本 社 / 神奈川県横浜市戸塚区品濃町545−3
創 業 / 昭和59年3月
事業内容 / カー用品販売、車検・整備・板金
車両販売、保険販売
〜より魅力のある店舗へ〜
『人材の差が企業の差』
日本最大のカー用品総合専門店チェーン「オートバックス」「スーパーオートバックス」及び、車検専門店「テクノキューブ」のフランチャイジー展開を行う株式会社アイエー。いすゞ自動車で働いていた創業者が、1984年3月に神奈川県で起業し、現在は神奈川・東京で24店舗、岐阜で6店舗、子会社の株式会社アイエーオートバックスが宮城と秋田で15店舗、オールアイエーで合計45店舗を展開している。
岐阜県大垣市のオートバックス大垣店で、執行役員の三浦孝之氏にお話を伺った。
―ランドレンタカーを利用した経緯
平成29年6月、スタッドレスタイヤの販売を店舗でお客様を待つのではなく出張販売でやってみようと企画があがった。開催地として選ばれたのは岐阜県の郡上市と本巣市内。アルミウィングだと店舗でタイヤを積んで移動し、そのまま展示ができるし、荷台のウィングを上げ、内側に横断幕をつけ、タイヤを陳列してひな壇のようにして飾ると格好が良い。
そこで、アルミウィングを借りられるところがないかとネット検索し、トラックランドにたどり着く。4トンアルミウィングを10月から11月にかけて1ヶ月間レンタルした。
郡上市では広い土地を借りて、本巣市ではスーパーマーケットやショッピングモールの一角で開催。特に郡上市では両面のウィングを開けるとタイヤの後ろに綺麗な景色が広がってとても良かった。去年は更に2週間プラスでレンタルすることになり、トータル6週間に渡って3ヵ所で出張販売を展開した。
急なレンタル期間の追加にスムーズに対応して貰えた事もあり、今年も4トンのアルミウィングを約5週間レンタル。10月は郡上市八幡町、11月は大垣市垂井地区で出張販売を開催した。出張販売でタイヤを購入されたお客様がそのあと来店したり、垂井地区での出張販売ではタイヤを購入された方が翌週に、お客様をご紹介したいと会場にお連れ頂いたことも。
また、1年目、2年目と同じ場所で開催した郡上市では「去年も来てたよね」と声をかけられたこともあった。出張販売を行ったことで新しいお客様と繫がりが出来て嬉しいと三浦氏。この2年間の出張販売で確かな手応えを感じているようだ。
オートバックス大垣店
店頭は、お客様が欲しいタイヤが一目でわかるよう、代表車種が記載されるなどの工夫がされていた。
―時代の変化と共に、トータルカーライフサポートへ
昔はカー用品の販売だけでよかった。エンジンオイルを交換し、タイヤを買ってもらい、時々ナビゲーションを装着して売り上げがあったが、今はオイル交換のサイクルが伸び、タイヤもなかなか減らない。製品の品質が上がっていくと壊れなかったり長持ちしたりアフターマーケットが厳しくなってきた。
もう一つは若い人たちの車離れ。自分で所有しなくなってきているし、車が大好きという子も少なくなっているように思う。変化を実感するようになったのはここ15年くらいだそう。もともとディーラーのメカニックだった三浦氏。アイエー入社前はホンダの工場長をしていた。アイエーに学生時代の知り合いがいて、久しぶりの会話からスーパーオートバックスの新店舗に、自動車検査員の資格を持つ人が必要ということで転職したのは平成12年頃のこと。
オートバックスの自動車整備は、国産車だけではなく外車も扱うので車の仕様や部品のことを自然と覚えるし、メカニックとして技術を上げていきたい人にはいろんな経験ができると思う。
「車のカスタムはオートバックスで」というように、以前はお客様の望むものを形にするのが主流だった。カー用品販売だけでは難しくなってきている中で、まずやり始めたのが車検。その後、板金修理も始め、いよいよ車も売ろうかと。そして車を販売するなら保険もやりましょうと。任意保険を本格的に始めたのが3年くらい前。店長クラスの3名を一昨年9月から1年間、保険会社に出向させてもらい自動車保険のことを勉強してきた。その後、1人は任意保険を店で展開しながら店長業務を、1人は車販売の中心になりながら任意保険をやっている。もう1人(写真下 松久氏)は保険の専門として店舗をまわり、スタッフをサポートしている。
1年間保険会社に出向し、任意保険のプロフェッショナルとして、各店舗のスタッフサポートに努める。お客様に最適なご提案をすることを心がけている。
株式会社アイエー
岐阜支店 課長 松久 信氏
1年間保険会社に出向し、任意保険のプロフェッショナルとして、各店舗のスタッフサポートに努める。お客様に最適なご提案をすることを心がけている。
レンタル車両、大活躍!
