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排気ブレーキが効かない原因は?修理費用の目安も解説

はたらくクルマコラム

排気ブレーキが効かない原因は?修理費用の目安も解説

トラックやバスなどの大型車両に搭載されている排気ブレーキ(エキゾーストブレーキ)は、長年の使用や整備不良により、効かなくなることがあります。

排気ブレーキが効かない状態では、下り坂や積載時の制動力が不足し、ブレーキの負担が増大してフェード現象(ブレーキの利きが悪くなる現象)を引き起こすリスクがあります。安全な走行のためにも、異常に気付いた際は早急に原因を特定し、適切な対処を行うことが大切です。

今回の記事では、排気ブレーキの基本的な仕組みや、効かない場合に考えられる原因、修理費用の目安を紹介します。

トラックの排気ブレーキの仕組み

補助制動装置の一つである排気ブレーキは、トラックの排気管に取り付けられた排気弁(バルブ)を制御することによって機能します。運転手が排気ブレーキを作動させると、まず排気弁が閉じられ、エンジン内部の排気ガスの流れが一時的に遮断されます。すると、排気ガスがエンジン内部に留まり、ガス圧が上昇してピストンの動きを抑制し、エンジンの回転数が低下します。その過程でエンジン自体に負荷がかかり、その抵抗が制動力として作用することで、車両の減速を補助します。

排気ブレーキは、長い下り坂や重積載時に効果的で、走行中にメインブレーキだけを使用すると、ブレーキパッドが過熱し、摩擦力が低下して制動力が弱まるフェード現象を引き起こす恐れがありますが、排気ブレーキを併用することでエンジンの回転抵抗を利用した減速が可能になり、ブレーキシステム全体の負担を軽減できます。

排気ブレーキが効かない原因は?

排気ブレーキが効かない原因は?

トラックの排気ブレーキが効かない場合に考えられる原因は、エンジンの内部機構や周辺装置の不具合、電気系統のトラブルなどが考えられます。ここでは、主な原因を解説します。

排気弁(バルブ)の不具合

排気ブレーキにおいて重要な役割を果たす排気弁(バルブ)の不具合は、排気ブレーキが効かない場合に考えられる原因の一つです。排気弁が、エンジン内部の圧力を調整し、排気ガスの流れを一時的に遮断することで、エンジンの回転抵抗を高めて減速効果を生み出しますが、長期間の使用や過酷な運転環境によって弁の摩耗が進行すると、その機能が低下してしまいます。

エンジン内部で発生するカーボンやススの蓄積によって弁の動作が妨げられ、開閉動作がスムーズに行えなくなることがあります。また、弁が固着した場合には、完全に閉じることができず、適切な圧力を維持できなくなるため、本来の減速効果が発揮されません。加えて、弁のシール部分の劣化や亀裂が生じると、排気漏れが発生し、ブレーキ性能は低下します。

排気管の詰まりや破損

排気管の詰まりや損傷も、排気ブレーキが効かない場合に考えられる原因のひとつです。エンジン内部で燃焼した後に発生するカーボンやススが排気管に蓄積すると、排気ガスの流れが阻害され、圧力をうまく発生させられなくなります。

長期間の使用や定期的なメンテナンスを怠ると、その蓄積が進行し、ブレーキ性能が低下するリスクが高まります。また、排気管自体が損傷している場合も深刻な問題となります。亀裂や穴が開いていると、ガスが適切に排出されず、エンジン内部に十分な圧力をかけることができなくなり、減速効果は低下します。

電気系統の不具合

排気ブレーキは、電気信号によって作動するシステムであるため、スイッチやセンサーの故障、配線の断線、リレーの不良など、電気系統に問題が発生すると作動しなくなることがあります。

スイッチの接触不良や、配線の劣化による断線は見逃されやすいトラブルです。電子制御式の排気ブレーキを搭載した車両では、ECU(エンジンコントロールユニット)の故障も原因となる可能性があります。

排気ブレーキ効かない場合の修理方法・費用

排気ブレーキ効かない場合の修理方法・費用

排気ブレーキが効かない場合には、原因を特定するために専門業者に点検を依頼するのが必須です。修理方法は、問題の箇所によって異なりますが、最も多いのは排気弁(バルブ)の清掃や交換です。

バルブにカーボンが蓄積している場合は、分解して清掃を行い、摩耗や破損が見られる場合は新品への交換が必要となります。費用は5万円前後が相場ですが、部品代と工賃によって変動することがあります。

電気系統のトラブルであれば、スイッチや配線、リレーの修理や交換が必要となり、それも数万円程度の費用がかかります。エア供給系の問題の場合は、エアホースの交換やエアバルブの修理が必要となり、費用は3万~6万円程度が目安です。

排気ブレーキが効かない場合には

排気ブレーキは、トラックやバスにおいて、車両の安全運行に欠かせない重要な機能です。効かなくなる原因はさまざまで、排気弁の故障や電気系統の不具合、エア供給系のトラブル、排気管の詰まりなどが挙げられます。それらを放置すると、制動力の低下による重大な事故や、ブレーキの摩耗によるコスト増加といったリスクが高まります。

修理費用は5万円程度が一般的な目安ですが、故障の箇所や程度によってはさらに高額になる場合もあるため、早期発見と定期的なメンテナンスがコスト削減と安全運行のカギとなります。異常を感じた場合は、迅速に専門業者へ相談しましょう。

なお、トラックの買い替えや、車両に関するお悩みがある場合には、ぜひトラックランドにご相談ください。全国対応で中古トラックや商用車の販売、買取、リース(サブスク)など、幅広いサービスを提供しています。

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