ディーゼルエンジンを搭載するトラックには、排気ガスに含まれる有害物質を低減するための「DPF」という装置が搭載されています。そのDPFを正常に機能させるうえで欠かせないのが「再生」という工程です。
今回の記事では「DPF手動再生」に焦点を当て、仕組みややり方、注意点などを解説し、できない・時間がかかる場合の原因にも触れていきます。
トラックのDPF手動再生とは?
トラックのDPF手動再生について理解するためには、まず「DPF」という装置と、「再生」という仕組みについて知っておく必要があります。ここでは、それぞれの基本的な内容を解説します。
DPFとは?
DPFとは「Diesel Particulate Filter(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)」の略で、日本語では「ディーゼル微粒子捕集フィルター」と呼ばれる装置です。ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるPM(粒子状物質)を捕集し、大気中への排出を抑える役割を担っています。
ディーゼルエンジンは、その構造上、燃焼時にすすなどの微粒子が発生します。それらをそのまま排出すると大気汚染の原因となるため、DPFがフィルターの役割を果たし、排気ガスをクリーンにしてから排出しているのです。環境規制が年々厳しくなるなか、DPFはディーゼル車にとって欠かせない重要な装置となっています。
しかし、DPFは排気ガス中のPMを捕集し続けるため、使用を重ねるうちにフィルターに溜まっていきます。そのPMを燃焼させて除去し、フィルターの機能を回復させる工程が「再生」です。
手動再生とは?
DPF再生には、大きく分けて「自動再生」「手動再生」「強制再生」があります。
自動再生
トラックの走行中に、排気温度を利用してフィルターに溜まったPMを自動的に燃焼・除去する仕組みです。一定の速度で走行を続けている状態では、排気温度が十分に上がるため、ドライバーが特別な操作をしなくても自動的に再生が行われます。
手動再生
ドライバーが自ら操作を行って再生を実施する方法です。市街地での低速走行や短距離走行、アイドリングの多い運行などが続くと、排気温度が十分に上がらず、自動再生がうまく行われないことがあります。そうした状況でPMが一定量を超えて溜まると、メーターパネルにDPF再生を促す警告灯が点灯します。
その警告灯が点灯した際に、意図的に排気温度を上げてPMを燃焼させるのが手動再生です。手動再生を適切に行うことで、DPFの目詰まりを防ぎ、フィルターの機能を正常に保つことができます。
強制再生
手動再生でも対応しきれないほどPMが溜まってしまった場合に、整備工場などで専用の診断機を用いて行う再生です。手動再生を怠って警告灯を放置したり、手動再生を行ってもPMを除去しきれなかったりすると、通常の操作では再生ができない状態に陥ります。
そうした場合には、専門業者による強制再生が必要となり、状況によってはDPFの清掃や交換が求められることもあります。
トラックのDPF手動再生のやり方

DPFの手動再生は、車種やメーカーによって細かな操作方法が異なりますが、基本的な流れは共通しています。
ここでは、一般的な手動再生の手順を紹介します。
①安全な場所に車両を停車させる
手動再生中はエンジンを高回転状態に保ち、排気温度が高くなるため、周囲に燃えやすいものがない、安全で平坦な場所に車両を停車させます。
②パーキングブレーキをかけ、ギアをニュートラルにする
車両が動かないよう、パーキングブレーキを確実にかけ、シフトをニュートラル(またはパーキング)の状態にします。
③DPF再生スイッチを操作する
車内に設置されているDPF手動再生用のスイッチを操作し、再生を開始します。再生が始まると、エンジンが自動的に高回転状態となり、排気温度を上げてPMの燃焼が行われます。
④再生完了まで待つ
手動再生には、一般的に15〜30分程度の時間がかかります。再生中はその場で待機し、完了を知らせる表示や警告灯の消灯を確認します。再生が完了すると、エンジン回転数が通常の状態に戻ります。
注意点
手動再生を行う際には、いくつかの注意点があります。
安全に作業を行うためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
排気ガス・排気熱に注意する
手動再生中は排気温度が非常に高くなり、排気ガスの温度も上昇します。排気口の周囲に人や可燃物がないかを必ず確認し、屋内や換気の悪い場所では実施しないようにしましょう。
再生をむやみに中断しない
手動再生は、一度開始したら最後まで完了させることが重要です。途中でエンジンを切ったり、走行を始めたりすると、PMが十分に燃焼されず、再生が正常に完了しません。時間に余裕のあるタイミングで実施しましょう。
警告灯を放置しない
DPF再生を促す警告灯が点灯したにもかかわらず、手動再生を行わずに放置すると、PMがさらに溜まり、手動再生では対応できない状態に陥ってしまいます。
そうなると余計な費用や手間がかかるため、警告灯が点灯したら早めに対応することが大切です。
DPF手動再生ができない・時間がかかる原因は?

手動再生を行おうとしても再生が開始されない、あるいは通常よりも長い時間がかかるといったケースがあります。
そうした場合に考えられる主な原因として以下が挙げられます。
再生の開始条件を満たしていない
パーキングブレーキがかかっていない、シフトが指定位置に入っていない、PTOが作動しているなど、車両が定める開始条件を満たしていない場合は、手動再生が始まらないことがあります。
手動再生を開始できない場合は、取扱説明書を確認し、シフト位置やパーキングブレーキ、PTO、エンジンの状態などを確認しましょう。
堆積量が限界を超えている
DPF内に堆積したPMの量が、手動再生で対応できる限界を超えてしまっていることも考えられます。
前述のとおり、DPF再生を促す警告灯が点灯した後も対応せずに走行を続けると、PMはどんどん溜まっていきます。警告灯が点灯した段階で早めに手動再生を行うことが、そうした事態を防ぐポイントです。
各種センサー・部品の故障や不具合
DPFの再生は、排気温度センサーや差圧センサーなど、各種センサーからの情報をもとに制御されています。それらのセンサーが故障・不具合を起こしていると、PMの堆積量を正しく検知できず、再生が正常に行われないことがあります。
また、関連部品に不具合がある場合にも、再生に影響が及ぶことがあります。そうした部品の不具合は、基本的に専門業者による対応が必要です。
トラックのDPF手動再生について
DPFの手動再生は、フィルターに溜まったPMを除去し、DPFの機能を正常に保つためのメンテナンスです。警告灯が点灯したら早めに対応し、正しい手順で実施することが大切です。手動再生ができない・時間がかかる場合には、過剰な堆積やセンサーの不具合など、さまざまな原因が考えられます。
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この記事を監修した人
トラックランド管理人:高良
神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。
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