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クレーン運転時の合図って?手・1本旗・言葉・笛サインの詳細を解説

まなびのコラム

クレーン運転時の合図って?手・1本旗・言葉・笛サインの詳細を解説

クレーン運転時には、合図・サインによる正確な意思疎通が欠かせません。作業現場では、運転士と作業員が連携するため「手信号」「1本旗」「声・言葉」「笛」など、状況に応じた様々な方法が用いられています。

合図の理解が不十分なまま作業を行うと、荷の落下や接触事故など大きなリスクを伴う可能性があるため、正しい合図の意味や使い方を事前に把握しておくことが重要です。今回の記事では、クレーン作業で使われる主な合図・言葉の種類と、それぞれの具体的な内容・使い方について解説します。

クレーン運転時の合図とは?

クレーンは重量物を扱うため、運転士と荷を扱う作業員の間でタイミングや操作に食い違いがあると、重大な事故につながる可能性があります。そのため、視覚や聴覚を使った「手信号」「声・言葉」「1本旗」「笛」などの明確な合図を用いて、動作開始・停止・方向などを正確に伝えることが必要です。

合図はクレーン等安全規則でも明文化されています。作業前の合図の確認や事前打ち合わせを徹底することで、ミスやヒヤリ・ハットを防ぎ、現場全体の安全性を高めることができます。

参考:クレーン等安全規則

クレーン作業で用いられる合図・サイン

クレーン作業で用いられる合図・サイン

クレーン運転時に用いられる合図・サインには、「手による合図」「旗による合図」などがあり、状況に応じて使い分けられ、必要に応じて補助的に「笛」が併用されることもあります。

また、高層建築現場や見通しの悪い環境下では、無線機を用いた「声・言葉による合図」が用いられることもあります。

ここでは、「手信号」「1本旗」「声・言葉」「笛」に分けて、それぞれの主な合図やその意味などを解説していきます。

手信号

手による合図は、クレーン作業において最も一般的かつ視認性の高い伝達手段です。合図者がはっきりとした動作でオペレーターに指示を出すことで、騒音がある場所や遠距離でも確実な意思疎通が可能になります。

各合図はあらかじめ定められた動きで構成されており、誤解のないようにするためにも明確な動作が求められます。また、合図者の位置や視認性も重要で、常に運転者から見やすい位置で合図を出す配慮が必要です。

代表的な手による合図
呼出し:片手を高く上げて合図を始める準備を示します。

巻上げ・巻下げ:片手で輪を描いたり、手のひらを上下に振る動作で荷の上下動作を指示します。

ジブの起伏・伸縮:親指を上(または下)に向けて突き上げたり下げたりして、ブームの動きを指示します。

水平移動:手のひらを進行方向に向けて数回動かし、横行・走行・旋回などを示します。

停止・急停止:手のひらを高く上げることで通常停止、両手を激しく振ることで急停止を指示します。

微動:小指や人差し指で繊細な動作を指示する「チョイ操作」。

作業完了:挙手の礼、または両手を頭の上で交差します。

1本旗

1本旗による合図は、より視認性が高く、特に広い範囲での作業において有効な視覚的伝達手段です。合図者が持つ手旗の動きでクレーンオペレーターに的確な操作指示を出す方法で、手では伝えにくい距離や環境下での合図に適しています。

基本的な所作は手による合図と同様ですが、手旗の動きが明確に見えることで、指示の誤認を防ぐ効果があります。

代表的な1本旗による合図
呼出し:手旗をまっすぐ高く掲げ、作業開始の合図を出します。

巻上げ・巻下げ:巻上げは旗を上にあげて輪を描き、巻下げは水平にして左右に振ります。

ジブの操作:ジブ上げは頭に旗を乗せたあと上方に突き上げ、下げは下方に突き下げる動作をします。

水平移動(走行・横行・旋回):移動方向に旗を掲げ、その方向へ振ることで指示。

停止・急停止:停止は斜め上方に旗を掲げ、急停止は旗を大きく左右に激しく振ります。

作業完了:挙手の礼で作業の終了を示します。

声・言葉

声・言葉による合図は、クレーン作業において視界が確保しにくい現場や、高所・建物内といった手や旗による合図が困難な状況でよく用いられる伝達手段です。合図者が無線や直接の呼びかけで、クレーンオペレーターに明確な指示を出すことで、作業の安全性と効率を確保します。

