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クラッチが焼ける原因は?症状・対処法などを解説

まなびのコラム

クラッチが焼ける原因は?症状・対処法などを解説

マニュアル車に欠かせないクラッチは、エンジンの力をタイヤに伝える重要な部品で、不具合が生じると安全性に大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、運転中に不具合や異変を感じた場合には早急な対応が求められます。

今回は、クラッチの不具合の一つである「焼き付き」に焦点を当て、焼ける主な原因をはじめ、焼けている場合の対処法、修理・交換費用について解説します。

クラッチの不具合でお困りの方や、焼ける原因を知りたい方はぜひ参考にしてください。

クラッチの焼き付きとは?

クラッチディスクやプレッシャープレートなどの部品が高温になり、摩耗や変形を起こした状態を指します。クラッチはエンジンとトランスミッションの動力をつなぐ重要な役割を担っていますが、その摩擦熱が蓄積されると、部品表面が焦げたり滑ったりして、正常に動力を伝えられなくなります。

焼き付きが進行すると、車両に様々な不具合が発生し、放置すると周辺部品も含めた交換が必要になることもあり、修理費用が高額になるため、早めの対応が重要です。

主な症状

クラッチが焼き付いた場合、焦げたような異臭が発生します。それは摩擦材が高温で焦げている状態です。また、発進時にエンジン回転数が上がるのに車が進まない「クラッチ滑り」や、ペダルが重く感じる・戻りが悪いといった感触の異常が現れることもあります。

さらに進行すると、ギアの入りが悪くなる、走行中に振動が発生するなどの症状も見られます。それらはクラッチ板やカバーの摩耗・変形が原因で、焼き付きの典型的なサインといえるでしょう。

クラッチが焼ける原因

クラッチが焼ける原因

クラッチが焼ける主な原因として「半クラッチの多用」「クラッチの不具合」が挙げられます。

半クラッチの多用

クラッチが焼ける主な原因は、半クラッチの多用です。クラッチペダルを完全に離さずに摩擦状態を保ったまま走行する半クラッチを発進時や坂道での停車時に多用すると、クラッチディスクとフライホイールの間で強い摩擦熱が発生し、クラッチ板の摩耗や焦げ付きにつながります。

特に、渋滞時や低速走行で頻繁に半クラッチを使用する運転は、長時間にわたり摩擦が続くため、焼け付きの原因になりやすいです。また、発進時にエンジン回転数を過度に上げた状態でクラッチをつなぐ操作も、摩擦熱を急激に増やすため注意が必要です。

半クラッチは必要な場面では有効ですが、長時間続けるのではなく、できるだけ早めにクラッチをつなぐ意識をすることで、焼き付きや部品の早期摩耗を防ぐことができます。

クラッチの不具合

運転操作だけでなく部品の不具合が原因になることもあります。クラッチディスクやプレッシャープレートが経年劣化で摩耗・変形していると、動力の伝達が不均一になり、余計な摩擦熱が発生します。また、クラッチカバーのばね(ダイヤフラムスプリング)が弱っている場合、クラッチが完全に切れずに半クラッチ状態が続いてしまい、焼き付きの原因となることもあります。

さらに、クラッチペダルやワイヤー、油圧システムなどの調整不良によっても、クラッチが適切に作動しないことがあります。例えば、ペダルの遊びが少なすぎると常にクラッチがわずかに接触した状態となり、走行中にじわじわと摩耗と熱が蓄積されていきます。

そのような不具合を放置すると、周辺部品にも損傷が及ぶため、異臭や滑りを感じた段階で早めに点検・修理を行うことが大切です。

クラッチが焼けた場合の対処法

クラッチが焼けた場合の対処法

クラッチが焼けた場合、まずは無理に走行を続けないことが大切です。焼けた状態で運転を続けると、摩擦熱によってクラッチディスクやフライホイールが損傷し、修理費用が高額になる可能性があります。

焦げたような臭いを感じた場合は、安全な場所に停車してエンジンを停止し、温度が下がるのを待ちましょう。軽度の焼けであれば、十分に冷ますことで一時的に症状が落ち着くこともあります。ただし、根本的な解決にはならず、再発する恐れもあります。

発進時や坂道での半クラッチを控え、クラッチペダルをしっかり切り離すなど、運転操作を見直すことも有効な対策です。もしクラッチの滑りや異音、ペダルの重さなどが続く場合は、クラッチディスクやプレッシャープレートの交換が必要になる可能性があるため、早めに専門業者による点検を受けましょう。

修理・交換費用

クラッチが焼けてしまった場合、修理・交換にかかる費用は車種や作業内容によって異なりますが、一般的には10万円〜30万円程度が目安です。軽度な焼け付きであればクラッチディスクの交換のみで済むケースもありますが、フライホイールやクラッチカバー、ベアリングなど周辺部品まで損傷している場合は、同時交換が必要となり費用が高くなります。

また、クラッチはエンジンとトランスミッションの間に位置しており、交換には大掛かりな分解作業が伴います。そのため、部品代だけでなく工賃も高くなりがちです。トラックなどの大型車では構造が複雑なため、30万円程度かかるケースも珍しくありません。

修理をせずに放置すると被害が拡大し、余計な出費につながる可能性があるため、焼け付きの兆候を感じたら早めに対処することをおすすめします。

クラッチの寿命は?

クラッチの寿命は?

トラックのクラッチは、一般的に使用年数で5〜8年、走行距離で約10万kmが寿命の目安とされています。しかし、積載量が多い運行や坂道・渋滞の多い地域を頻繁に走る車両では、クラッチの負担が大きく寿命が短くなる傾向にあります。逆に、適切な操作とメンテナンスを心がけることで一般的な寿命以上に使用できるケースもあります。

クラッチの焼き付きに要注意

クラッチの焼き付きは、半クラッチの多用や部品の摩耗・不具合など、運転操作と機械的要因の両面から起こるトラブルです。焦げたような臭いや滑りを感じた場合は早めに点検を依頼し、必要に応じて修理・交換を検討しましょう。放置すると修理費用が高額になるほか、走行中の安全性にも影響します。

なお、トラックの整備やメンテナンスの依頼、買い替え、中古車の導入の際は、ぜひトラックランドへご相談ください。全国対応で中古トラック・商用車の販売・買取・リース(サブスク)・メンテナンスなど幅広いサービスを提供しています。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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