仕事で中古トラックを使う個人事業主や経営者様にとっては、いかに長く車両を使用するかによって利益にも大きな影響を与えます。
ただし、長く乗り過ぎて突然故障して動かなくなると業務に重大な支障をきたしてしまうかもしれませんので、買い替えのタイミングがとても大事になります。
ここでは中古トラックの寿命と、それを延ばすための方法と、長く中古トラックに乗り続けたときの危険性、最適な中古トラックの買い替えのタイミングについてご紹介しています。
トラックの寿命ってどのくらい
普通乗用車であれば、新車で購入した場合、寿命は一般的に10万~15万キロ程度といわれています。
これはエンジンの寿命がおよそ10万~15万キロとされているからです。
それならトラックも10万~15万キロが目安なの?と考える方も少なくないようですが、寿命は普通乗用車よりもかなり長くなっています。
トラックの寿命は車両の大きさで異なる
トラックと言ってもさまざまな大きさがあり、大別すると「小型」「中型」「大型」の3つに分類できます。
トラックが寿命を迎えるまでの平均走行距離 | |
小型トラック | 約20万km |
中型トラック | 約40万km~50万km |
大型トラック | 約70万km |
上記の表はそれぞれが寿命を迎えるまでの平均走行距離で、小型トラックの積載量は2トン未満、中型トラックは2トン以上6.5トン未満、大型は6.5トン以上に設定しています。
普通乗用車と比較すると、小型と中型では2倍かそれ以上、大型と比較すると3倍かそれ以上寿命に違いがあります。
単純にエンジンの大きさや車の性能がこれほどまでの違いを生む理由でもありますが、小型や中型車両に比べて大型の場合は、高速道路を利用する頻度が多いことが長寿命につながっています。
高速道路ではブレーキやアクセルを多用することもなく、高速回転も少なく安定走行ができる分エンジンにかける負担を軽減できます。
しかし、小型・中型トラックは市街を走り回るケースが多いため、ブレーキの多用やアクセルの調整などによりエンジンや駆動部へかける負担が大きくなって、どうしても寿命を短くしてしまいます。
中古トラックの寿命は10~15年
普通乗用車の寿命は、走行距離10万キロが目安にされていますが年数だと10年です。
つまり1年に1万kmを走行する設定で、実際に平均して1年に車を走らせる距離の平均が1万kmです。
中古トラックの寿命を年数に置き換えれば10~15年で、業務用として利用されるトラックはそれだけ1年間に走る距離が長くなっています。
特に高速道路の利用頻度が多い大型トラックでは、1年で5万kmや7万km走るのが当たり前になっています。
トラックの寿命が長い理由
平均寿命が長い理由は以下が挙げられます。
・排気量が大きい(エンジンそのものが大きい)
・メンテナンスが簡易にできる
・エンジンに負担がかからない運転をしている
大型トラックの排気量は普通乗用車の10倍以上
軽トラックだと普通乗用車と排気量は変わらない、もしくは劣ることから寿命は長くはありませんが、普通乗用車が2000cc前後なのに対して、小型トラックは3000cc~5000cc、中型トラックは6000cc~8000cc、大型トラックだと9000㏄~30000㏄ともいわれています。
当然10倍以上の排気量の違いがある大型トラックは、エンジンの回転数も低くなり負担が抑えられる分、車両の寿命も長くなります。
こまめなメンテナンスが車両の中古トラックの寿命を長くする
実はトラックのエンジンの構造というのは、普通乗用車よりもシンプルにつくられています。
さらにトラック運転手は、それなりの車両に関する知識をもっていることも多く、日々こまめにメンテナンスを行っているため、中古トラックは普通乗用車よりも寿命が長くなる傾向にあります。
運転の仕方が異なる
高速道路を走行する際にはエンジンにかかる負担が軽減されることを説明しましたが、それ以外にも運転の仕方で車両にかかる負担を少なくすることができます。
仕事でトラックを乗っている多くのドライバーは、会社の指導や培ってきた経験やテクニックを駆使して、できるだけ車体に負担がかからない運転をしています。
ブレーキやアクセルを踏む回数を減らす小さな積み重ねでも、車の寿命を延ばすことができます。
中古トラックの寿命を延ばすためのメンテナンス方法
ここでは、中古トラックの寿命を延ばすメンテナンス方法を紹介しています。
エンジンオイルの交換
車両にとってエンジンオイルは、人間に例えるなら大切な血液にあたります。
トラックを走らせる度に確実に血液を汚すこととなりますので、必ず定期的な交換が必要です。
走行距離の目安 | 期間の目安 | |
普通乗用車 | 3,000~5,000km | 半年に一度 |
小型トラック | 1.5万km~2万km | 3か月に1回 |
中型トラック | ||
大型トラック |
上記は車両ごとのオイル交換をすべき期間と走行距離の目安をまとめたものです。
車両が新しいうちは、多少交換の時期が遅くなってもトラブルが起きる可能性は低いです。
しかし、年数が経てば経つほどエンジンオイルを劣化させたまま走行し続けることとなり、エンジンにかかる負担が大きくなります。
故障の確率を上げるだけではなく、エンジンを機能不全にしてしまう可能性を高めてしまいます。
各種オイルの交換
エンジンオイル以外にも、車両には様々なオイルが使用されています。
