夜間走行時や悪天候時に、車両の存在を周囲に知らせる役割を果たすのが「車幅灯(マーカーランプ)」です。大型トラック・トレーラーの安全面を支える欠かせない装備のひとつといえます。
しかし、「車幅灯がつかない」といったトラブルは意外と多く、放置すると整備不良での違反や事故につながる恐れもあります。
今回の記事では、トラックの車幅灯の役割や種類の紹介をはじめ、設置義務の詳細、点灯条件、さらに点灯しない場合に考えられる主な原因などを解説します。
トラックの車幅灯について知りたい方や、つかない状況でお困りの方はぜひご覧ください。
トラックの車幅灯とは?
車幅灯(しゃはくとう)とは、夜間や視界が悪い状況で車両の「幅」や「存在位置」を周囲に知らせるための灯火のことです。「マーカーランプ」とも呼ばれ、大型トラック・トレーラーなどの長く幅の広い車両において、安全を確保するために欠かせない装備です。
車幅灯は車体の両側面や前後に取り付けられ、走行中だけでなく停車時にも点灯することで、他の車両や歩行者に車両の大きさ・位置を知らせることができます。それにより、夜間のすれ違いや追い越し、駐車時の接触事故を防ぐことができるのです。
種類
主に「ハロゲンタイプ」と「LEDタイプ」の2種類があります。従来はハロゲンタイプが一般的でしたが、電力消費が多く、バルブの寿命も比較的短いという欠点があります。
近年主流となっているのはLEDタイプです。LEDは消費電力が少なく、発光効率が高いため長寿命でメンテナンスの手間がかかりません。また、明るく視認性に優れており、昼夜問わず車両の存在をしっかりと示すことができます。
設置義務について
道路運送車両の保安基準では、一定のサイズを超える車両に対して車幅灯(側方灯)の設置が義務付けられています。具体的には、全長6メートル以上の自動車が対象となります。
ただ、特例として牽引自動車および被牽引自動車(トレーラー)については、全長6メートル未満であっても設置義務が課されています。それは、牽引時の車両全体の長さや視認性を確保するための安全上の措置です。
車幅灯は、夜間に側方150メートルの距離から視認できる明るさで、灯光の色は橙色(後部のみ赤色可)であることが定められています。また、方向指示器と兼用する場合は、点滅時に連動して消灯する構造でなければなりません。
設置基準
高さ
照明部の上縁が地上2.1メートル以下、下縁が地上0.25メートル以上
前方灯
車両前端から車体長の3分の1以内
後方灯
車両後端から1メートル以内
このように、設置位置や点灯条件は車両の安全確保と他車への視認性向上を目的として厳格に定められています。
点灯忘れや不具合がある状態での運転は、事故の発生や罰則の対象となる可能性があるため、日常点検で車幅灯の点灯状態を必ず確認し、不具合があれば早期に対応することが重要です。
参考:道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規則の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示
車幅灯がつかない場合に考えられる原因

トラックの車幅灯がつかないというトラブルは意外と多いです。点灯しない場合に考えられる原因としては、以下のようなことが挙げられます。
ヒューズ切れ
最も多いのがヒューズの断線です。電気系統を保護するヒューズが切れると、回路全体に電気が流れなくなり、車幅灯が点灯しなくなります。ヒューズボックスを確認し、切れている場合には交換する必要があります。
電球・LEDユニットの故障
ハロゲンバルブの場合はフィラメントの断線、LEDタイプでは基板の破損や防水不良などが原因で点灯しなくなることがあります。その場合ユニットごと交換が必要になるケースもあるでしょう。
配線・カプラーの接触不良
長期間の使用による振動・湿気・サビなどで、配線やカプラーの接触が悪くなるケースもあります。接点が腐食していると電気が届かず、点灯したり消えたりを繰り返すこともあります。カプラー部分の清掃や接点復活剤の使用で改善する場合もあります。
スイッチ・リレーの不良
スイッチの接点焼けやリレーの故障も点灯不良の原因の一つです。特にリレーが劣化していると、スイッチを入れても電気が通らず点灯しないことがあります。
アース(接地)の不良
車幅灯の電気回路はアースによって車体に電流を逃がしています。接地部分がサビていたり緩んでいたりすると、回路が正常に働かず点灯しなくなることがあります。取り付け部を清掃し、しっかりと締め直すことで改善できる場合もあります。
その他
古い車両では、配線の劣化や断線、電圧降下が原因の場合もあります。また、カスタム車両では後付け配線の不備がトラブルを招くこともあります。原因を特定できない場合は、専門業者による点検を受けたほうが良いでしょう。
車幅灯を交換する際の注意点

車幅灯を交換する際には、保安基準に適合した製品を使用することが大前提です。特にトラックのカスタムやドレスアップ目的で交換する場合、色や明るさ、点灯方法などを誤ると「整備不良」や「違法改造」とみなされることがあるため注意が必要です。
先述した通り、発光色は橙色(オレンジ)が基本であり、前方や側方に赤色や青色などの光を発するランプを取り付けることは道路運送車両の保安基準で禁止されています。また、光度が強すぎて他車の視界を妨げるものは違反となる可能性があります。
また、点灯・点滅の方式は純正仕様に準じる必要があり、方向指示器などと誤認される恐れがあるものは保安基準不適合となる場合があるでしょう。
装飾目的でのカスタムを行う場合は、車検対応製品を選ぶこと、および取り付け位置・配線方法を正しく守ることが重要です。安全性と法令遵守の両立を意識しながら交換・カスタムを行いましょう。
トラックの車幅灯について
トラックの車幅灯は、夜間や悪天候時の安全走行を支える重要な装備です。車両の幅をわかりやすくすることで、周囲の車や歩行者に自車の存在を知らせ、接触事故を防ぐことができます。設置義務や取付位置、点灯条件は道路運送車両の保安基準で定められており、正しい知識と設置が欠かせません。
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この記事を監修した人
トラックランド管理人:高良
神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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