新型日野レンジャーアルミウィング
PCS(プリクラッシュセーフティシステム歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ)が標準搭載された最新モデル。
―人間の質、技術の質
600名ほどのアイエースタッフのうち半分がメカニック。そのうちの8割が国家整備士資格を取得している。メカニックが売りにできるのは国が認めた資格を持っているということ。資格取得率8割はオートバックスの中でアイエースタッフが断トツとのこと。
本部のオートバックスセブンが西日本でやったコンテスト「ピットサービススタンダード」は、メカニックがマニュアル通りに作業、終わったらお客様をお呼びし、挨拶をして作業の内容を説明する。それをより高いレベルでできるようにするというもの。東海地区で我々のメカニックの1人が予選を勝ち、西日本全体の本選で優勝、2月の経営者会議で表彰してもらった。今年も東海地区大会に勝ち全国大会へ西日本代表で行くことが決まっている。
「レジリンピック」というレジ係のコンテストもある。オートバックスのレジは大変だと言われていて、お金のやり取りや商品の受け渡しだけではなく、オイル交換の受付から作業工程の説明などもレジ係が担当するため、車に対する知識が必要になってくる。全ての業務において人間の質、技術の質が大切である。
全員が同じような品質であってほしい、誰がやっても同じだねと言ってもらえるのが我々の一番の褒め言葉。創業者も社長も常々言っているのは教育。オフィスには事業部の業務方針を掲げ、教育部が定期的に接客の勉強会をやっている。本人たちはどう思っているかわからないし、面倒くさいなと思うこともあるかもしれないけどね、と笑顔の三浦氏。
繰り返しやれば癖になるし、それがスタンダードになればいいと思っている。我々の標準はここですよと。スタッフの中には「僕らが一番の商品なんだから」という意識で頑張る子もいる。つけようと思えば順番もつけられるし1位がいればビリもいるんだけど、その差が縮まり全体が高い目標に向かってやっていければいい。今は褒めて伸ばす時代。甘やかして育てるとは違う、怒ると叱るも違うしね。今現在の店長やピット長は怒られながら育った時代だからマネージャークラスは大変だと思うけど、と三浦氏。
―今後の展望
僕ももう53歳。あと数年で役職定年になるから、おそらく第一線からは一歩引いた立場になってくると思うんだけど、と続ける。元々はメカニックで自動車整備士としてやってきているからスーツではなくツナギでいたいというのが本音。もし可能であれば、現場で働いている子達に技術を教えていきたい。本当に車が好きで仕事をしている子は少ないかもしれないけど、自動車整備をやった時の達成感とか、一つ面白いなと思うものがあれば好きになってくれると思う。自分は車が好きで、オートバイが好きでこの仕事に就いたので、それを伝えてあげたいなと。ディーラーも経験しているので、より幅広く伝えられることがあるかもしれない。
今後、車がどう変わって行くかわからないけど新しい技術に対応できるようなオートバックスのメカニックになって欲しいと思っている。
僕は子供がいないんですけど、と三浦氏。最近は高卒入社の子が多いんだけど、彼らも入社して5年くらい経つと大きく変わってきて、安心してお客様の前にだせるようになる。そんな成長過程にある子たちを手伝ってあげたい。本人たちは、このオートバックスが家から近いからと入社したのだろうけど、同じオートバックスでも実は運営する会社が違う。たまたまアイエーを選んでもらって、教育体制の整っている会社で、社会人になってからも勉強ができるというのは後で良かったなと思ってもらえるのではないかな。優しい父親のような表情で話す。そして、自動車が好きで仕事に就いた20代の頃と何も変わらない顔がそこにあった。