基本的には「操作部位 → 程度 → 動作」の順に発声するのが原則とされており、簡潔かつ明瞭な発声が求められます。

例えば、「主巻、ゆっくり、巻け!(ゴーヘイ)」は主フックを静かに巻き上げることを意味し、「左、あと2メートル、旋回!」は左方向に2m移動するよう指示するものです。このように、具体的かつ段階的な表現で指示を伝えることで、誤操作やトラブルのリスクを抑えます。

使用される主な言葉
動作に関する言葉:「巻け(ゴーヘイ)」「下げ(スラー)」「起こせ」「倒せ」「伸ばせ」「縮めろ」「右」「左」「止まれ(ストップ)」など

程度に関する言葉:「ゆっくり」「チョイ(少し)」「あと○○メートル」など

操作部位に関する言葉:「主巻」「補巻」「主ジブ(ブーム)」「補ジブ(ジブ)」など

また、走行方向の指示では「前進(前)」「後進(後)」「東・西・南・北」「海側・山側」といった言葉が使われ、作業場所に応じた柔軟な対応が可能です。声による合図は即時性に優れる一方で、聞き間違いによる事故リスクも伴います。

そのため、言葉の復唱や確認の徹底が不可欠であり、チーム全体の共通理解が重要となります。

視認性が確保しづらい状況では、笛の音によって運転者に明確な指示を伝えることができ、安全性の確保に役立ちます。

ただし、笛はあくまで補助的な手段であり、笛のみでの合図は危険です。笛の音だけでは操作の対象や具体的な内容が不明確になりやすく、誤作動や災害の原因となるおそれがあるため、笛のみでの指示は行ってはなりません。

代表的な笛による合図
呼出し:ピ~ッ(長く1回)作業開始時やオペレーターに注意を促す際の基本合図です。

巻上げ:ピッピッ ピッピッ(2回繰り返し)荷を巻き上げる動作が継続中であることを示します。

巻下げ:ピッピッピッ ピッピッピッ(3回繰り返し)荷を巻き下げる操作を行っている最中の合図です。

停止:ピッ(短く1回)すべての動作をその場で止める合図。緊急停止にも使用されます。

クレーンの運転におけるその他注意点

クレーンの運転におけるその他注意点

クレーンの運転では、合図の正確な把握だけでなく、現場全体の安全意識が求められます。まず、作業開始前には必ず機体やワイヤー、フックなどの点検を行い、異常がないことを確認するのが基本です。また、作業中は周囲の作業員や障害物に常に注意を払い、人や建物との接触を避けなければなりません。

風速や天候によってクレーンの安定性が損なわれる場合もあるため、悪天候時は作業を中止する判断も重要です。さらに、荷の吊り上げ時は急な操作を避け、荷が振れないように慎重な操作が求められます。特に視界の悪い場所や夜間作業では、照明や補助要員の配置を行い、安全管理を徹底しましょう。常に「人命最優先」の意識を持って運転することが、事故を未然に防ぐ鍵となります。

クレーン運転時の合図について

クレーン運転時に使用される合図には、「手信号」「1本旗」「声・言葉」「笛」など複数の方法があり、現場の状況に応じて適切に使い分けることが重要です。合図の意味を正しく理解し、日頃から習熟しておくことが、クレーン作業の安全と効率を高める第一歩です。

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この記事を監修した人

この記事を監修した人 トラックランド管理人:高良

神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
これまでに監修した記事は200件以上!中古トラックに関する豊富な知識と経験を活かし、中古トラック業界の最新情報やお役立ち情報を発信しています。

実際のトラック販売やメンテナンスにも精通しており、読者にとって有益な情報をわかりやすく提供することを心がけています。

趣味は野球観戦で、休日には球場でリフレッシュするのが楽しみの一つ。

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