。これが大前提になっている。
配車に関しても担当者が工夫をしているそうだ。昨日は中部まで行ったから今日はこの近辺の配送で、など各ドライバーの勤務負担も考慮しながら配車していく。組織としての安定はもちろんのこと、フォロー体制の整った環境も定着率に繋がっているようだ。
―現場社員の気持ちに寄り添う
毎月必ず会合をし、年に1、2回は個別面談。2ヶ月に1回は支店長クラスが集まる場所長会議も行う。
そして新たに、鹿島支店の3部署と2つの営業所に計9個の”自由意見投票箱”を設置予定という。これは社長のアイデア。現場の声が会社を大きくする。本来であれば日常会話の中で交流ができ、お互いの考えが伝わればいいが、何でも言える人が多い訳ではない。こちらは普通に話をしているつもりでも、現場で違う意見を持っている人がいるかもしれない。人間が多くなればなるほど、組織としてまとまっていくために現場の声が重要になる。対面で話すよりも書いた方が交流が取れる場合もある。この”自由意見投票箱”はそのきっかけになれれば・・・。「半年後には状況が良い方向へと変化しているかもしれないです」鵜飼支店長は笑顔でそう話す。
―導入の経緯
当初、トラックランドの存在は知らなかったそう。保有車率を上げるために1台の増車をかけたが、トラクタヘッドは8月に納車されるも、トレーラーの納期が来年3月になることに。半年間ヘッドを遊ばせておくのは勿体無い。何か手段はないかと当たっていく中で、今回トレーラーを購入したフルハーフさんに相談したところ、トラックランドを紹介してもらった。
支店長の頭にトラックをリースするという考えはなかった。トラックのリースを知り、考えるようになったきっかけは、平成21年に統合された支店のうちの1社、菱和(りょうわ)ロジテムの実働部隊であった長浜運輸(現・菱化ロジテック長浜営業所)が、トラック20台をリースで借りていたことを知ったから。トレーラーだけのリースができ、問合わせから約2ヶ月後のトラクタの納車に間に合うとは思ってもみなかったそう。今回は購入したトレーラーが納車される3月までの短期の契約だが、今後も利用させてもらえればありがたい。定常的に仕事がある場合には買った方がいいが、先々どうなるかは分からない。そういう場合にリースは脚光をあびる。現に、うちとしてもいい勉強になった。我々だけではなく、本社でもいいきっかけになったと話している。
―今後の展望
人材不足になってくる中、どう計画的に要員を確保していくのかが重要になってくる。物流全般をどうするかと考えた時に、今まで荷主さんはお金を払い荷物のことは物流会社にお任せするよという感じだった。これから人が少なくなってくると、お客様を含めて物流をどうするのか一緒に考えていかないと成り立たなくなる。将来に向けて前広な人材確保を行っていく必要がある。その分のコストを誰が負担するのか、物流会社が全部負担するのかとなってくると、そこまでの体力はない。お客様を含めて全体で考えていかないと、この業界が成り立っていかない。我々もそこまで踏み込んで、将来どうやっていくのかをお客様と一緒に考えていきたい。
そして、物流の現場で働く人たちのやりがいも含めて、一生懸命やった分だけの対価を払ってあげないと何のためにやっているのかということになってしまう。今、物流で働いている人は全産業から見ても賃金が低い。昔と違い今はドライバーをはじめ現場で働く人の給料はかなり安くなっている。バブル後、競争の世界となり物流は安いところを使えばいいという時代になった。現状、物流の給料はこの20年程、ちょっとづつしか上がっていない。満足するような給料にあげていかないといけない。
そのためには全体が一体となって取り組まないと難しい。給料の底上げ、働きやすい環境作り、依頼主とのチームワーク、そうやって業界自体をあげていかないといけない。
「人がいなかったら物は運べない。高い、安いの問題ではなく、人がいなかったら物流が止まり、生活自体が止まってしまう」次の世代に頑張れる道を作ってあげる為にも、うちのようなメーカー物流が先陣を切って頑張らないといけないね、と鵜飼支店長。インタビュー中も現場社員との会話が頻繁に交わされる。こんなリーダーについていきたい、そう思わせてくれるおおらかな笑顔に魅了された。