物流業界には、1年のなかで荷物の量が大きく増える「繁忙期」があり、さまざまな問題が生じやすくなります。
こうした需要のピークを乗り切るためには、あらかじめ時期を把握し、計画的に準備を進めておくことが欠かせません。
今回の記事では、物流業界における繁忙期の具体的な時期をはじめ、その時期に発生しやすい問題や、具体的な対策などを解説します。
物流業界における繁忙期はいつ?
物流業界の繁忙期は、季節ごとのイベントや商習慣と密接に結びついています。ここでは、代表的な繁忙期を見ていきましょう。
年末
1年のなかで、特に荷物の量が増えるのが年末の時期です。お歳暮の配送に加え、クリスマスや年末年始に向けた商品の需要が集中します。また、近年ではブラックフライデーや年末セールといった大型のセールイベントも定着し、EC関連の荷物が大幅に増加します。
さらに、企業にとっては年内に納品を終えたい案件が集中する時期でもあるため、法人向けの配送も増える傾向にあります。そうした要因が重なり、物流業界にとって繁忙期となっています。
年度末・引越しシーズン(3月)
3月も、物流業界にとって大きな繁忙期です。進学や就職、転勤にともなう引越しが集中するほか、年度末に向けて、企業の決算に関わる出荷や納品が増加します。引越し需要が高まることで、トラックやドライバーの確保が難しくなり、業界全体で車両が不足しやすくなる時期でもあります。
お中元の時期
夏季のお中元シーズンも、繁忙期のひとつです。お中元のギフト配送に加え、夏休みに向けた旅行関連の荷物や季節商品の需要も高まります。年末ほどではないものの、荷物量が増加する時期として、備えが必要です。
そのほか、各ECサイトが実施する大型セールの時期も、近年は見逃せない繁忙期となっています。セールの開催時期は年々増えており、従来の季節要因だけでなく、そうしたイベントにも対応する必要があります。
閑散期はいつ?
一方で、比較的荷物の量が落ち着く閑散期もあります。代表的なのが、1月から2月にかけての時期です。年末年始の繁忙期を過ぎると、荷物の量は一段落します。年明けは、企業の活動が本格化するまでに時間がかかることや、消費者の購買意欲が落ち着くことなどが要因です。
また、4月から5月にかけても、比較的落ち着いた時期となります。3月の年度末・引越しシーズンが終わり、新年度が始まったばかりのため、出荷量が減少する傾向にあります。
そのほか、6月や9月なども、大きなイベントが少なく、比較的穏やかな時期とされています。
物流業界での繁忙期に発生しやすい問題

繁忙期には、荷物量の増加にともない、さまざまな問題が生じやすくなります。ここでは、代表的な4つの問題について解説します。
人手(ドライバー)の不足
繁忙期に最も深刻となるのが、人手不足です。荷物量が増える一方で、対応できるドライバーの数には限りがあるため、需要に供給が追いつかない状況が生まれやすくなります。
物流業界では、ドライバーの高齢化や担い手不足が課題となっており、繁忙期の需要増が重なることで、人手不足はより顕著になります。ドライバーだけでなく、倉庫内での仕分けや積み込みを担う人員も不足しやすく、現場全体が人手不足に陥りやすい時期といえます。
車両の不足
人手とあわせて不足しやすいのが、車両です。荷物量が増えれば、その分だけ多くのトラックやバンが必要となりますが、自社で保有する車両には限りがあります。
特に注意したいのが、繁忙期は業界全体で車両の需要が高まるという点です。レンタルやリースで車両を確保しようとしても、すでに予約が埋まっていて手配できないというケースも起こり得ます。直前になって動き出しても間に合わないことがあるため、早めの準備が欠かせません。
また、稼働率が上がることで車両への負荷も増し、故障やトラブルが発生しやすくなる点にも注意が必要です。
長時間労働・従業員の負担増
人手や車両が不足するなか、増加した荷物に対応しようとすると、必然的に1人ひとりの業務量が増えます。その結果、長時間労働が常態化し、従業員の負担が大きくなってしまいます。
長時間労働は、従業員の心身に大きな影響を及ぼします。疲労の蓄積は、事故のリスクを高めるだけでなく、健康面での問題にもつながりかねません。また、過度な負担が続けば、離職につながるおそれもあり、長期的には人手不足をさらに悪化させる要因となります。
近年は、ドライバーの労働時間に関する規制も強化されており、従来のように残業で対応するという方法が取りづらくなっている点にも留意が必要です。
配送の遅延・品質の低下
人手・車両の不足や、現場の疲弊が重なると、配送の遅延が発生しやすくなります。予定通りに荷物を届けられなければ、取引先や消費者からの信頼を損なうことにもなりかねません。
また、業務に追われるなかでは、作業の正確性が低下しやすくなります。誤配送や荷物の破損といったミスが増えれば、その対応にさらに時間を取られ、悪循環に陥ってしまいます。
繁忙期は、普段以上に多くの荷物を扱う時期だからこそ、サービス品質の維持が難しくなります。そうした問題を防ぐためにも、事前の対策が重要となるのです。
物流業界の繁忙期に向けた具体的な対策

それでは、繁忙期に向けた具体的な対策を紹介します。
人員を早めに確保・配置する
繁忙期は、業界全体で人材の需要が高まるため、直前に募集をかけても必要な人数が集まらないことがあります。過去の実績をもとに必要な人員数を見積もり、余裕を持って採用活動を進めましょう。
あわせて、確保した人員を適切に配置することも重要です。業務量が集中する時間帯や拠点を把握し、そこに人員を手厚く配置することで、効率的に業務を回せます。
また、新たに加わる人材が、スムーズに戦力となれるよう、事前の研修やマニュアルの整備も重要です。
必要な車両を早めに確保する
人員とあわせて、車両の確保も早めに進める必要があります。車両の需要が高まる繁忙期は、直前では希望する車種を手配できないおそれがあります。
自社で保有する車両だけでは足りない場合は、レンタルやリースの活用が有効です。必要な期間だけ車両を確保できるため、購入にともなう大きな費用負担を避けながら、繁忙期の需要に対応できます。繁忙期のみ台数を増やしたいというニーズにも適した方法です。
配送ルートやスケジュールを見直す
限られた人員・車両で効率よく配送するには、ルートやスケジュールの最適化が欠かせません。移動距離や時間を無駄なく組み立てることで、同じ体制でもより多くの荷物を運べるようになります。
近年では、AIやシステムを活用して、配送ルートを自動で最適化する取り組みも進んでいます。担当者の経験に頼っていた配車計画を、データにもとづいて組み立てることで、効率化と属人化の解消を同時に図れます。
あわせて、荷主と協議し、納品の時間帯を分散させるといった調整も有効です。特定の時間帯に業務が集中しないよう、全体のスケジュールを見直してみましょう。
物流業界の繁忙期に備えるために
物流業界の繁忙期は、年末や年度末・引越しシーズン、お中元の時期などが代表的です。そうした時期には、人手や車両の不足、長時間労働、配送の遅延といった問題が生じやすくなります。
それらに対応するためには、人員や車両を早めに確保するとともに、配送ルートの見直しに取り組むことが大切です。閑散期のうちから準備を進め、繁忙期をスムーズに乗り切れる体制を整えておきましょう。
この記事を監修した人
トラックランド管理人:高良
神奈川県出身。株式会社タカネットサービスの9年目の社員。
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