「ミッションオイル」「デフオイル」「ブレーキオイル」などもトラックの走行を正常に機能させる大事な潤滑油で、下記がそれぞれのオイルの適切な交換時期です。
交換時期の目安 | |
ミッションオイル | 2万km |
デフオイル | 2万km |
ブレーキオイル | 12ヶ月以内 |
各種液体の残量確認
オイル以外にも、エンジンルームの中には様々な液体が用いられています。
エンジン部を循環する冷却水は、年月が経つごとに蒸発して、冷却水が不足するとオーバーヒートを起こして走行不能になってしまいます。
その他にも「ウォッシャ液」「バッテリー液」などがありますので、それぞれのタンクを定期的に確認して早めの交換を実行しましょう。
定期的なタイヤ点検・交換
タイヤは正常にトラックを走行させる以外にも、車両の寿命にも多大な影響を与える大切な部分です。
タイヤは走行する度にすり減り、交換しないままにしていると最悪走行中にバーストしてしまい大事故を起こしてしまいます。
タイヤがすり減り溝がなくなると、過度な振動を車両に与えて駆動部にダメージを加え、トラックの寿命を縮めてしまいます。
命にも関わる重要なタイヤは、それ自体が寿命を迎えていると判断されれば整備不良ということで車検をパスできないばかりでなく、道路運送車両法の保安基準にも違反する重大な事態となってしまいます。
自分の命と法を守るためにも、必ず定期的な点検と交換を行いましょう。
中古トラックの買い替えのタイミング
寿命を迎えたトラックは正常に走行することができなくなるため、その前に買い替えをしなければいけません。
ここでは中古トラックを買い替えするベストなタイミングを紹介します。
使用年数や走行距離が長い
完全に寿命を迎えてしまうと、故障や事故を起こしやすくなり業務に支障をきたす可能性を高めてしまいますので、目安として紹介した年数や走行距離になる前に買い替えを実行しましょう。
修理やメンテナンスの頻度が増えたとき
車体が古くなると、修理費やメンテナンスにかかる費用も高額になってしまいます。
例えば、クラッチの滑り、スピードが出ない、異音がしている、あらゆる箇所からオイル漏れが発生しているなどエンジンやミッションが故障していると費用が嵩むことが多いので、買い替えのタイミングといえます。
このように、故障の頻度や修理、メンテナンスの頻度が増えたときがトラックの買い替え時期の目安となります。
車両の価値がなくなる前
普通乗用車よりもモデルチェンジのスパンが長く、長年姿を変えないロングセラーモデルもありますが、モデルチェンジをしたときには車両の価値が大幅にダウンします。
さらに寿命が近いトラックは、買取価格も下取価格も0、もしくは廃車にするために費用がかかるケースもありますので、価値がなくなる前が買い替えのタイミングです。
寿命が近くなったら中古トラックの買取専門店などに見積りをしてもらって、現状の価値とあとどのくらいで価値が0になるかを確認してみることをおすすめします。
排気ガス規制に対応していない
排気ガスの規制が厳しくなってきており、大都市圏など規制対策地域においては、基準を満たしていない車両は新車登録できない、乗り入れができないことになっています。
具体的にはDPF装置という排気ガスを浄化する装置なのですが、中古のトラックにはこの装置が付いていないことがあり、新たにつける必要があります。
そのため、大きな出費になることもありますので、排気ガス規制に対応していない中古トラックに乗っている場合は、買い替えのタイミングとなるでしょう。
寿命がきたトラックに乗り続ける危険性
寿命の目安を過ぎたトラックでも、そのまま乗り続けることは可能で、実際に100万kmを超えたトラックを仕事で使用している方も少なくありません。
しかし、 寿命を迎えたトラックは、予期せぬ事故を起こす確率が劇的に高くなっていて、人の命を奪いかねません。そのため、買い替えのタイミングは誤らないようにしましょう。
ドライバーの精神面にも負担をかける
どんなにこまめにメンテナンスをして、熟練の経験とテクニックをもつドライバーでも、エンジンやミッションなどに不安を抱えたトラックを運転する場合は精神的な負担がかなり大きくなります。
特に長い距離を毎日走行する長距離トラック運転手には、その負担は計り知れないものとなり、トラックには異常が出なくても過度なストレスで体調を崩したり、病気になってしまうケースもあります。
修理費が高額になる
買い替えのタイミングを見誤ると、修理費が予想以上にかかってしまうことがあります。
修理費が高いならすぐに新車に買い替えればいいと考える方もいるかもしれませんが、業務用で使用するトラックは在庫切れなどですぐに手に入らないことがよくあります。
大型トラックなどでは、買い替えの時期を逃したばかりに修理費が数百万円かかってしまうことも珍しくありません。
まとめ
中古トラックの寿命は普通乗用車よりも長く、年数では10~15年、走行距離では20~70万kmとされています。トラックの寿命は、エンジンなどの定期的な点検やメンテナンスをしっかり行うことで延ばすことができますが、買い替えのタイミングとは見極めるようにしましょう。
特に買い替えのタイミングを逃した中古トラックは、買い替えの際に値段が付きにくくなる以外にも、故障の可能性が高くなり、事故を起こす危険性も高めてしまいます。
仕事で使用するトラックは、故障や事故を起こすと業務にも大きな支障を与えかねないため、適切なタイミングでの買い替えをおすすめします。